湖南市情報公開・個人情報保護審議会答申

更新日:2024年03月14日

湖南市情報公開・個人情報保護審議会による答申

湖南市情報公開・個人情報保護審議会による答申の内容を公表します。

令和5年度答申第1号

「戸籍謄本の職務上請求書」に係る保有個人情報部分公開決定に対する審査請求についての諮問

  • 審査請求日:令和5年10月13日
  • 諮問日:令和5年11月7日
  • 答申日:令和6年2月5日
審議会の結論

実施機関の決定は妥当

審議会の判断

〇本件決定に係る保有個人情報について

本件決定に係る保有個人情報は、特定日に本件弁護士が日本弁護士連合会統一用紙で実施機関に提出した戸籍謄本等職務上請求書に記録された情報であり、「請求の種別」、「本籍」、「筆頭者の氏名」、「請求に係る者の氏名」、「利用目的の種別」、「請求者」、「使者」の各欄で構成されている。

 

〇本件情報について実施機関が不開示とした部分について

本件決定においては、本件情報のうち「本籍」「筆頭者の氏名」「請求に係る者の氏名」に記載された情報(以下「本件不開示部分1」という。)、「利用目的の種別における「請求に際し明らかにしなければならない事項」」に記載された情報(以下「本件不開示部分2」という。)、および「請求者欄の印影」に記載された情報(以下「本件不開示部分3」という。)が不開示とされており、その他の情報については開示されていることが認められる。

 

〇争点

実施機関は、本件請求について、本件不開示部分が法第78条第1項第2号および第3号に該当するとして本件決定を行ったのに対し、審査請求人は、第三者の個人情報を取得しても権利利益を害する恐れはない、また、第三者の権利利益の保護よりも審査請求人の家族等のプライバシーの保護を優先するべきであると主張して、本件不開示部分の開示を求めるとして争っている。したがって、本件審査請求における争点は、本件不開示部分の法第78条第1項第2号および第3号に対する該当性である。

 

〇法第78条第1項第2号および第3号について

(1) 法第78条第1項について

法第78条第1項は、「保有個人情報の開示義務」として、「行政機関の長等は、開示請求があったときは、開示請求に係る保有個人情報に次の各号に掲げる情報のいずれかが含まれている場合を除き、開示請求者に対し、当該保有個人情報を開示しなければならない。」と規定している。

(2) 法第78条第1項第2号について

法第78条第1項第2号本文は、「開示請求者以外の個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)若しくは個人識別符号が含まれるもの又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの。」は開示しないことができると規定している。また、同号ただし書では、これらの情報であっても、「イ 法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報、ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報、ハ 当該個人が公務員等である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」については、開示しなければならない旨を規定している。

(3) 法第78条第1項第3号について

法第78条第1項第3号本文は、法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下この号において「法人等」という。)に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報を除き、「イ 開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」、「ロ 行政機関等の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として開示しないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」は、開示しないことができると規定している。

 

〇本件不開示部分1から3の法第78条第1項各号の該当性について

(1)本件不開示部分1について

本件不開示部分1は、請求者である本件弁護士が請求した「請求の種別」欄にある戸籍・除籍・原戸籍の謄本または抄本(以下「戸籍謄本等」という。)に関する「本籍」、「筆頭者の氏名」および「請求者に係る者の氏名」であり、いわば「誰の戸籍謄本等か」にあたる内容である。本件不開示部分1は、審査請求人以外の特定の個人の情報であり、当該本籍および氏名の記述により、審査請求人以外の特定の個人を識別することができるものであることから、法第78条第1項第2号本文に該当し、かつ、その性質上、同号ただし書イ、ロおよびハのいずれにも該当しないものと認められる。

(2)本件不開示部分2について

本件不開示部分2は、依頼人(以下「本件依頼人」という。)から本件弁護士が受任している業務等において戸籍謄本等を利用する目的等の具体的な内容である。本件不開示部分2について、実施機関は、本件不開示部分2が開示されると「請求に係る者の氏名」欄に記載されている人物の争訟の有無等について類推し得る情報を開示することとなり、開示請求書以外の個人の権利利益を害するおそれがあるため、法第78条第1項第2号に該当する旨を主張している。

一方で審査請求人は、本件不開示部分2を開示することは、法(戸籍法)に則り取得されたものであり、戸籍謄本を取得した第三者の権利や利益を害するおそれはないこと、同情報の不開示は、情報取得の透明性が損なわれることにより、審査請求人や家族等の権利を著しく侵害するものであると反論している。両者の主張を踏まえ、審議会において本件不開示部分2の該当性について検討したところ、そもそも実施機関が本件不開示部分2を不開示とした趣旨は、本件不開示部分1に記載されている「審査請求人の家族等」の権利利益を保護することにある。実施機関が主張するとおり、本件不開示部分2を開示することは、審査請求人の家族等の争訟の有無、その内容等について類推し得る情報について開示することとなり、これらの情報は、例え開示を受ける対象が当該本人の家族等であったとしても、本人の意思とは無関係に開示されることが当該本人の権利利益を害するおそれがあることは否定できない。

したがって、本件不開示部分2は法第78条第1項第2号本文に該当し、かつ同号ただし書イ、ロおよびハのいずれにも該当する事情は認められない。

また、実施機関および審査請求人はともに主張していないが、法第78条第1項第3号 において「開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」は開示しないことができると規定している。そもそも本件不開示部分2は、本件弁護士が本件依頼人より受任している業務等に関する情報であって、当該情報は、秘密保持の義務を定めた弁護士法(昭和24年法律第205号)第23条に規定する「職務上知り得た秘密」に該当する情報といえる。したがって、本件不開示部分2を開示することにより、本件弁護士の正当な利益を害するおそれがあると認められることから、本件不開示部分2は、法第78条第1項第3号ただし書きイにも該当する。

(3)本件不開示部分3について

本件不開示部分3は、本件弁護士の職印の印影である。一般に、弁護士の職印の印影は、弁護士としての資格に基づき、弁護士が一般の法律事務を行うに当たって作成する文書に押印されるものである。その印影は、当該文書が当該弁護士によりその職務上真正に作成されたことを認証する意義を有するものといえる。

弁護士の職印の印影である本件不開示部分3は、法人の事業の遂行に当たり、契約書の作成等に用いられる印影と同様の重要性を有するものといえ、これが開示されると、これを用いて文書の偽造がされるおそれがある。したがって、本件不開示部分3は、法第78条第1項第3号ただし書きイに該当することが認められる。

この記事に関するお問い合わせ先

総務部 総務課 総務・法規係

電話番号:0748-71-2357

ファックス:0748-72-3390

メールフォームでのお問い合わせ