○湖南市受動喫煙の防止に関する条例
令和2年3月24日
条例第1号
がん、心臓疾患、脳血管疾患等の生活習慣病の発症要因にたばこの煙が深く関わり、たばこを吸わない周囲の人の健康にも悪影響を及ぼすことが科学的に明らかとなっています。
国においては、健康増進法(平成14年法律第103号)に受動喫煙の防止を疾病予防の重要な課題として位置づけ、地方自治体の責務として望まない受動喫煙防止のための総合的かつ効果的な措置を取るよう求めています。
本市では、たばこについても多様化する健康課題のひとつとして取り組んできましたが、さらに健康寿命の延伸を図るには、受動喫煙が及ぼす健康への悪影響について啓発に努めるとともに、受動喫煙を生じさせない環境整備をより一層進めることが必要です。
行政だけでなく、市民、保護者、事業者及び施設管理者がそれぞれの立場から行動し、かつ、互いに連携し、協力しあって、自らの意思で受動喫煙を避けることが困難な子どものほか、妊婦や傷病者をはじめとする市民のだれもが他人のたばこの煙にさらされることのない、安心して健康でいきいきと暮らせる社会を実現することを目指して、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、市、市民、保護者及び事業者の責務を明らかにするとともに、市民が受動喫煙を避けることができる環境整備に必要な措置をとることにより、受動喫煙による健康への悪影響を未然に防止することを目的とする。
(1) たばこ たばこ事業法(昭和59年法律第68号)第2条第3号に掲げる製造たばこであって、同号に規定する喫煙用に供されるもの及び同法第38条第2項に規定する製造たばこ代用品をいう。
(2) 喫煙 人が吸入するため、たばこを燃焼させ、又は加熱することにより煙(蒸気を含む。以下同じ。)を発生させることをいう。
(3) 受動喫煙 人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされることをいう。
(4) 市民 市内に居住し、在勤し、在学し、若しくは滞在し、又は市内を通過する者をいう。
(5) 保護者 親権を行う者、未成年後見人、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設の長その他の者で未成年者を現に監督し保護する者をいう。
(6) 事業者 市内で事業活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。
(7) 施設管理者 多数の者が利用する施設(敷地を含む。以下同じ。)について事実上現場の管理を行っている者をいう。
(8) 禁煙施設 次に掲げる施設で、敷地内の全部について禁煙とする施設をいう。
ア 子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第7条第4項に規定する教育・保育施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に掲げる小学校及び中学校並びにこれらに類するものとして規則で定めるもの
イ 市の施設であって規則で定めるもの
(9) 分煙施設 市の施設であって、敷地内の屋外に喫煙場所を設けることができる施設として規則で定めるものをいう。
(10) 特定屋外喫煙場所 分煙施設の屋外であって、当該分煙施設の施設管理者によって区画され、喫煙をすることができる場所である旨を表示した標識を掲示し、たばこの煙の流出による受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所をいう。
(11) 指定喫煙場所 分煙施設の屋外であって、望まない受動喫煙を生じさせない場所として当該分煙施設の施設管理者によって指定された区画で、喫煙をすることができる場所である旨を表示した標識が掲示された場所をいう。
(市の責務)
第3条 市は、受動喫煙による健康への悪影響を未然に防止するための環境の整備に関する総合的な施策を策定し、実施する責務を有する。
2 市は、市民、保護者及び事業者の自主的な受動喫煙の防止に関する取組を促進するため、情報の提供、普及啓発その他の必要な支援を行うものとする。
3 市は、その管理する施設等において、受動喫煙による健康への悪影響が生じないよう適切な措置を講じなければならない。
(市民の責務)
第4条 市民は、喫煙及び受動喫煙による健康への悪影響について理解を深めるとともに、他人に受動喫煙を生じさせることがないよう努めなければならない。
2 市民は、市が実施する受動喫煙の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(保護者の責務)
第5条 保護者は、いかなる場所においても、その監護する未成年者に対し、受動喫煙による健康への悪影響を未然に防止するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、喫煙及び受動喫煙による健康への悪影響について理解を深め、受動喫煙を防止するための環境整備に取り組むとともに、市が実施する受動喫煙の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(連携及び協力)
第7条 市、市民及び事業者は、受動喫煙の防止に関する普及啓発その他の必要な施策の効果的な推進のため、相互に連携し、協力するよう努めなければならない。
(特定施設における喫煙の禁止)
第8条 何人も、禁煙施設及び分煙施設(以下「特定施設」という。)において喫煙をしてはならない。ただし、特定屋外喫煙場所及び指定喫煙場所においては、この限りでない。
2 施設管理者は、その管理する特定施設(特定屋外喫煙場所及び指定喫煙場所を除く。以下この条において同じ。)に吸い殻入れ、灰皿その他喫煙の用に供する器具又は設備を設置してはならない。
3 施設管理者は、禁煙施設にあっては当該施設の敷地内において喫煙をしてはならない旨を、分煙施設にあっては当該施設の指定された場所以外で喫煙をしてはならない旨を、それぞれ表示した規則で定める標識を掲示することにより、周知しなければならない。
4 施設管理者は、その管理する特定施設において、第1項本文の規定に違反して現に喫煙をしている者を発見したときは、その者に対し、直ちに喫煙の中止又は退去を勧告することができる。
(特定屋外喫煙場所及び指定喫煙場所)
第9条 分煙施設の施設管理者は、その管理する分煙施設に特定屋外喫煙場所又は指定喫煙場所を設けることができる。
2 特定屋外喫煙場所又は指定喫煙場所を設けることができる分煙施設は、別に規則で定める。
3 分煙施設の施設管理者は、特定屋外喫煙場所を設ける場合は次に掲げる措置を講じなければならない。
(1) 特定屋外喫煙場所は、施設を利用する者が通常立ち入らない場所に設置するとともに、近隣の建物に隣接しない場所に設置するよう配慮するものとする。また、特定屋外喫煙場所と非喫煙場所を明確に区別するため及びたばこの煙の流出による受動喫煙を防止するため、規則で定める措置を講じること。
(2) 特定屋外喫煙場所に喫煙場所である旨を表示した標識を見やすい位置に掲示すること。
4 分煙施設の施設管理者は、指定喫煙場所を設ける場合は次に掲げる措置を講じなければならない。
(1) 指定喫煙場所は、施設の出入口等利用者の通行が多い場所を避けて設置するとともに、近隣の建物に隣接しない場所に設置するよう配慮するものとする。また、指定喫煙場所と非喫煙場所の区分に努め、受動喫煙が生じないよう十分配慮すること。
(2) 指定喫煙場所に喫煙場所である旨を表示した標識を見やすい位置に掲示すること。
(未成年者の立入りの制限)
第10条 分煙施設の施設管理者は、その管理する特定屋外喫煙場所又は指定喫煙場所に未成年者を立ち入らせてはならない。
2 保護者は、特定屋外喫煙場所及び指定喫煙場所に未成年者を立ち入らせてはならない。
(命令)
第12条 市長は、前条の規定による勧告を受けた施設管理者が当該勧告に従わないときは、当該施設管理者に対し、期限を定めて、当該勧告に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。
(未成年者の受動喫煙防止)
第13条 何人も、次の各号に掲げる場所等において、未成年者に受動喫煙を生じさせないよう努めるものとする。
(1) 第2条第8号アに規定する施設並びに学校教育法第1条に掲げる高等学校及び特別支援学校の敷地に隣接する道路
(2) 湖南市地域ふれあい公園条例(平成17年湖南市条例第35号)第1条に規定する地域ふれあい公園
(3) 通学時間帯における市内の道路
2 市は、市立の小学校の児童及び中学校の生徒に対し、喫煙及び受動喫煙による身体への悪影響等に関する教育を推進するものとする。
(委任)
第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、令和2年7月1日から施行する。