世界をツナグ 未来志向の交流拠点を創造できるまち
ネコネブタを制作する中森さん
2019年12月に京都市から移住された中森健さん。
海外生活や経営者、製作者としてのマネジメント経験を活かし、地域おこし協力隊として「未来志向の公民館」の設立に向けプロジェクトを進行中。
現在は市や県内外を飛び周り、人と人、アイデアとアイデアを結ぶプロデューサーとして活動されています。
「私のプロジェクトである「未来志向の公民館」の「未来志向」とは『少し先のありたい姿』、「公民館」は仲間同士が『つどう』『まなぶ』『むすぶ』場所という意味で使用しています。ここで言う「場所」はリアルな世界とデジタルな世界(インターネットの世界)の両方を意味しています。
1.『つどう』=気軽に人々がつどうことができる場
2.『まなぶ』=興味関心に基づいて、知識や技術を学ぶ場
3.『むすぶ』=ネットワークを拡げる場
最初は「私」のプロジェクトとしてスタートしたものが、仲間が増えて「私たち」プロジェクトになれば、一人では到底不可能だったことも出来るようになるという考え方の元で、3つのテーマ「アートと猫」「エシカル(人や社会、地球環境、地域に配慮した考え方や行動)消費」「食を通じたヨーロッパとの交流」にて、プロジェクトを立ち上げ、それぞれの事業化に取り組んでいます。」
中森さんはなぜこのようなプロジェクトを始められたのでしょうか?
「アートや環境活動を通じて社会に顕在化する様々な問題を知り体験する中で、個別の行動では複雑化する社会を捉える事はできず、多様な関係者が多層的に連携・共創し、イノベーションを創り出すシステムデザインに関心があります。また、テクノロジーの進化やAI(人工知能)の台頭により、私たちの生活や働き方はどのように変化していくのか?地球温暖化対策としてヨーロッパで進む「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の動向やウェルビーイング経済(GDP統計だけでなく、身体的、精神的、社会的に良好な関係を含む経済)に未来を感じています。
現在「ありたい未来の姿から逆算して現在の行動を考える(バックキャスティング)」という方法論でプロジェクトに取り組んでおり、2025年のありたい姿として、大阪・関西万博をきっかけにSDGs達成に向けた多くのコラボレーションが湖南市から生まれることを目標にしています。
注)SDGsとは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。(外務省HPより)2025年大阪・関西万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献」「日本の国家戦力Society5.0の実現」を目指しています。(公益社団法人2025年日本国際博覧会協会HPより)
「ネコネブタ」ワークショップの様子
短期(2022年のありたい姿)の目標としては、アートやクリエイティブに関わる人々が湖南市にもっと訪れてほしいと思っています。猫好きには記念すべき年である2022年(ニャーニャーニャー年)に「猫をテーマにした現代芸術際(コニャンナーレ)」を湖南市にて開催したいという目標の元で、昨年度よりワークショップのデザインに取り組んでおり、2020年から市民参加型のワークショップを「石部まちづくりセンター工芸室」にて定期的に開催する予定をしています。また7月の「愛宕まつり」では出来上がった作品を展示し、2022年「猫をテーマにした現代芸術際」実現に向けたPR活動を展開していきます。」
湖南市に移住される前後の印象を聞いてみました。
「以前「保護猫」に関わる活動をしていた関係で「コニャン市長選挙」のことは知っていました。面白い取り組みをしているなと思ってはいたのですが、地域おこし協力隊の募集を知るまで湖南市を訪れたことはありませんでした。
初めての印象は「ものづくりのまち」でしたが、湖南市で活動する中で現在抱いている印象は「未知なものに対して積極的に門戸を開き、新しいヒト、モノを積極的に受け入れるまち」です。
東海道五十三次の宿場「石部宿」として発展した地域性や外国人労働者を積極的に受け入れ「多文化社会の進展」をボトムアップで進めてきた文化が根付いているのかなと自分では思っています。
食の交流事業「しが農業女子100人プロジェクト」
また「地域自然エネルギーの利活用」に関しても全国自治体の中でも先駆的であり、「未知なものに心を開くまち」は人口減少が進み、未来に向けて不安を抱えている地方都市というよりも、日本の未来を明るくする地方のモデル都市として多くの可能性を秘めていると感じています。」
湖南市を中心に人やアイデアを紡いでいく。また「こにゃん市」を具現化する事にも取り組まれています。今後の活動に注目です。
「未来志向の公民館」では現在進めている3つのテーマ以外にも、SDGs達成への貢献ができる市民の方々からアイデアやプロジェクト企画を随時募集されています。
詳細についてはHPを確認してください。
未来志向の公民館(2020年4月1日公開予定)
https://www.futurework2030.com
(プロフィール)
中森 健
大阪市内で生まれ育つ。
1987年、ロサンゼルス・ハーバー大学にてファーストアートを専攻後、サンフランシスコ市にて古い家具をアップサイクルするインテリアショップを共同経営しながら創作活動を行う。
1997年、メディアアートの先駆者である山口勝弘氏が構想した「淡路島芸術村計画」への参加をきっかけに淡路島へ移住。主に環境・舞台芸術の創作に関わる。
2000年、映像制作会社を設立し、プロデューサーとして活動を開始する。京都造形芸術大学 芸術教育研究機構研究員・非常勤講師や京都府宮津市竹資源木質バイオマスエネルギー利活用調査委員として活動後、東日本大震災を機に全ての活動を一旦休止。
2013年「保護猫文化」を広めるためのソーシャルビジネススタートアップに参画する。
2018年12月より地域おこし協力隊として着任し、「未来志向の公民館」というプロジェクト名にて活動を続けている。
更新日:2021年05月17日