令和6年度から適用される個人住民税の主な改正点
1 . 国外居住親族に係る扶養控除の見直し
2 . 上場株式等の配当所得等や譲渡所得等などの課税方式が統一されます
3 . 森林環境税(国税)の課税が始まります
1.国外居住親族に係る扶養控除の見直し
国外居住親族に係る扶養控除等の適用については、所得要件の判定において国内源泉所得が用いられており、国外で一定以上の所得を稼得している親族でも控除の対象とされているとの課題があることを踏まえ、国外居住親族の扶養控除の適用対象となる親族の年齢要件を見直し、年齢30歳以上70歳未満の人については一定要件に該当しない限り扶養控除の適用対象から令和6年度の市県民税より除外することとなりました。
扶養親族の居住地 | 15歳まで | 16歳から29歳 | 30歳から69歳 | 70歳以上 |
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国内 | 適用対象外 | 適用対象 | 適用対象 | 適用対象 |
国外 | 適用対象外 | 適用対象 | 適用対象外(注意1) | 適用対象 |
注意1:留学生、障がい者または38万円以上の送金を受けている人で一定の書類を提出または提示した場合は除きます。
扶養控除の適用対象となる一定要件
扶養控除の適用対象者から、日本国外に居住する親族のうち30歳以上70歳未満の人が除外されますが、下表のいずれかに該当する場合は、扶養控除の適用対象者となります。
対象者 | 提出または掲示が必要な書類(注意2) | |
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1 | 留学により非居住者となった人 | 外国政府または外国の地方公共団体が発行した留学の在留資格に相当する資格をもって在留者であることを証する書類 |
2 | 障がい者 | 障害者控除の要件に従う(注意3) |
3 | その居住者からその年における生活費または教育費に充てるための支払いを38万円以上受けている人 | 送金関係書類(注意4)でその送金額などが38万円以上であることを明らかにする書類 |
注意2:上記1または3に該当する人について、扶養控除の適用を受けようとする居住者は、給与等もしくは公的年金等の源泉徴収、給与等の年末調整または確定申告の際に、親族が上記1または3に該当することを明らかにする書類を提出または提示する必要があります。
注意3:扶養控除の適用を受けようとする場合に新たに提出または提示が必要となる書類はありませんが、障害者控除の適用を受けるために親族関係書類(戸籍の附票またはパスポートの写しなど)および送金関係書類(注意4)の提出または提示が必要となります。
注意4:送金関係書類とは次の書類で、居住者がその年において国外居住親族の生活費または教育費に充てるための支払を必要の都度行ったことを明らかにするものをいいます。
・ 金融機関の書類またはその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類(外国送金依頼書の控え)
・ クレジットカード発行会社の書類またはその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したことなどにより、その商品等の購入などの代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した、または受領することとなることを明らかにする書類(クレジットカードの利用明細書)
2.上場株式等の配当所得等や譲渡所得等などの課税方式が統一されます
上場株式等の配当所得等や譲渡所得等、特定公社債等の利子所得等については、所得税と個人住民税(市民税・県民税)において異なる課税方式の選択が可能とされてきましたが、金融所得課税は所得税と個人住民税が一体として設計されてきたことなどを踏まえ、公平性の観点から、令和6年度の個人住民税より、課税方式を所得税と一致させる改正がなされました。(令和4年度税制改正)
この改正により、所得税で申告不要を選択した場合は、個人住民税でも申告不要となり、所得税で総合課税および分離課税で申告を行った場合は、個人住民税でも総合課税および分離課税で申告したこととなり、所得税と個人住民税とで異なる課税方式を選択することができなくなります。
所得税で配当所得等や譲渡所得等を申告した場合
所得税で上場株式等の配当所得等や譲渡所得等を確定申告すると、これらの所得は個人住民税でも合計所得金額や総所得金額等に算入されることになります。
扶養控除や配偶者控除の適用、非課税判定、国民健康保険税や後期高齢者医療保険料、介護保険料などの算定、各種行政サービスに影響が出る場合がありますのでご注意ください。
また、所得税の確定申告において課税方式(総合課税、分離課税、申告不要)を選択した場合、その後、修正申告などにおいてその選択を変更することはできません。
詳しくは最寄りの税務署に問い合わせてください。
3.森林環境税(国税)の課税が始まります
森林環境税とは、我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や、災害防止を図るための森林環境整備などに必要な地方財源を安定的に確保する観点から創設された国税です。
令和6年度から国内に住所を有する個人に対して一人年額1,000円が課税され、個人住民税均等割と併せて市が徴収します。
森林環境税については、その税収の全額が森林環境贈与税として都道府県・市区町村へ贈与される仕組みとなっています。
森林環境税の非課税基準(森林環境税が課税されない人)
森林環境税が非課税となる基準は、湖南市では個人住民税(市民税・県民税)の均等割が非課税になる基準と同じです。
・1月1日現在、生活保護法による生活扶助を受けている人
・障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親に該当する人で前年の合計所得金額が135万円以下の人
・前年の合計所得金額が次の算式で求めた額以下の人
区分 | 非課税基準額 |
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扶養親族なしの人 | 合計所得金額が38万円以下 |
扶養親族ありの人 | 合計所得金額が28万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の数)+26万8千円 |
「合計所得金額」…損失の繰越控除前の総所得金額等
「同一生計配偶者」…合計所得金額が48万円以下の生計を一にする配偶者
注意:扶養親族には16歳未満の扶養親族も含みます。
区分 | 令和5年度まで | 令和6年度から | |
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森林環境税 | 国税 | ― | 1,000円 |
個人住民税 (市・県民税均等割) |
県民税 | 2,300円 | 1,800円 |
市民税 | 3,500円 | 3,000円 | |
合計 | 5,800円+市・県民税所得割 | 5,800円+市・県民税所得割 |
注意:平成26年度から「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律」により、個人住民税(市民税・県民税)均等割に加算してご負担していただいていた復興特別税(年額1,000円(県民税500円、市民税500円))は、令和5年度で終了し、令和6年度から新たに森林環境税が導入されます。
更新日:2023年11月17日