○湖南市生活環境保全条例
平成18年6月20日
条例第25号
目次
第1章 総則
第1節 目的(第1条)
第2節 定義(第2条)
第3節 基本的責務(第3条)
第4節 市の責務(第4条~第7条)
第5節 事業者の責務(第8条~第14条)
第6節 市民の責務(第15条~第16条)
第2章 公害発生源等に関する措置
第1節 事前協議に関する措置(第17条~第21条)
第2節 工場等に関する措置(第22条~第30条)
第3節 店舗等に関する措置(第31条~第34条)
第4節 生活環境を阻害する行為に関する措置(第35条~第41条)
第3章 環境保全協定の締結に関する措置(第42条~第43条)
第4章 自主環境管理の推進に関する措置(第44条)
第5章 雑則(第45条~第49条)
付則
第1章 総則
第1節 目的
(目的)
第1条 この条例は、市民が健康で文化的な生活を営むために、良好な生活環境の保全がきわめて重要であることから、市、事業者及び市民それぞれの責務を明らかにするとともに、必要な事項を定めることにより、市民の快適な生活環境を確保することを目的とする。
第2節 定義
(1) 公害 事業活動、その他人の活動に伴って生じる生活環境(人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)の侵害であって、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、悪臭等によって、人の生命及び健康が損なわれ又は快適な暮らしが阻害されることをいう。
(2) 工場等 製造及び加工の事業並びに廃棄物の処理、廃品から有価物の回収を行う事業の用に供する施設及び用地をいう。
(3) 店舗等 店舗、飲食店及び建設業等工場等以外の事業の用に供する施設及び用地をいう。
(4) 化学物質等 人の健康を損なうおそれがある元素又は化合物で、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成11年法律第86号)及び毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)に規定するもの並びに重油等の鉱物油をいう。
第3節 基本的責務
(基本的責務)
第3条 市長は、あらゆる施策を通じて公害を防止する等良好な生活環境の保全及び増進を図り、もって市民の健康で良好な生活環境の確保に努めなければならない。
2 事業者は、環境保全関連法令、滋賀県の環境保全関連条例及び本条例を遵守し、環境保全に関する施策に積極的に取り組むとともにその事業活動に伴って生じる公害を防止するため、自己の責任と負担において必要な措置を講じなければならない。また、市その他の行政機関が実施する環境の保全等に関する施策に協力しなければならない。
3 市民は、環境の保全等に関する意識を高め、他人の生活環境に悪影響を与える行為をしないように努めなければならない。
第4節 市の責務
(事業者の指導)
第4条 市長は、事業者の公害防止に関する取り組み状況を把握し、必要により指導する等適切な措置を講じなければならない。
2 市長は、前項の状況把握のために必要な測定の体制の整備に努めなければならない。
(事業者に対する援助義務)
第5条 市長は、事業者が行う公害防止のための施設の整備等について、必要な指導又は助言等の支援に努めることとする。
(広域的公害防止施策の推進)
第6条 市長は、近隣の首長と連携を密にして、広域的な公害の防止対策を推進するように努めなければならない。
(意識の高揚)
第7条 市長は、市民の生活環境保全等に関する意識の高揚のための必要な措置を講じるものとする。
第5節 事業者の責務
(監視及び記録の義務)
第8条 事業者は、自らが使用する施設に係る排水、ばい煙、騒音、振動、悪臭等の状態について常時監視しなければならない。
2 事業者は、前項の監視の結果を記録しておかなければならない。
(研究及び開発の義務)
第9条 事業者は、環境保全に関する技術の研究及び開発を行うとともに、有効な技術については積極的に採用するように努めなければならない。
(環境保全体制の確立)
第10条 事業者は、事業活動の遂行に伴って生じる周辺環境への影響を最小限にし、かつ適正に環境管理活動を推進するため、環境保全体制を確立するものとする。
(苦情の処理)
第11条 事業者は、自らの事業活動に伴って、生活環境への被害に係る苦情が寄せられたときは、迅速かつ適切に処理しなければならない。
2 事業者は、前項の苦情に係る環境への被害の緩和について、市長から改善を指示されたときは、これに従うものとする。
(紛争の処理)
第12条 事業者は、自らの事業活動に伴って発生した公害に係る紛争が生じたときは、誠意をもってその解決に努めなければならない。
2 事業者は、紛争の解決にあたっては、市と協力するとともに、市の指示に従うものとする。
(救済措置の義務)
第13条 事業者は、工場等、建設工事現場及びその他の場所から生じる公害により周辺住民等に被害を与えたときは、その被害者に対し、救済その他適切な措置を講じなければならない。
(最大努力義務)
第14条 事業者は、環境保全関連法令、滋賀県の環境保全関連条例及び本条例を遵守するにとどまらず、環境への負荷を低減するなど環境汚染の防止に最大限の努力をしなければならない。
第6節 市民の責務
(環境美化の義務)
第15条 市民は、その所有し、又は占有する土地若しくは建物及び居住地の公共施設等について、常に清潔の保持等の環境美化に努めなければならない。
(協力の義務)
第16条 市民は、市その他の行政機関が実施する環境の保全に関する施策に積極的に協力しなければならない。
第2章 公害発生源等に関する措置
第1節 事前協議に関する措置
(事前相談)
第17条 次に掲げる事業(以下「生活環境影響事業」という。)を行おうとするものは、当該事業内容等について、あらかじめ市長に相談しなければならない。
(1) 規則で定める生活環境に影響を与えるおそれのある事業
(2) 市長が環境に与える影響が大きいと認め、事業者に通知した事業
(説明会の開催等の事前周知)
第18条 市長は、生活環境影響事業を行おうとするものに対し、当該事業により環境に及ぼす影響及びその影響を軽減するための措置について、当該事業で生活環境に影響を受けるおそれのある周辺住民等に対し、あらかじめ説明会を開催する等、必要な措置を講じることを要請することができる。
2 前項に規定する要請を受けた生活環境影響事業を行おうとするものは、当該事業で生活環境に影響を受けるおそれのある周辺住民等に対し、説明会を開催する等により理解を得るように努めなければならない。
3 生活環境影響事業により生活環境に影響を受けるおそれのある周辺住民等は、生活環境の保全の見地から意見があるときは、当該事業を行おうとするものに対し、意見を申し出ることができる。
4 生活環境影響事業を行おうとするものは、前項の規定による周辺住民等からの意見の申出があったときは、当該意見を尊重し、将来紛争等が生じないよう配慮して、当該事業を施行しなければならない。
(事前協議)
第19条 生活環境影響事業を行おうとするものは、当該事業の実施の際に環境に配慮する事項に関し、市長と協議しなければならない。
2 市長は、前項の勧告に従わない場合は、そのものに対し必要な措置を講じるよう命じることができる。
(生活環境影響事業の変更等)
第21条 第19条の規定に基づき、事前協議書を提出したもの(以下「事前協議者」という。)は、提出した事前協議書の内容を変更しようとするとき、又は当該生活環境影響事業を中止しようとするときは、規則で定めるところにより速やかに市長に届け出なければならない。
第2節 工場等に関する措置
(公害防止施設の適正稼動)
第22条 事業者は、工場等に係る公害の防止のための施設の設置及び正常稼動に、最大限の努力をしなければならない。
(廃棄物の減量化等)
第23条 事業者は、事業活動に伴って発生する廃棄物の減量を図るため、発生の抑制、再資源化等の必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は、事業活動に際して、その製造、加工等に係る製品が使用又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するよう努めるものとする。
(廃棄物の処理等)
第24条 事業者は、事業活動に伴って発生する廃棄物について、自らの責任において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。)に基づく方法等により処理し、又は安全化することにより、当該廃棄物及びその処理に伴って人の健康若しくは生活環境に被害を及ぼさないようにしなければならない。他のものに廃棄物の処理を委託する場合及び業として委託されて処理する場合も同様とする。
2 事業者は、産業廃棄物の処理に関して、種類、数量及び無害化又は安全化の方法について市長より報告を求められたときは、これに従わなければならない。
(事故時の措置)
第25条 事業者は、事故により当該工場等から公害の原因となる物質等を発生させ、漏洩させ、又はそのおそれが生じたときは、直ちに応急措置を講じるとともに、復旧に努めなければならない。
2 事業者は、前項に規定する事態が生じたときは、直ちにその内容及び被害防止対策状況等を市長に通報しなければならない。
3 市長は、事故による応急措置が不十分と判断した場合は、事業者に適切な応急措置を講じるよう命じることができる。
4 第1項の規定による事故を発生させたものは、当該事故の発生の日から30日以内に事故の原因調査の結果及び再発防止のために必要な措置に関し、実施した事項、実施計画を市長に報告しなければならない。
(工程異常に対する措置)
第26条 事業者は、環境保全に関する工程に異常が生じたときは、その原因を調査するとともに対策を立案し、実行し、その記録を残さなければならない。
2 事業者は、市長から前項の記録の開示を求められたときは、それに応じなければならない。
(特定施設、ばい煙発生施設等の設置等の届出の写しの提出)
第27条 市長は、事業者に対し、滋賀県公害防止条例(昭和47年滋賀県条例第57号)に基づく特定施設、ばい煙発生施設等の設置等の滋賀県知事への届出について、必要と認めるときは、その写しを提出するよう要請することができる。
(規制対象以外の騒音、振動及び悪臭)
第28条 事業者は、騒音規制法(昭和43年法律第98号)及び振動規制法(昭和51年法律第64号)並びに悪臭防止法(昭和46年法律第91号)による規制の対象以外の騒音、振動及び悪臭により周辺住民の生活環境を悪化させないようにしなければならない。
2 市長は、前項の規定を遵守せず生活環境に被害を与えていると認めるときは、事業者に対し必要な措置を講じるよう勧告することができる。
3 市長は、前項の勧告に従わないときは、事業者に対し必要な措置を講じるよう命じることができる。
(化学物質等の適正な管理)
第29条 事業者は、化学物質等による環境の汚染を防止するため、事業内容及び事業所の形態に応じ、適正な管理に努めなければならない。
2 事業者は、化学物質等の使用等生活環境保全に必要な事項について、市長が情報提供を要請したときは、これに協力しなければならない。
3 市長は、前項の情報により是正が必要と認めたときは、事業者に対し改善を指導することができる。
(油類等の流出防止)
第30条 事業者は、自動車、機械類等の解体及び屋外保管等により、雨水等で油類等が敷地外に流出するおそれのあるときは、必要な予防措置を講じるとともに当該事業所の敷地内の雨水排水路の適当な場所に有効な油水分離のための設備を設置し、有効に機能するよう適切に管理しなければならない。
2 事業者は、前項の自動車、機械類等の解体及び屋外保管等により油類等が地下浸透しないように適切に処置しなければならない。
3 市長は、前2項の規定を遵守せず雨水等により油類等が敷地外に流出し、又は地下浸透したことを確認したときは、事業者に対し改善を勧告することができる。
第3節 店舗等に関する措置
(周辺環境への配慮)
第31条 事業者は、自らの事業活動に伴い、周辺環境に被害が生じないようにしなければならない。
(深夜における音響機器の使用の制限)
第32条 カラオケ装置(ビデオディスク等から伴奏音楽等を再生し、これに合わせてマイクロホンを使って歌唱できるように構成された装置をいう。)及び規則で定める音響機器(以下「音響機器」という。)を設置して業を営むものは、音響機器の音量の調整を適切に行い、周辺住民の生活環境を損なわないようにしなければならない。
2 音響機器を設置して業を営むものは、午後11時から翌日の午前6時までの間、音響機器を使用し、又は使用させてはならない。ただし、音響機器から発生する音が周辺の生活環境を損なうおそれがないとして規則で定める場合は、この限りでない。
(土砂流出等の防止)
第33条 事業者は、土砂等の掘削、盛土、切土及び整地等の土木工事に伴い、公共用水域又は公共用道路を汚濁若しくは汚損してはならない。
2 市長は、前項の勧告に従わない場合は、事業者に対し必要な措置を講じるよう命じることができる。
第4節 生活環境を阻害する行為に関する措置
(静穏の保持)
第35条 何人も、周辺住民の迷惑になるような騒音の発生を極力抑えるようにしなければならない。
2 何人も、周辺の静穏を害するおそれのある施設を設置し、又は行為を行うときは、周辺に与える悪影響が最も少ない方法で行うよう努めなければならない。
(焼却の禁止)
第36条 何人も、廃棄物等の焼却によって周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼしてはならない。
(生活排水の浄化等)
第37条 何人も、生活排水の流出路の清掃に努めるとともに、生活排水を放流するときは、その排水中の浮遊物を河川その他公共用水域に排出させないために必要な措置を講じるよう努めなければならない。
2 何人も、河川その他公共用水域に廃油等の水質汚濁の原因となる物質をみだりに廃棄してはならない。
(公共の場所の清潔の保持)
第38条 何人も道路、河川、公園、広場及びその他の公共の場所の清潔を害する行為をしてはならない。
(犬のふん等)
第39条 何人も、自らが飼育する犬のふん及びブラッシングした毛を道路、公園、河川、その他公共の場所及び他人の所有し、若しくは占有し、管理する場所に放置してはならない。
2 何人も、自らが飼育する動物等は、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)第7条第4項の環境大臣が定める基準に基づき、適正に飼育しなければならない。
(悪臭の防止)
第40条 何人も、腐敗物等の悪臭発生源の屋外放置、屋外流出及び悪臭物質の屋外排出により、周辺の環境に悪影響を与える行為をしてはならない。
2 市長は、前項の指導に従わない当該行為者に対し、必要な措置を講じるよう勧告することができる。
第3章 環境保全協定の締結に関する措置
(環境保全協定の締結)
第42条 市長は、生活環境保全のため必要があると認めるときは、事業所を設置しようとするもの又は設置しているものとの間に環境保全に関する協定(以下「協定」という。)を締結することができる。
2 市長は、協定を締結するときは、市民の意見を聴くことができる。
3 事業者は、市長から協定の締結について協議を求められたときは、誠意をもってこれに応じなければならない。
4 事業者は、協定が成立したときは、当該協定事項を誠実に履行しなければならない。
5 市長は、広域的な公害を防止するため、市の区域の生活環境に悪影響を与えるおそれがある事業の事業者と協定を締結することができる。
第4章 自主環境管理の推進に関する措置
(自主環境管理の推進)
第44条 事業者は、その事業の実施にあたって、自主的に、環境の保全等に関する方針及び目標を定め、その方針又は目標を達成するための計画を策定し、及び実施し、その実施状況を点検更に必要な見直しを行う一連の環境保全等のための取り組み(以下「自主環境管理」という。)を推進するよう努めなければならない。
2 市長は、事業者の自主環境管理に関し、事業者から要請があったときは、情報を提供する等支援するように努めなければならない。
第5章 雑則
(立入検査等)
第45条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、事業所に関係職員を立ち入らせ、帳簿、書類、施設及びその他の物件を調査又は検査させ、関係者に対し、指示若しくは指導を行わせることができる。
2 前項の規定により立入調査又は立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査等の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(適用除外)
第46条 この条例は、災害復旧等緊急を要する場合及び国又は滋賀県が実施する事業には適用しない。
(予想外の公害に対する措置)
第47条 市長は、この条例の予想しない物質等又は行為等により発生した公害が、人の健康又は生活環境に著しい被害を与え、又は与えるおそれがある場合において、特別の措置を講じる必要があると認めるときは、その事態を発生させたものに対し、その事態を除去するために必要な措置を講じるよう勧告するとともに、関係機関へ措置を要請することができる。
(公表等)
第48条 市長は、次の各号のいずれかに該当する事業者の名称又は氏名を公表することができる。ただし、市長は、公表に先立ち当該事業者に対し弁明の機会を与えるものとする。
(1) 第20条に規定する命令に従わなかったもの
(3) その他市長が公表を必要と認めた行為を行ったもの
付則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年1月1日から施行する。
(協定の締結に関する経過措置)
2 この条例の施行の日の前日までに、現に市と公害防止協定又は環境保全協定を締結している事業者は、必要事項を再協議し、新たに協定を締結しなければならない。
3 前項の新たな協定を締結するまでは、従前の協定を有効とする。この場合において、当該協定中「石部町長」又は「甲西町長」とあるのは、「湖南市長」と読み替えるものとする。
(湖南市公害防止条例の廃止)
4 湖南市公害防止条例(平成16年湖南市条例第148号)は、廃止する。
付則(平成18年条例第43号)
この条例は、平成19年1月1日から施行する。