令和5年度の平松のウツクシマツ自生地を守る取り組み
平松のウツクシマツ自生地を守るために、様々な事業をしています。
令和5年度は下記の事業を主に実施しました。
その他にも事業に取り組んでおり、その取り組みについてはウツクシマツ情報局に掲載しておりますので、ウツクシマツ情報局のページ
https://www.city.shiga-konan.lg.jp/soshiki/kankyou_keizai/norin_hozen/24759/24763_1/index.html
をご覧ください。
地上散布

<散布状況>
新たなマツ材線虫病の感染を防止するために、マツノマダラカミキリがマツに寄り付けないようにするために、ウツクシマツ自生地全体を対象に薬剤散布を実施しています。
散布は、マツノマダラカミキリの成虫が羽化脱出するまでの時期に実施しています。
今年度は5月下旬と6月中旬に実施しました。
下草刈り
ウツクシマツ自生地内では夏にかけて雑草が繁茂します。雑草が伸びるとウツクシマツの若木に十分な日光が当たらないことから、ウツクシマツの若木の生育に悪影響を及ぼします。そのため、ウツクシマツ自生地内で雑草が伸びる時期に下草刈りを実施しています。
今年度も7月に1回目、9月に2回目の下草刈りを実施しました。草刈りにあたっては、雑草の中にウツクシマツの実生や若木が埋もれていることから、それらを誤って刈り取ることがないように注意しながら実施しています。

<下草刈り実施状況>
落ち葉搔き、地掻き
秋頃からマツの落葉が始まります。この落ち葉を堆積したままにすると、落ち葉が土の栄養となり、自生地内に腐葉土として堆積することになります。マツの種子は、落ち葉が積もったところでは、芽が出ても根が土に深く入らないので生長しにくい特徴があります。
このことから、落ち葉が落ち切った冬に地面の落ち葉を回収し、出来る限り落ち葉が土地に堆積していないようにしています。
また、ウツクシマツ自生地は昔は地表が見えるほど堆肥が少なく、マツが生育しやすい環境でしたが、年月が経ち、落ち葉などが栄養となって腐葉土層が厚くなったことでマツが生育しにくい状況となっています。
そのため、今年度も一部の区画に限定して堆積した腐葉土を除去しました。堆積した腐葉土層は10cm以上あり、腐葉土層を相当取らないと地表が見えないほどです。マツが生長しやすい環境にするためにはこの腐葉土層をすべて除去したほうがいいのですが、自生地内にマツの根が張り巡っており、根を傷つけないように慎重に作業をする必要があり、また、一度に広い範囲で腐葉土を取ると自生地の環境が大きく変化し、地表が流されやすくなることで、土砂災害が起こる可能性が懸念されることから、昨年度と違う箇所を区切り、2月頃に実施しました。

<落ち葉搔き、地掻きの実施後>
三雲小学校創立150周年記念事業への協力

<三雲小学校での講演の様子>
平松のウツクシマツ自生地の地元である三雲小学校は今年で創立150周年を迎えました。
このことを記念して、平松のウツクシマツ自生地のことを三雲小学校の全学年の親子の皆さまに知ってもらうためにウツクシマツ再生室職員が講師となって、11月~12月にかけて、3回に分けて平松のウツクシマツ自生地について講習をしました。
当日の体育館はとても寒い中でしたが、皆さん熱心に講習を聞いていただきました。
苗木移植
湖南市ではウツクシマツを次世代に残すために、苗畑で自生地内のウツクシマツから採取した種子を育てて苗木になるまで管理しています。
その苗木を1.湖南市役所東庁舎前2.生育実験のためにウツクシマツ自生地内3.新たな苗畑のあるウツクシマツ自生地前、の3箇所それぞれに移植する作業を3月に実施しました。
それぞれの場所に移植するにあたっては苗畑にあるそれぞれの苗木を丁寧に掘り起こし、根巻きをして、運搬と移植作業をしました。
移植した目的は違いますが、苗木がそれぞれの場所で生長し、大きくなるように今後も管理します。

<根巻をしての移植作業>

<移植後(平松のウツクシマツ自生地前)>
支障木、雑木伐採

<自生地内にあった支障木や雑木の伐採後>
平松のウツクシマツ自生地内にはマツだけでなく、ヒノキなどの様々な樹木も生育しています。
しかし、これらの樹木によって、その周辺にあるマツが日陰になっている場所がありました。
マツの成長には日光が必要ですので、マツに日が当たるように支障となる樹木を伐採しました。
なお、今年度は自生地内のウツクシマツ、普通マツに枯死の兆候が見られたものはありませんでしたので、ウツクシマツ、普通マツの枯損木伐倒は実施しませんでした。
更新日:2024年03月25日