○湖南市環境基本条例

平成19年6月20日

条例第14号

目次

前文

第1章 総則(第1条~第7条)

第2章 環境の保全と創造に関する基本的施策

第1節 環境基本計画(第8条)

第2節 環境への配慮(第9条~第11条)

第3節 環境の保全と創造を推進するための施策(第12条~第16条)

第3章 環境審議会(第17条)

第4章 雑則(第18条・第19条)

付則

湖南市は、南に阿星山、北に岩根山の緑豊かな山並みがあり、中央部に野洲川が流れる自然豊かな街です。川沿いに広がる農地では、その豊かな水を利用して稲作を中心とする農業が古くから営まれてきました。また、かつては旧東海道の宿場町として栄え、豊かな文化が育まれてきました。このことから、社寺仏閣などの文化財も多く残っており、焼き物や藍染め等の伝統工芸や地域に根付いた行事、風習が今も引き継がれ、守られています。

市内には国道1号、名神高速道路といった交通の大動脈が走り、工業化の流れにのって多くの工場が進出してきました。また、京阪神への通勤圏として注目され、多くの住宅地が造成されて流入人口も急激に増加しました。このことに加え、市民の環境に対する考え方の多様化から、地域環境に与える影響が顕著に現れるようになりました。また、市民の生活は都市化し、その利便性は高まりましたが、資源やエネルギーの消費量は増大し、地球の温暖化など地球全体の環境に与える影響も深刻さを増してきています。

私たちには良好な環境のもと、健康で快適な生活を営む権利がありますが、同時に人類存続の基盤である恵み豊かな環境を将来に引き継ぐ責務も負っています。

このため、私たち一人ひとりが環境問題を正しく認識し、環境に配慮した行動を実践していかなければなりません。また、市民、事業者及び市がそれぞれの立場で協力、協働して環境に関する施策を積極的に展開することも重要です。

このことから、環境の保全と豊かな環境の創造のための活動に積極的に取り組み、持続的発展が可能な社会を構築することを目指すとともに、湖南市の環境に対する基本的な事項を定め、環境施策の個別事項の規定を整備するため、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、市における環境の保全と創造について基本理念を定め、市民等、事業者及び市の責務を明らかにするとともに、環境に関する基本的な事項を定めることにより、施策を総合的かつ計画的に推進し、もって、現在及び将来の市民が健康で文化的な生活ができることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動によって環境に加えられる影響のうち、環境の保全に支障をきたすおそれのある影響をいう。

(2) 環境の保全と創造 現在、市民が享受している良好な環境についてはこれを適正に保ち、現状で改善の余地のある事象については、市民、事業者及び市が各々の立場で行動してより豊かな環境を創り出すことをいう。

(3) 市民 市内に在住する者及び市内に勤務又は通学する者をいう。

(基本理念)

第3条 健全で恵み豊かな環境は、市民が健康で文化的な生活を営む上で欠くことができないものであり、環境の保全と創造の活動には、次に掲げる事項に配慮して積極的に取り組むこととする。

(1) 環境優先の認識のもとに、自然と調和した恵み豊かな環境を次世代に着実に引き継ぐこと。

(2) 人の健康の保護、良好な生活環境の確保、自然環境の保全のために、大気、水、土壌等の環境の構成要素を良好な状態に保持すること。

(3) 「地域の環境は自らがつくる」を基本に、市民、事業者及び市は協働して自治運営すること。

(4) 地域の個性をいかし、市民の生活に潤いをもたらすために、伝統文化及び歴史遺産を発掘し、保全し、活用すること。

(5) 人の活動による地球温暖化などの地球環境問題が人類共通の課題になっているため、資源及びエネルギーの消費を抑制し、これらの循環的利用を図ること等により、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を目指すこと。

(市民等の責務)

第4条 市民は、前条の基本理念に従い、環境意識を高め、日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めることとする。

2 市民は、市の環境の保全と創造に関する施策の策定と実施に参加するとともに、地域における環境の保全と創造に関する活動に事業者及び市と協働して積極的に取り組むこととする。

3 市の区域内に一時滞在又は通行する者は、地域の環境への負荷の低減に努めることとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、第3条に定める基本理念に従い、環境の保全と創造に関する社会的責任を認識してその事業活動に伴う周辺環境への支障を防止し、及び環境への負荷の低減に努めることとする。

2 事業者は、市が実施する環境に関する施策及び市民の環境活動に参加又は協働することとする。

(市の責務)

第6条 市は、第3条に定める基本理念に従い、市の区域の自然的、社会的条件に応じた環境の保全と創造に関する施策及び計画を策定し、実施しなければならない。

2 市は、自ら率先して環境の保全と創造に取り組むとともに、市民及び事業者の環境の保全と創造に関する取り組みを支援又は協働するよう努めることとする。

3 市は、市民及び事業者が環境に関する意見を述べる機会を確保するための施策を講じるものとする。

(県等への協力要請等)

第7条 市長は、市の環境に関する施策の実施に関し、県及びその他の関係機関に協力又は連携して実施することを要請することができる。

2 市長は、市に関係する県及びその他の関係機関の環境に関する施策について意見を述べることができる。

第2章 環境の保全と創造に関する基本的施策

第1節 環境基本計画

(環境基本計画)

第8条 市は、環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全と創造に関する総合的かつ長期的な施策の大綱

(2) 環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市民は、環境基本計画の策定に際して、意見を述べることができる。

4 市は、環境基本計画の策定にあたっては、第17条で定める環境審議会の意見を聴かなければならない。

5 市は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

6 市は、環境基本計画の目標年次の満了に際しては、その到達状況等について評価を行わなければならない。また、途中年次においても必要に応じて中間評価を行うこととする。

7 市は、前項の評価結果及び市を取り巻く状況の変化等から環境基本計画の見直しが必要になったときはこれを変更するものとする。

8 第3項から第5項までの規定は、前項の環境基本計画の変更についても準用する。

第2節 環境への配慮

(指針の策定等)

第9条 市は、市民がその日常生活において、又は事業者がその事業活動において、環境に配慮しなければならない指針を策定する等必要な措置を講じるものとする。

2 市民又は事業者は、日常生活又は事業活動を前項の指針に適合させるよう努めるものとする。

(市の施策の策定等にあたっての配慮)

第10条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するにあたっては、環境に十分配慮するように努めなければならない。

(事業者の環境への配慮)

第11条 事業者は、自らの事業活動に伴う環境への負荷を低減するために、事業活動の指針を策定し、及び評価する等の環境への配慮をするよう努めるものとする。

第3節 環境の保全と創造を推進するための施策

(教育及び学習)

第12条 市は、市民及び事業者が人と環境とのかかわりについて理解を深め、環境に配慮した日常生活及び事業活動ができるようにするために、環境の保全と創造についての教育及び学習の推進について必要な措置を講じるように努めるものとする。

2 市民及び事業者は、環境の保全と創造についての教育及び学習について、市の施策に協力するとともに自らがそれに参画することができる。

(市民活動の促進等)

第13条 市は、市民及び事業者の環境の保全と創造についての活動が促進されるように、助言、指導及びその他必要な措置を講じるよう努めるものとする。

(情報の収集及び開示)

第14条 市は、環境の状況その他環境に関する必要な情報の収集に努めるとともに、適切に開示するよう努めるものとする。

2 事業者は、自らの事業活動に関わる環境の状況、環境の保全と創造に対する取り組み等について開示するよう努めるものとする。

(報告書の作成)

第15条 市は、市の環境の状況及び環境の保全と創造に関して講じた施策等に関する報告書を作成し、これを公表するものとする。

(技術交流、国際協力)

第16条 市は、国、県、大学、事業者、市民及び国際的に交流のある機関等と連携を図りつつ、環境の保全と創造についての情報交換、技術交流及び国際協力に努めるものとする。

第3章 環境審議会

(環境審議会)

第17条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、市の区域における環境の保全と創造に関して、基本的事項等を調査、審議させるため、湖南市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、次の事項について調査、審議する。

(1) 環境基本計画に関する事項

(2) その他環境の保全と創造に関する基本的事項

3 審議会は、前項に規定する事項について、市長に意見を述べることができる。

4 審議会は、委員20人以内をもって組織する。

5 委員は、環境の保全と創造に関して識見を有する者及びその他市長が必要と認める者のうちから市長が委嘱する。

6 委員の任期は2年とし、再任は妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

第4章 雑則

(体制整備等)

第18条 市は、環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために体制整備等の必要な措置を講じるものとする。

(その他)

第19条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成19年7月1日から施行する。

(湖南市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 湖南市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成16年湖南市条例第48号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

湖南市環境基本条例

平成19年6月20日 条例第14号

(平成19年7月1日施行)