平成31年度

更新日:2019年07月01日

平成31年度(2019年度)湖南市教育方針 ~「人生100年時代を豊かに生きる教育」を創造する ~

はじめに

1 社会の変化と教育改革

 長寿社会の生き方を説いた『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(2016年 リンダ・グラットン著)の中にある、「2007年にアメリカやカナダ、イタリア、フランスで生まれた子どもの50%は、少なくとも104歳まで生きる見通しだ。日本の子どもにいたっては、なんと107歳まで生きる確率が50%ある。」の文章は、衝撃をもって受け止められました。平成29年(2017年)には、日本政府は著者を招き「人生100年時代構想会議」をスタートさせています。

 前掲書の中で著者は、「人生100年時代」において重要性が増すものとして、1.教育 2.多様な働き方 3.無形資産 をあげています。

 日本の教育制度は、それぞれの時代の要請により教育改革を繰り返してきました。現在は、人口減少・少子高齢化・グローバル化・急速な技術革新による超スマート化(注1 Society5.0)など、社会は様々な分野で、大きく・速く変化しています。そのような中で、注2 第3の教育改革と第4の教育改革が並行して進んでいる状況にあります。

 おりしも新元号年度が始まるこの年、湖南市においては「人生100年時代を豊かに生きる 教育」の創造のための取組を進めます。

2 平成31年度(2019年度)の基本方針

 子どもたちは、「豊かにはなったが、成長にとっては決して恵まれた環境ではない社会」の中で生活しています。明日の湖南市を担う子どもを育てるため、引き続き「楽しくて力のつく湖南市教育」を標榜し、「夢と志を育て、『生きる力の根っこ』を太くする」をスローガンに掲げて学校教育に取り組みます。

 「生きる力の根っこ」は自尊感情であり、自尊感情を育むために湖南市では「学力向上 プロジェクトによる学力保障」、「こころの教育の推進による仲間づくり」、「地域との協働によるふるさと意識の醸成」を取組の三本柱として、子どもたちをきめ細かに守り育む教育を推進します。

 湖南市が学校教育を通して育てようとしている「生きる力」とは、変化の激しい時代にあっても、「人生100年時代」を見据え、思いやりのある豊かな心を持ちながら、自ら考え自ら行動し、たくましく未来を切り拓くことができる力に他なりません。

 これからの未来社会を生き抜く子どもたちには、課題の解決が困難に思えるときであっても決してあきらめることなく、周りの仲間と相談しながら、力を合わせ困難を切り拓いていける「自らが踏ん張って、何とかしようとする態度」と「仲間と協力して、何とかできる力」を育てることが必要です。これらの態度と力を育てるためのキーワードが、「学力保障・仲間づくり・ふるさと意識」です。

 また子どもたちは、「人生100年時代」を生き抜く力のすべてを義務教育諸学校で手に入れる訳ではありません。義務教育の小中学校では、子どもたちが上級学校に進学したり社会人となってからも成長していける基礎となる力を培います。そのためのキーワードも、「学力保障・仲間づくり・ふるさと意識」です。

 湖南市においては、「人生100年時代を生き抜く基礎となる力」を学校教育だけで育てるのではなく、学校運営協議会や地域学校協働本部、まちづくり協議会等との協働による「学校・家庭・地域の総合力」を子ども育ての基本とします。

湖南市教育の図

重点項目

1 学校と地域との連携 ~ 注3 子どもはキャスト・子どもはスタッフ ~

(1)地域と共に歩む学校づくりの推進

注4コミュニティ・スクールへの移行が未実施の1中学校区については、これまでの校区連携や地域の実態を生かして、中学校区としてのコミュニティ・スクールへの移行を探ります。

・ 地域と学校が連携して子どもを育てるコミュニティ・スクールからさらに発展させ、まちづくり協議会との協働に努め、「注4スクール・コミュニティ=学校と協働して子どもを育てる地域」づくりを進めます。

・ 子どもたちの地域行事への積極的な参加・参画と地域の受け入れを進め、「地域の人との挨拶」を中心に、地域の主体者としての意識を醸成する取組を推進します。

・ 平和な日常が今後も継続することを願い、戦後70年の節目である平成27年度から始まった、「湖南市平和の鐘」の取組が充実するように、まちづくり協議会の協力を得て進めます。

(2)地域や地元企業との連携の推進

・ これまで、地元企業から学校に対して、数多くの支援をいただいています。このような企業等の社会貢献活動に応え、そのさらなる促進と学校教育環境の充実の好循環を図るため、「学校教育きらめきサポーター制度」の取組を継続して推進します。

・ ふるさと納税やクラウドファンディングを活用して、子どもたちの夢や志を育てる資金面での連携を研究します。

・ 働くことの意味や大切さを理解し実践力を培うために、中学生の職場体験学習(チャレンジウィーク)の場を広げ、地元企業との連携を図ります。

2 学校教育の推進~中学校区連携を重視した多様性を認める教育~

(1)「確かな学力」を身につけるための取組

・ 「学力とは何か」という議論を通して、学校教育法が改正され、第30条2項が加えられ、学力の重要な三つの要素が示されました。すなわち、

1. 基礎的な知識及び技能

2. 課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力

3. 主体的に学習に取り組む態度(=学びに向かう力)

が「学力の3要素」です。

・ 「読む力・書く力・聞く力・話す力」の基礎・基本を鍛える各学校での共通実践により 「自覚した学び」の錬成に努め、「1」を追求します。

・ 「自覚した学び」は、「授業の湖南市スタイル」の注5「0=土台」にも相当し、学習中 の姿勢やインクルーシブ教育で大事にしている内容を大切に扱います。

・ 「学力向上委員会」の組織的取組を充実させ、「授業の湖南市スタイル」や「表現する 力・理解する力を高めるポイント5」(資料:後掲)に基づく授業改善や「学力向上ワー キンググループ」の実践成果を各学校に広め、授業改善に対する教職員の意識向上 と、「対話」による学習活動を重視して「2・3」を追究します。

・ 「人生100年時代」を豊かに生きるためには、課題設定力・課題解決力・コミュニケーション力・異文化適応力等の「21世紀型学力」を育てることが重要です。そのため、複数教科を関連づけての指導の意識化・教科横断的な視点での指導計画の作成と実施を工夫し、正解のない課題に対しても「納得解」を導く力を育成します。

・ 子どもの学力は、多くの点で「語彙の量」と「言語の質」に負うところがあります。そのため、読書の重視にとどまらず、湖南市版音読集「ことばの宝石箱」の活用、「小 さな詩人たち事業」、の諸事業に継続して取り組みます。 また最近の研究によって、子どもたちは自分の分からない言葉を飛ばして読んでいることが明らかになったことから、言葉の力を高めるために音読を重視します。

・ 言葉の発達とともに、子どもの感性を磨きイメージや音・身ぶりによるコミュニケーション能力の発達も、教育においては不可欠の課題です。このため、美術・音楽・体育等の分野における教育にも力を注ぎます。

・ 学力保障の取組は、中学校区ごとの連携を重視します。授業公開を通して保・幼・こども園の時期から、義務教育修了時の子ども像を共有することにより、小中一貫教育につながって行きます。

 ・ 司書教諭・学校司書・学校図書館ボランティアの連携と活用を強化し、学校図書館の機能を活用した授業を創造することにより、学びに対する子どもの主体意識を高めます。

(2)こころの教育と体験的活動の充実

・ 子どもたちの情操を豊かにするため、教材の意味や内容を分析・咀嚼して系統的に教えること(=「理の教育」)と、言葉ではうまく表せないが「いいなぁ。そうありたいなぁ。」と心揺さぶられあこがれを持つ体験(=「情の教育」)をバランスよく取り入れます。

・ 文部科学省指定の「道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事業」に引き続き取り組み、「考え、対話し、議論する道徳」を市内各校に広げます。

・ 地域で功績を残した先人たちの歩みをまとめた『伝えたい故郷の話~心の教育・郷土資料集~』を小中学校で活用し、先人たちの努力や労苦を学ぶことにより、ふるさとへの誇りや郷土意識及びよりよい社会づくりに参画しようとする志を育て、豊かな人間性と地域を愛する心を育みます。

・ 子どもたちに心豊かな人間性を育むため、「異年齢遊び」「色々な人とのふれあい」「働くことの喜び」を重視し、「本物との出会い」をキーワードにした、多様な体験活動を工夫します。

(3)いじめ等児童生徒指導上の課題への対応

・ 「湖南市いじめ問題対策連絡協議会等条例」及び「湖南市いじめ防止対策基本方針」に基づき、いじめの未然防止・早期発見・早期対応に取り組みます。

・ いじめや命の大切さについて考える取組「湖南市いじめをなくそうサミット」は、保護者の参加を得て充実してきています。今後は、各学校で子どもたち自身が命の大切さを自覚し、青春祭(あおはるさい)等の場を活用したり地域にも発信したりすることを通して、いじめをなくすための行動を起こせるよう取組を工夫します。

・ スマートフォンなどの携帯端末を持つ子どもが増えたことにより、その取り扱いによっては子どもへの危険性が高まるだけでなく、いじめも見えにくくなってきています。情報機器の正しい使い方を実践できる取組を、子どもたちへの実態調査・保護者への啓発と併せて実施し、PTA・学校・子どもとの連携を通じて「湖南市スマホ使用3ヶ条」の浸透を図り、「使用マナーの意識化、使用のルールづくり」をさらに進めます。

(4)特別支援教育・インクルーシブ教育の推進

・ 共に学ぶことに配慮しつつ、支援の必要な子どもが力を十分に発揮できるよう、必要な教育的支援を行おうとするインクルーシブ教育の推進等を通じて、本市の特別支援教育をさらに充実・発展させるとともに、その成果を広め、教職員の資質向上を図ります。

・ 「湖南市発達支援システム」に基づき、巡回相談や専門家チームにおける検討を反映させた、合理的配慮に基づく支援の提供を充実させます。

(5)各種教育(キャリア教育・主権者教育・プログラミング教育等)への取組

・ キャリア教育は人間としての「在り方・生き方教育」であり、「人生100年時代」における「人生設計力」を育むためにも大事にすべき学習です。地域の人々の協力や地元企業 との連携(=本物との出会い)も図りつつ、起業も様々な選択肢の一つとして、中学校 での職場体験にとどまることなく、小学校段階から様々に取り組みます。

・ 公職選挙法の改正により、選挙権が18歳に引き下げられました。高校生になってからの主権者教育ではなく、家庭の一員・まちづくりの一翼を担うスタッフ、さらには民主国家を築き支える国民としての自覚を育む主権者教育に、小学校段階から取り組みます。

・ 小中学生の「こなん政策アカデミー」への参加など、湖南市への政策提言の取組を進め、一人ひとりの思いがまちづくりにつながっていることを実感させることにより、主権者としての自覚を促します。

・ 2020年度からの小学校での必修化を見据え、「21世紀型スキル」に含まれる論理的思考力を育むため、注6体験を通したプログラミング教育の進め方を研究します。

(6)子どもの健康・体力向上への取組

・ 「人生100年時代」を豊かに生きるためには、心と体が健康であることが大切です。生涯を通して健康維持・体力向上に努められるよう、健康教育・生涯スポーツの取組を進めます。

・ 小学校においては、体育の授業だけでなく、教科外の時間において継続して「運動遊び」を行うことにより、子どもたちに運動の習慣を身につけさせ、体力の向上を図ります。

・ 中学校においては、生涯スポーツにつながる部活動の在り方を模索します。

・ 身体が大きく成長する学齢期の子どもたちは、筋肉や骨格をしっかりと発達させる必要があります。子どもたちの体力低下が姿勢保持能力の低下に現れていることから、立腰教育を「静的な筋力」を鍛え、内臓機能の活性化を促す健康教育として位置づけて取組を重視します。

・ 「早寝・早起き・朝ごはん」運動による規則正しい生活づくりを進め、県下で低位にある「朝食摂取率」の向上を図ります。

・ 老後を豊かに楽しく生きるためには、永久歯の保存が重要であることから、ブラッシング指導による歯磨きの習慣化とともに、小学生と中学1年生へのフッ化物洗口の取組を準備します。

(7)外国籍児童・生徒への日本語指導の充実

・ 日本語初期指導教室「さくら教室」は、湖南市の先進的な取組です。指導者不足や児童 の多言語化という新たな課題に対して、ICTの活用や企業等の協力を得ながら、その解消を図ります。

・ 各学校に外国籍児童生徒の在籍が増えており、今後も増加が見込まれることから、通訳ソフトの導入を研究します。

・ 湖南市国際協会の事業である「南米語学学習教室」や、自主的な学習組織である「パッソアパッソ」や「カリーニョ」との連携を図ります。

(8)特色ある学校づくり

・ 「湖南市教育の構造図」に基づき、各学校がビジョンを共有しながら、特徴や強みを生かした特色ある実践の取組を進めます。

・ 子どもたちが校歌の意味を理解して歌うことや地域の歴史を知る学習等により、愛校心や帰属意識・郷土愛を高め、地域と連携する取組を進めます。

3 人権教育の推進~義務教育修了時の子ども像の共有~

(1)人権尊重意識の醸成

・ すべての人の人権が尊重され、誰もが安心して暮らせる社会を実現するために、部落差別問題をはじめ様々な人権課題を自分自身の課題として考えられるよう、豊かな人権感覚を育み多様性を尊重する人権教育と積極的な啓発活動を進めます。

・ 人権講座、青年集会、人権教育研究大会等を通して、市民や地域をはじめとして、企業や事業所・各種団体への啓発推進に努めます。

・ 「出合い・気づき・発見講座」において、LGBTや外国にルーツがある人たちなど、様々な観点からの人権課題を取り上げ、人権尊重の精神を高め人権啓発に努めます。

(2)連携を重視した、子どもの「育ち」への支援

・ 「湖南市学校・園人権教育基底プラン」に基づいた取組を充実・発展させるとともに、「湖南市人権教育ネット推進事業」「学びの礎ネットワーク推進事業」の推進を通して、中学校区ごとの学校・園・家庭・地域・関係機関の連携を重視しながら、資料や教材についても開発・研究を進めます。

・ 全ての子どもに学力を保障することは進路選択の幅を広げることになり、ひいては人権教育上の課題解決のために大変重要です。そのことから、「授業の湖南市スタイル」や「表現する力・理解する力を高めるポイント5」を人権・同和教育授業研究会の指導案にも活用し、1.自分の考えを持ち、主体的に学習に取り組む姿勢 2.学び合う活動を通した、相手を大切にする態度 3.ともに高め合う集団づくりなどについての研究を深めます。

・ 「家庭学習支援システム」や「らくらく勉強会」「高校等訪問事業」等の工夫により、子どもたちの学力保障と進路保障に努めます。

4 家庭学習の推進と支援の充実

(1)家庭学習への意欲を高める取組の推進

・ 例年の全国学力・学習状況調査の結果から、湖南市の子どもたちは「学校以外での学習時間が少ない」ことが読み取れます。家庭学習の重要性について啓発し、習慣化を図る取組をPTAや家庭とともに進めます。

・ 子どもの学びの力を引き出すためには、家庭での会話など,保護者をはじめとする家族の積極的な関わりも大きな力となります。親子が共に考え対話する機会になるような宿題を意図的に出すなど、子どもとのコミュニケーションを通して保護者が学校を理解する工夫を行い、さらに社会教育委員会議等での協議を通じて、家庭への啓発に努めます。

(2)家庭学習支援システムの構築

・ 子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることがないよう、国よりも先取的な「湖南市発達支援システム」を参考に、教育委員会部局・市長部局・関係機関が有機的に関連しあう、「湖南市家庭学習支援システム」を構築し推進します。

・ 少年センター・あすくる湖南の業務内容にアウトリーチ型学習支援を加え、少年センターが「家庭学習支援システム」の窓口として対象者を把握すると共に、所員も子どもたちの家庭学習支援に関われるようにします。

 ・ スクールソーシャルワーカー、社会福祉士と学校との幅広い連携を重視し、発生した事案に速やかに対応するとともに、関係機関との連携をより密にし、家庭の個別事情に 応じたきめ細かな支援を行います。

 ・ 不登校の児童生徒については、早期の対応を重視し、学校及びふれあい教育相談室と関係機関との連携を深めるとともに、特別支援教育の観点からも積極的なアプローチを行い、一人ひとりが自信を持って一歩を踏み出せるよう支援します。

(3)就学前教育の充実

・ 就学前教育を、様々な学びの芽を育む「芽生えの教育」「学びに向かう力を育てる教育」と捉え、生活や学習の基盤の育成につながるように努めます。

・ 保育園・こども園・幼稚園での学びが小学校に生かせるよう、健康福祉部との連携を更に充実させ、就学前教育と小学校教育との連携を工夫します。

5 生涯学習の推進

(1)社会教育における多様な学習機会の充実

・ 市民が社会や地域の課題についての学びを深め、その力を発揮し、地域社会における多様な担い手になることが求められています。まちづくりと人材育成を見据え、既存の事業を組み込みながら、全庁的・体系的に生涯学習事業を展開する「地域づくり型市民大学」の充実に向け、社会教育委員会議等での議論を通じて、学びの成果を地域に生かせる仕組みの構築を図ります。

・ 社会教育は、市長部局での取組も多くを占めていることから、「地域づくり型市民大学」事務局を複数の関係課が担うようにし、スムーズな運営と取組の充実を図ります。

(2)図書館と子どもの読書活動の充実

・ 図書館を、「地域を支える情報拠点」と位置づけ、市民の豊かな読書生活と知る権利を保障する機関として、資料と情報の充実と提供に努めます。

・ 「湖南市『読書の魅力』種まきプラン」に基づく第2次5カ年計画に基づき、全ての子どもが自主的に読書活動ができるよう、子どもの読書活動を総合的かつ計画的に推進します。

・ 学校教育と社会教育・関係部局との連携を強化し、様々な機会を活用し、幼児期から本と親しむ機会づくりや図書館司書による学校でのブックトーク等の拡充に努めます

・ これからの社会において必要とされる「21世紀型スキル」を磨くためには、読書が重要です。注7各学校での様々な取組により、読書習慣の向上と読書量の拡大に努めます。

(3)健康スポーツと生涯スポーツの推進

・ 「湖南市スポーツ推進計画」に基づき、総合型地域スポーツクラブ等各種スポーツ団体の運営支援やスポーツ推進委員などの人的・物的資源を生かしながら、いつでも・だれでも・どこでも・いつまでも、スポーツに親しめる環境づくりに努めます。

・ 障がいの有無にかかわらず、個々に応じた方法で自己実現を果たせるよう、平成29年度に新設された湖南市体育協会「障がい者スポーツ部」など関係者の支援を得ながら、多様な活動の機会の確保・充実を図ります。

(4)地域の歴史文化の保存と活用

・ 湖南三山・旧東海道・中世城郭・ウツクシマツ自生地等、多くの貴重な歴史文化遺産の保存や活用に努めます。

・ ウツクシマツ自生地の保全・活用事業について、関係課によるプロジェクトチームの活動を継続するとともに、保存活用計画策定委員会において、「保存活用計画」の作成作業に取り組みます。

・ 講座や展示等を通して地域の魅力発見の機会にするとともに、歴史・文化の継承と周知を図ります。

(5)新たな市民文化が育つ環境の充実

・ 文化協会や市民との協働による文化祭や美術展・コンサート等を実施し、文化活動の支援を通して、文化芸術活動の振興を図ります。

(6)家庭の教育力の向上

・ 社会で家庭教育を支える必要性が高まっていることから、「地域づくり型市民大学」等 を通して、家庭教育支援を推進するための人材育成に努めます。

・ 子どもの心身の健やかな成長のために、社会教育委員会議や各校PTA及び市PTA連絡協議会など、諸団体との連携を図りながら、基本的な生活習慣を身に付けるための取組をはじめとして、家庭の教育力(=親力)の向上を推進します。

(7)青少年の交流・活動の推進と健全育成

・ 小中学生を含む青少年が、地域住民と交流する機会や体験活動・社会参加をする機会、リーダー育成につながる機会や場づくりに努め、青少年育成市民会議等の関係団体とともに、地域の一員としての意識を育てます。

・ 生活指導上の課題を持つ少年や無職少年の対策・居場所づくりのため、湖南市少年センター及び青少年立ち直り支援センター「あすくる湖南」の活動の充実を図ります。

6 教職員の働き方改革と資質向上

・ 各学校において業務の見直しを進め、地域や保護者の理解を得ながら、教員が子どもと向き合う時間の確保を図るなど、教育の質を高めるための働き方改革を進めます。

・ 東京学芸大学と連携した「アドバンス研修」、市内に勤務する教職員を講師にした「教師力アップセミナー」、教員が学校や校種の枠を超えて気軽に指導方法について相談できる「きょういくげんき塾」を継続し、その魅力化と充実を図ります。

・ 各教職員が、それぞれの「ライフ」において自らの資質を磨き、豊かな教育の実現につながるよう、市内教職員が自由に集える場を研究します。

・ 全校あげての教育実践の取組成果を左右するのは、学校のチーム力です。そのため、各学校において「チーム学校力」を高める取組を工夫します。

・ 保護者や地域の信頼を得て学校教育を推進することは、教育実践の土台であることから、教職員の不祥事防止研修に積極的に取り組みます。

7 安全・安心な教育環境づくり

・ 学校には子どもの命を守るための重い責任があります。子どもの命を預かり・守る覚悟を再認識し、安全管理とともに地域や消防署と協働・連携した防災教育も重視します。

・ 子どもたちは守られる存在であるだけでなく、自らの安全を確保する力を身に付ける必要があります。そのため、注8子ども自身の自己防衛能力・危機管理能力を高める体験的指導を重視します。

・ 子どもの命・安全を守るため、各学校において緊急時対応情報発信システムとしてのタウンメールへの加入を促進し、緊急時のネットワークを強化します。

・ 通学路の安全対策については、地域の方々の要望等をしっかり踏まえ、「湖南市通学路安全推進会議」を中心に関係機関や関係部署が綿密に連携を図り、通学路の安全確保に努めます。

・ 学校給食センターにおいて、アレルギー対応調理室を設置し、卵の完全除去食が可能となったことから、他のアレルゲンへの対応調理の方途を探るとともに、食の安全確保に努めます。

・ 子どもたちの学習環境を整えるため、小学校空調設備整備に取り組むとともに、トイレの洋式化を検討します。

8 教育委員会機能の強化・充実

・ 「湖南市教育大綱」に沿って、市長と教育委員会とが教育政策の方向性を共有し、一致した教育施策の執行と迅速な課題対応ができるように努めます。

・ 市民や教育現場の声を教育施策に反映していくことは大変重要なことから、教育委員が各学校運営協議会に出かける教育懇談会や、学校教職員との意見交換を積極的に進めます。

・ 社会教育委員との懇談会を開催するなどして、学校教育と社会教育の連携を図ります。

注釈

 

注1 Society5.0 … 日本が提唱する未来社会のコンセプト。科学技術基本法の第5期(2016~2020)で、キャッチフレーズとして登場した。狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)と、人類がこれまで歩んできた社会に次ぐ第5の新たな社会を、デジタル革命・イノベーションを最大限活用して実現するという意味で名付けられた。

 

注2 第3の教育改革と第4の教育改革 … 近代国家の成立により国が教育に深く関わるようになって以降、学校教育制度を中心として、様々な教育改革が行われてきた。今までの教育改革は、大きく四つに整理されている。(1)初等教育段階を義務化する時期(第1の教育改革):日本においては、明治の学制発布以降の連続する改革 (2)中等教育段階を義務化する時期(第2の教育改革):日本においては、第2次世界大戦後の教育改革 (3)高等教育が大衆化して、生涯学習化する時期(第3の教育改革):日本においては、昭和46年(1971年)の中教審答申が「第3の教育改革」の始まりとされている (4)公共部門の事業縮小と市場原理による活性化が意図される時期(第4の教育改革):日本においては、中曽根内閣において臨教審が設置されて以降、行財政改革の流れによって国の財源が地方に移管され、権限の移譲も進められている。

 

注3 子どもはキャスト、子どもはスタッフ … 「キャスト」とは、出演者のことであり、各中学校の吹奏楽部が地域行事で演奏したり、生徒たちがよさこいソーランを披露したりすること等を指す。 「スタッフ」とは、キャスト以外の業務を担当する関係者をいう。従来は、当日参加のボランティアでの活動が多かったが、近年は、事前の計画や準備段階から参画する事例も出てきている。「子どもをお客さんにしない取組」とも同義である。

 

注4  コミュニティスクールと、スクールコミュニティ … 「コミュニティ・スクール」とは、学校運営協議会を設置している学校をいう。学校運営協議会では、1.熟議により、10年後・20年後の地域を支える 人間像を共有する 2.育てるべき人間像に向けての取組を分担することが求められる。「スクール・コミュニティ」とは、学校と協働して子どもを育てている地域をいう。スクール・コミュニティでは、1.「地域の学校」として、学校が活用されるようになり  2.子どもが地域行事のキャストやスタッフとして活動するようになる。

 

注5 「0=土台」… 1.地に足をしっかりと着け、姿勢を正して学習する  2.正しい鉛筆の持ち方で文字を書く  3.美しく整えられた黒板で授業を始める  4.授業の流れを子どもに示す  5.教師は笑顔で応対し、自信と誇りを持って授業に臨むなどがある。

 

注6 体験を通したプログラミング教育 … 2020年から始まるプログラミング教育には、「三つの誤解」があると言われている。それは、1.「プログラミング」という教科ができるという誤解   2.プログラミング言語の使い方を覚えるという誤解 3.毎回パソコンやタブレットを使って学習するという誤解である。そのため教員の中にも、「プログラミング教育は、雲をつかむような話」「環境整備ができていないので時期尚早」との意見が少なからず存在する。プログラミング教育は、「プログラミング的思考」を育むための教育なのであるが、プログラミング思考とは何か等を、まずは教員自身が体験を通してイメージ豊かに体得する必要がある。

 

注7 読書に親しむ様々な取組 …  1.学校での継続的な「朝の読書」 2.家庭での読書(=家読 うちどく) 3.親子読書 4.学校司書の活用、地域ボランティアによる読み聞かせ 5.読書通帳 6.ブックトーク 7.読書郵便 8.読書のアニマシオン 9.ビブリオバトル 10.読書バッグ などの取組が行われている。

 

注8 子ども自身の自己防衛能力危機管理能力を高める体験的指導 … 具体的には、1.様々な状況を想定した避難訓練を短時間で数多く実施する 2.通学路や生活道路危険箇所を子どもが確認する 3.地震・大雨・雷・竜巻等の急な天候変化の対応方法を子どもが身に付けるなど、様々な取組が考えられる。

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