○湖南市地域産業振興基本条例

平成30年3月26日

条例第2号

湖南市は、水と緑に囲まれた自然環境豊かな地域で、古くから街道を中心とした産業や文化が栄えてきました。名神高速道路の開通に伴い、有利な立地条件を利用して県内最大の湖南工業団地が造成され、ものづくり産業が集積しました。また、農林業や商業をはじめとするその他の産業もともに地域経済を支えてきました。

少子高齢、人口減少社会の到来、情報通信技術の飛躍的な進歩、経済のグローバル化など社会構造が大きく変わり、湖南市においても地域産業が将来にわたり発展を続けていくためには変化を的確に捉え、様々な挑戦をしていかなければなりません。

産業の振興は、経済を活性化させることにより、地域の活力を創出し、雇用機会を拡大するとともに、事業活動を通じて市民生活の向上に寄与するものです。また、地方公共団体の財政は、社会保障費など義務的経費の増加により、多様な行政需要を満たすための財源が不足し、厳しい運営を迫られており、安定した財政を確立するためにも地域産業の振興が欠かせません。

市内の産業が着実に発展していくためには、行政、事業者及び産業関係団体並びに市民が産業の振興に係るそれぞれの役割について認識を深め、協働して取り組んでいくことが重要です。

ここに、地域社会が一体となり、先人が築いてきた産業基盤の維持発展と今後の本市における産業の振興の在り方など基本的な事項を明らかにするとともに、関連する施策を総合的、一体的かつ相乗的に推進するため、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、地域産業の振興に関する基本理念を定め、地域産業に関わる者の役割を明らかにすることにより、地域産業の総合的な振興を推進し、もって多様で活力のある地域経済の活性化及び市民生活の向上を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 地域産業 市内で事業活動又はサービスの提供を行う全ての産業をいう。

(2) 地域資源 市内における産業、自然、歴史、文化、技術、技能、人材その他の資源をいう。

(3) 事業者 市内において事業を営む個人、法人及びその他の団体をいう。

(4) 商工業者 事業者のうち、商工会法(昭和35年法律第89号)第2条に規定する者をいう。

(5) 農林漁業者 事業者のうち、農林漁業に従事するもの(農地又は山林を所有する者を含む。)をいう。

(6) 観光産業事業者 本市が持つ地域資源を生かし、観光に伴って発生する様々な需要に応じた事業活動に従事する者をいう。

(7) 地場産業事業者 事業者のうち、特定の地域にその立地条件や歴史的背景を生かして定着した特産品等の生産又は販売に従事するものをいう。

(8) 金融機関 市内に本店又は支店を置く銀行、信用金庫、信用組合及び農業協同組合又は事業者が金融取引を行う機関をいう。

(9) 産業関係団体 地域産業の振興及び経済の活性化に取り組む団体をいう。

(10) 教育機関 地域産業の振興に資する調査、研究及び教育を行う機関をいう。

(11) 市民 市内に在住、在勤又は在学する者をいう。

(12) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する者をいう。

(13) 小規模企業者 中小企業基本法第2条第5項に規定する者をいう。

(14) 大企業者 中小企業基本法第2条第1項の規定に該当しない企業を営む者をいう。

(15) 消費者団体 消費者の権利利益の擁護及び維持のため、消費者によって自主的に組織された市内の団体等をいう。

(16) 6次産業化 地域の第1次産業及びこれに関連する第2次産業並びに第3次産業に係る事業の融合等により地域ビジネスの展開及び新たな業態の創出を行う取組をいう。

(17) 農商工連携 農林漁業、商業、工業等の産業間が連携し、その相乗効果を地域の活性化につなげる取組をいう。

(基本理念)

第3条 地域産業の振興のため、事業者は自らの創意工夫及び自主的な経営努力を基本に、事業者、産業関係団体、教育機関、市民及び市が相互に協力して総合力を発揮し、地域資源を積極的に活用することにより新たな価値を創出し、地域経済の活性化を促すことで、市の持続的な発展に寄与することを基本理念とする。

(事業者の役割)

第4条 事業者は、自らの事業の強化、安定及び経営の改革に努めるとともに、人材及び後継者の育成、地域からの雇用の促進及び従業員の福利厚生の充実を図るものとする。

2 事業者は、資材及び物品の調達、請負及び必要な工事等の発注に当たっては、他の事業者への受注機会の提供に努めるものとする。

3 事業者は、中小企業者及び小規模企業者の持続的発展並びに大企業者の地域貢献が図られることをもとに、分野等を超え、相互に連携し協働に努めるものとする。

4 事業者は、産業関係団体の健全な活動及び運営に、積極的に参加し、及び協力するものとする。

5 事業者は、自らの事業活動及び社会貢献活動を通じて、まちづくりへの関与及び地域貢献に努めるものとする。

6 事業者は、地域社会と共存共栄し、持続的な発展を目指すものとする。

(商工業者の役割)

第5条 商工業者は、社会経済情勢の変化に即応し、技術、サービスの向上及び競争力の強化を図るとともに、需要に応じた商品又はサービスを提供することにより、市民生活の向上に寄与するものとする。

(農林漁業者の役割)

第6条 農林漁業者は、安全で安心な農作物、林産物及び水産物を供給するとともに、市内で生産するこれらに係る情報を積極的に発信するものとする。

2 農林漁業者は、6次産業化の推進又は農商工連携により地域産業の振興を図るものとする。

3 農林漁業者は、産業関係団体及び市と連携し、里地里山の景観及び水源かん養機能など環境保全の維持に努めるものとする。

(観光産業事業者の役割)

第7条 観光産業事業者は、地域資源を積極的に活用し、市の独自性を高めるとともに、市外の地域との広域的な連携を強化し、魅力ある情報を国内外に積極的に発信するなど観光客の誘致に取り組み、観光に伴う消費及び交流により地域産業の振興を図るものとする。

(地場産業事業者の役割)

第8条 地場産業事業者は、地場産業が地域社会と密接に関わっていることを基本とし、新たな需要及び価値を生み出し、地域産業の振興を図るものとする。

(金融機関の役割)

第9条 金融機関は、事業者の資金需要に対する適切かつ積極的な対応、経営改善に対する支援その他の方法により、地域産業の活性化に資するよう努めるものとする。

(産業関係団体の役割)

第10条 産業関係団体は、事業者の創意工夫及び自主的な経営努力による活動及び創業を支援するものとする。

2 産業関係団体は、地域産業の振興及び経済の活性化を目的とした事業等を積極的に進めるものとする。

3 産業関係団体は、事業等を通じて地域社会への貢献に努めるとともに、市が実施する地域産業の振興施策に協力するものとする。

4 産業関係団体は、構成員の分野を超えた交流を促し、地域産業の振興を図るものとする。

5 産業関係団体は、設立及び存在の意義又は役割を十分に認識し、これを果たすものとする。

(教育機関の役割)

第11条 教育機関は、地域産業の担い手の育成を積極的に行うものとする。

2 教育機関は、地域産業の振興に資する人的協力及び情報の発信を積極的に行うよう努めるものとする。

3 教育機関は、研究成果等を用いて積極的な地域社会への貢献に努めるものとする。

(市民等の役割)

第12条 市民は、地域産業の振興が市民生活の向上とまちづくりの推進につながることについて理解を深め、地域産業の振興に協力するよう努めるものとする。

2 市民は、消費活動において、事業者が提供する商品、サービス等を利用するよう努めるものとする。

3 市民は、事業者、産業関係団体又は市が行う地域産業の振興に関する事業及び施策に協力するよう努めるものとする。

4 市民は、事業者が提供する商品、サービス等の向上に資するため、事業者に対し必要な意見の発信及び提案等に努めるものとする。

5 消費者団体は、消費生活に関する情報の収集及び提供、消費活動に対する啓発、教育及び被害の防止等について、市民が広く共有できるよう努めることで、消費生活の安定又は向上に寄与するものとする。

(市の役割及び責務)

第13条 市は、基本理念に基づき、地域産業の振興施策を総合的かつ計画的に推進するとともに、産業の分野を超えた交流及び連携を促すものとする。

2 市は、地域産業に関する調査及び研究を行い、地域産業の振興を図るものとする。

3 市は、資材及び物品の調達、請負及び必要な工事等の発注に当たっては、事業者への受注機会の提供に努めるものとする。

4 市は、地域産業の振興施策を推進するため、次に掲げる事項について国、県及び産業関係団体との連携を図り、必要な施策を講ずるものとする。

(1) 事業者間の交流及び連携

(2) 中小企業者及び小規模企業者の経営発達及び経営安定

(3) 企業の誘致

(4) 人材育成及び雇用の安定

(5) 起業、創業又は第二創業支援

(6) 産業基盤の整備

(7) 産業振興に係る情報の提供

(8) その他地域産業の振興を図る上で必要となる施策

(産業振興戦略推進会議の設置)

第14条 市は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、湖南市産業振興戦略推進会議(以下「推進会議」という。)を設置する。

(所掌事務)

第15条 推進会議は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議するものとする。

(1) 社会構造、経済状況及び地域環境に即した施策の評価及び見直しに関すること。

(2) 第3条に定める基本理念に基づく体系的な施策の推進及びその進行管理に関すること。

(3) その他地域産業の総合的な振興に関すること。

(組織等)

第16条 推進会議は、委員20人以内をもって組織する。

2 委員は、商工業者、農林漁業者、観光産業事業者、金融機関、産業関係団体、教育機関及び中小企業者並びに産業振興に関する有識者その他市長が必要と認める者のうちから、市長が委嘱する。

3 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。

4 補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長及び副会長)

第17条 推進会議に会長及び副会長を置く。

2 会長及び副会長は、委員の互選によって定める。

3 会長は、会務を総理し、推進会議を代表する。

4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第18条 推進会議の会議は、会長が招集し、会長がその議長となる。

2 推進会議の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。

3 推進会議の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(庶務)

第19条 推進会議の庶務は、商工業の振興に関する事務を所管する課において処理する。

(委任)

第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(湖南市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 湖南市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成16年湖南市条例第48号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

湖南市地域産業振興基本条例

平成30年3月26日 条例第2号

(平成30年3月26日施行)