○湖南市議会基本条例
平成24年6月22日
条例第16号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条~第4条)
第3章 市民と議会の関係(第5条~第7条)
第4章 市長等執行機関と議会及び議員の関係(第8条~第11条)
第5章 議会及び議会事務局の体制整備(第12条~第16条)
第6章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第17条・第18条)
第7章 最高規範性と継続的な検討(第19条~第21条)
付則
湖南市議会(以下「議会」という。)は、湖南市長とともに湖南市民の信託を受けて湖南市の二つの代表機関を構成している。議会は多人数による合議制の機関として、市長は独任制の機関として、二元代表制の特性をいかし、市民の意思を市政に的確に反映させるため、互いの抑制と均衡を図りながら湖南市として最良の意思決定を導く共通の使命が課されている。
地方分権の進展にともない自治体の主体的な決定と責任の範囲が拡大した今日、議会の役割はますます大きくなっている。議会は、自由闊達な討議を通して、その持てる機能を十分に駆使し、自治体事務の立案、決定、執行、評価における論点・争点を明らかにし、広く市民に積極的な情報の公開を進める。また、市民との意見交換の場を多様に設けることにより、市民に開かれた議会、市民に身近な信頼される議会をめざし、市民との協働のもと、議会のめざすべき理念を達成するために、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市民に身近な議会及び議員の活動の活性化と充実のために必要な議会運営の基本事項を定めることにより、市民が安心して生活できる豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、市民を代表する議決機関であることを常に自覚し、公正性、透明性及び信頼性を重視して、市長等執行機関の市政運営状況を監視し、及び評価するものとする。
2 議会は、市民の多様な意見を把握して市政に反映させるために必要な政策を立案し、又は質問等を行うことで執行機関に提案することにより、市民と一緒にまちづくりの活動に取り組むものとする。
3 議会は、市民に開かれた議会をめざして情報公開に取り組むとともに、市民に対して議会の議決又は運営について事実に基づいてその経緯、理由等を説明する責任を果たすものとする。
4 議会は、市民にわかりやすい議会運営を行うために、この条例に規定するもののほか、議会運営の基本となる湖南市議会会議規則(平成24年湖南市議会規則第1号)、湖南市議会委員会条例(平成16年湖南市条例第197号)及び議会内での申し合わせ事項を継続的に見直すものとする。
5 議会は、市民の関心を高めるような議会運営に努めるものとする。
6 議会の委員会は、次に掲げるところにより運営する。
(1) 委員会は、社会経済情勢等により新たに生じる行政課題等に迅速かつ的確に対応するため、委員会の専門性と特性を活かし適切な運営に努めなければならない。
(2) 委員会は、市長提出の議案等の審査又は所管事務の調査によって把握した市政の課題について、その解決を図るため、積極的に政策提案を行うよう努めるものとする。
(3) 委員会は、市民からの要請に応じ、審査の経過等を説明するとともに、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する懇談会等を積極的に開催するよう努めるものとする。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議の推進を図らなければならない。
2 議員は、市政の課題全般についての市民の意見を的確に把握するとともに、不断の自己研さんによって、市民の代表としてふさわしい活動をしなければならない。
3 議員は、個別及び地域別等の市民の意見を把握して、市民全体の福祉の向上をめざして活動しなければならない。
4 政務活動費については、湖南市議会政務活動費の交付に関する条例(平成16年湖南市条例第5号)に定めるところによる。
(会派)
第4条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。
2 会派は政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成し、活動する。
3 会派は政策立案、政策決定及び政策提言等に関し、必要に応じ会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。
第3章 市民と議会の関係
(市民参加及び市民との連携)
第5条 議会は、議会活動に関する情報を積極的に公表するとともに、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、常任委員会、特別委員会等を原則公開するとともに、会期中又は閉会中を問わず、市民が議会の活動に参加できるような懇談会等を開催するように努めるものとする。
3 議会は、常任委員会、特別委員会等の運営にあたり、参考人制度及び公聴会制度を活用して、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案と位置づけるとともに、審議に必要がある場合は提出者の意見を聴くものとする。
5 議会は、市民、市民団体及びNPO等との意見交換の場を多様に設けて、議会及び議員の政策能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。
(市民との意見交換会)
第6条 議会は市政の諸課題に柔軟に対応するため、市政全般にわたって議員及び市民等が自由に意見を交換するものとする。
2 市民との意見交換会に関することは、別に定める。
(議会広報の充実)
第7条 議会は、議案に対する各議員の対応を議会広報で公表する等、情報の提供に努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
第4章 市長等執行機関と議会及び議員の関係
(緊張感の保持)
第8条 議会審議において、議員と市長等執行機関は、緊張感の保持に努めなければならない。
2 議会の代表質問及び一般質問は、一括方式、分割方式又は一問一答方式のいずれかの方法で行い、広く市政上の論点及び争点を明確にするよう努める。
3 市長等執行機関は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問等に対して、反問することができる。
4 議長は、市長による専決処分を最小限にとどめるべく、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第101条2項の規定に基づく議会招集の請求を積極的に行うよう努めるものとする。
5 議会は閉会中に市長等に対し、文書により質問を行い、文書による回答を求めることができる。
(市長による政策等の形成過程の説明)
第9条 議会は、市長が提案する計画、政策、施策及び事業等(以下「政策等」という。)について、政策等の水準を高めるため及び市民への公開のため、市長に対して、次の各号に掲げる事項の説明に努めるよう求める。
(1) 政策等を必要とする背景
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策との比較・検討
(4) 市民参加の実施の有無及びその内容
(5) 総合計画との整合性
(6) 政策実施に関わる財源措置
(7) 将来にわたる効果及び費用
2 議会は、前項の政策等の提案を審議するにあたっては、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
(予算及び決算における政策説明資料の作成)
第10条 議会は、市長が予算案及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すにあたっては、前条の規定に準じて、市長に対し施策別又は事業別の分かりやすい政策説明資料の作成に努めるよう求める。
2 議会は、市長が執行した事業等の評価を行わなければならない。また、その評価を次年度以降の予算に、十分反映させるよう求めなければならない。
(法第96条第2項の議決事件)
第11条 法第96条第2項の規定に基づく議会の議決事件は、次の各号に掲げるとおりとし、市政全般にわたり重要な計画等について、議会と市長等執行機関がともに市民に対する責任を担いながら、計画的かつ市民の視点に立った透明性の高い市政の運営に資するものとする。
(1) 総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想及びこれに基づく基本計画に関すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、市行政の各分野における、政策及び施策の基本的な方向を定める計画、指針その他これらに類するものに関すること(行政内部の管理に係る計画、特定の地域を対象とする計画及び計画期間が5年未満の計画を除く。)で、次に掲げるもの
ア 都市計画及び上下水道等に関する計画
イ 社会福祉、医療及び介護に関する計画
ウ 農林水産業及び商工業その他の産業の振興に関する計画
エ 市民生活の安全、交通及び環境に関する計画
オ 次世代育成及び男女共同参画に関する計画
カ 教育に関する計画
キ その他特に議会が必要と認める計画
(3) 市が他の公共団体等と結ぶ提携又は協定
第5章 議会及び議会事務局の体制整備
(議員研修の充実強化)
第12条 議会は、議員の資質並びに政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めなければならない。
2 議会及び議員は、市民の課題を広い視点から捉えるため、他の自治体の事例等を調査研究し、その結果を市民に公表、報告することに努めなければならない。
(議会事務局の体制整備)
第13条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るよう努めるものとする。
(予算の確保)
第14条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとする。
(議会図書室)
第15条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議会図書室の図書の充実に努めるものとする。
2 議員は、議会図書室の活用に努めるものとする。
(専門的知見の活用)
第16条 議会は、市の直面する重要課題に対応するため、大学等研究機関との連携又は専門的な知識及び経験を有する者の積極的な活用に努めるものとする。
第6章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第17条 議員の政治倫理の規範は、湖南市政治倫理条例(平成17年湖南市条例第29号)に定めるものとする。
2 議員は、市民全体の奉仕者として、その倫理性を常に自覚するとともに、条例を規範として遵守しなければならない。
(議員定数及び議員報酬)
第18条 議員定数は、湖南市議会議員定数条例(平成19年湖南市条例第20号。以下「議員定数条例」という。)に定めるものとし、議員報酬は、湖南市議会議員の議員報酬及び費用弁償に関する条例(平成16年湖南市条例第47号。以下この条において「議員報酬等条例」という。)に定めるところによる。
第7章 最高規範性と継続的な検討
(最高規範性)
第19条 この条例は、議会における最高規範であって、議会に関する他の条例等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例と整合を図るものとする。
2 議長は、この条例の理念を浸透させるため、初めて当選した議員に対し、一般選挙を経た任期開始後、速やかに、議会運営、政務活動費等の必要事項とともにこの条例に関する研修を行わなければならない。
(議会及び議員の責務)
第20条 議会及び議員は、この条例の理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される議会に関する他の条例等を遵守して議会を運営し、もって市民を代表する合議制の機関として、市民に対する責任を果たさなければならない。
(継続的な検討)
第21条 議会は、この条例の施行後、常に市民の意見及び社会情勢の変化等を勘案し、随時、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
付則
この条例は、平成24年7月1日から施行する。
付則(平成25年条例第1号)
この条例は、平成25年3月1日から施行する。
付則(平成25年条例第43号)
この条例は、平成25年11月1日から施行する。
附則(令和7年条例第18号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(湖南市総合計画策定条例の一部改正)
2 湖南市総合計画策定条例(平成26年湖南市条例第17号)の一部を次の表のように改正する。