平成27年度当初予算編成方針

更新日:2019年11月26日

1 日本経済と国の動向

世界経済はウクライナ情勢の混乱およびイラク、シリアなどの産油国の内戦等の地政学リスクを抱えており、ロシアと欧米がお互いに経済制裁を科す中でロシアにおける天然ガスの供給制限の高まり等から原油価格の高騰により世界経済に影響を与えるリスクにもなっている。
アメリカ経済は寒波により一時的に景気が鈍化したが、超低金利政策により市場に一定の安定をもたらし回復基調を維持しており、債務危機に揺れた欧州でも財政緊縮の一巡により景気回復の足かせとなっていた要因が薄れ、景気の回復傾向が続く見込みである。一方、中国では不動産価格下落により消費や生産の伸びが抑制され経済悪化の懸念もあり、新興国の景気減速により世界経済が大きく下押しされるリスクもある。
日本経済を見てみると内閣府が公表した9月の月例経済報告によれば、雇用情勢の改善など一部に景気回復基調が見られるものの、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動による企業収益の悪化、個人消費の低迷などの長期化による下押しリスクが懸念され、今後の日本経済は先行きが不透明であり注視していく必要がある。
このような状況下において国は、平成27年度予算概算要求において平成26年度予算に続き、民需主導の経済成長と財政健全化目標の双方の達成を目指し、メリハリのついた予算とする。そのため、施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化することを閣議決定したところである。

2 本市の財政状況と今後の財政見通し

本市は、平成16年10月の合併を経て、分権型社会や都市間競争の時代に対応できる行財政基盤を確立し、市民ニーズに即した各種施策や都市基盤整備に努めてきたところであるが、平成26年4月に実施された消費税率の引上げによる個人消費の落ち込み等により企業業績は低調に推移すると見込まれる。
また、地方消費税交付金の増収は見込まれるものの増収分については国の制度改正により歳入歳出両面に影響を及ぼすことが想定され、成長を持続可能とするためのさらなる都市機能の充実・強化を図ることが極めて難しい状況にある。
本市の財政状況は、合併関連事業等の推進による投資的経費の増大に伴う公債費の増加および高齢化率の上昇などにより、公債費、扶助費をはじめとする義務的経費が伸びている一方、法人市民税をはじめとする税収においては消費税率引き上げに伴う反動減および税制改正により増収は期待できず大変厳しい状況である。
このような状況のもと市民ニーズは年々多種多様化し、行政に対するきめ細やかなサービスの提供が求められるなど、歳出を押し上げる行政需要は一層の拡大が予想されることから、将来を見据えた強固な財政基盤の構築が急務となっている。
今後の財政見通しでは、歳入については、市歳入の根幹である市税収入においては、固定資産税の評価替え年度であることおよび消費税率の更なる引き上げが見込まれていることから先行きが不透明ではあるが引き続き低調に推移するとみられる。
また、普通交付税については、旧合併特例法の適用期間の満了により平成27年度より合併算定替方式から一本算定方式に段階的に移行されることとなっている。平成26年度普通交付税額で試算すると本年度は約6千万円の減収が見込まれることから、一般財源の減収に耐えられる財政状況を早急に構築する必要がある。
一方、歳出においては、合併関連事業等を推進するために多額の経費が必要となることや、少子高齢化の進行等による社会保障費をはじめ、扶助費等の義務的な経費がさらに増大する見通しであり、社会保障費の増加を抑制するために、社会的弱者の自立をどのように確立していくかが大きな課題となっている。
また、平成24年度から平成27年度までの中期財政収支見通しにおいて、平成27年度は多額の財源不足となる見込であり、昨年に引き続き厳しい予算編成になると予測される。

3 予算編成の基本方針

本市の目指す「ずっとここに暮らしたい!みんなで創ろう きらめき湖南」の実現に向けて、次に掲げる基本方針のもと予算を編成することとし、湖南市総合計画後期計画の最終年度である平成27年度においては6つの目標の達成に向けた施策の展開を図るものとする。
具体的には、まちづくり協議会をはじめ「新しい公共」の担い手について層を厚くしていく必要があることから、積極的な新規施策の確立やレベルアップを行いつつ引き続き支援を行っていくものとする。
また、事業実施に当たっては当初に詳細な計画の確立および事業進捗管理の徹底を行い必要な財源を確保したうえで執行可能な年間予算編成を行うほか、市税をはじめとする各種債権については確実な保全を図り、その積極的な回収に努めるとともに、国民皆保険制度を支える国民健康保険の財政の健全化に引き続き取り組んでいくものとする。
ハード事業に関しては、夏見会館改築事業および甲西中学校改築など過去からの課題の解決に向けた検討を行うとともに継続事業である三雲駅周辺整備事業、石部小学校改築事業などに取り組むものとする。
ソフト事業に関しては、保育を取り巻く環境整備などの子育て世代の支援や社会的弱者の自立をどのように確立するかなど全庁的に検討を行い、着手可能なものから速やかに実施していくものとする。
なお、第二次行政改革大綱実施計画「きらめき湖南創造プラン」の最終年度であることから当初掲げた取り組み項目を着実に実施し、前例踏襲という固定観念から脱却し、類似事業の統合、廃止を積極的に行い安易に追加事業を行うことの無いよう徹底した事務事業の見直し等を進めるとともに、「行政主導から市民目線のまちづくり」へ、職員自身が原点に立ち返り各種計画の見直しや事務事業の改善を行い、市民の満足度を一層向上させるための施策へ展開または転換を図るものとする。
また、災害より市民の生命、財産および暮らしを守るため「安心・安全」なまちづくりに対する事業を積極的に推進することはもとより、地域のきずなを深める施策について、あらゆる分野で展開するものとする。
以上に加え、総合計画の着実な遂行とともに、各部局において策定している各種計画との整合性についても再度確認し着実に計画に基づく事業を遂行するとともに新規事業に取り組む場合は既存事業の見直しなどにより必要な財源を確保したうえで要求するものとする。
最後に税の使い道に対する市民の見方も厳しさが増していることから、特に決算との整合性に対する説明責任がはたせる予算要求となるよう努めるものとする。

基本方針

(1)きらめき湖南枠の継続

総合計画に示す将来像「ずっとここに暮らしたい!みんなで創ろう きらめき湖南」の実現に向けた事業を積極的に推進する。

[1]地域力創造推進経費

人口減少社会、少子高齢化社会の到来、コミュニティの脆弱化や地方分権改革の進展など、地域を取り巻く環境は大きく変化をしている中で、市民と地方自治体との協働により地域力を高めていくことが必要不可欠となっていることから、昨年度に引き続きまちづくり協議会からの提案による「新しい公共」のきっかけとなるような地域の声を反映した事業に引き続き別途予算を措置していく。
また、過去の事業に対する評価を行い、地域経済の活性化、子育て支援施策など、今、求められている課題に積極的に取り組むこととし、既存事業のレベルアップおよび新規事業に対して重点的に予算措置を行う。

[2]セーフティコナン推進

地震、風水害等のあらゆる災害から市民の暮らしを守るため、災害の予防、応急対策及び復旧等の防災活動に即応する体制の確立、および災害発生時の応急対策活動を緊密な連携・協力のもと迅速かつ的確に行えるように『自助』『共助』『公助』による協働の防災対策を推進するために必要となる経費について別途予算措置を行う。

[3]心のインフラづくり

心豊かな社会や地域を形成するために吉本興業株式会社と湖南市が協働により実施する事業などに必要な経費について別途予算措置を行う。

(2)行政改革の着実な実施

「第二次行政改革大綱」を着実に実施するため、全職員の知恵と工夫による既存事業の再構築が必要である。
各部局においては現状に甘んずることなく改革の当事者として、さらなる取り組みを行うこととする。

[1]経常収支比率改善のための対策

平成27年度においては、旧合併特例法の適用期間の満了に伴い普通交付税において約6千万円の減、法人市民税率改正および固定資産評価替えによる税収の減など過去に例を見ない経常一般財源の減収となることから、人件費、公債費、投資的経費、繰出金および物件費の内賃金を除く経費においては平成25年度決算において充当されている一般財源額を上限として予算要求を行うものとする。

[2]行政改革実行予算枠の継続

「第二次行政改革大綱」を推進するためスクラップアンドビルドの原則の下、費用対効果を検証したうえでの民間委託の導入、定員適正化計画、庁舎周辺整備計画等の推進に関する経費、公共施設の売却、譲渡に係る経費など戦略経営の4本柱を積極的に実施するための経費について別途予算要求すること。
なお、要求にあたっては第2次行政改革大綱の基本理念から逸脱することなく、この厳しい財政の中で真に本市にとって必要なものか十分精査すること。

[3]補助費等の抜本的見直し

負担金、補助及び交付金等については、第二次行政改革大綱に基づき交付の条件である「公益性」について改めて見直しを行い、不明確であるものについては予算措置を行わないものとする。
また、サマーレビューでの結果を予算に反映するものとする。

(3)投資的事業の計画的な計上

本市は、ここ数年合併特例債を活用した投資的事業に積極的に取り組んできたが、交付税措置はあるものの過度の地方債の発行は、将来の公債費の増加を招き財政運営の硬直化をより一層進めることになることから、サマーレビューにより承認された事業に限り計上するものとし、揺るぎなき当初計画を確立後に事業実施すること。なお、新規事業においては事業の必要性を厳しく見極め真に必要なものを計上するものとする。また、ライフライン以外の施設整備においては、後年に人件費、物件費等の経常的な支出が必要となることから、基本計画の段階から、運営体制、機能面、維持管理面に十分配慮し、後年度の維持管理経費に留意し、経済性について十分検討を行い抑制に努めること。

(4)歳入の的確な確保

歳入については、財源確保の面はもちろん、負担の公平性の観点から歳入客体の的確な補足に努めるとともに、収納率の向上に向け、より一層の取り組みを強化するものとする。
特に各種使用料等については、負担の公平性並びに設定基準や減免基準の均衡、統一化を図る観点から適正な取り組みを行うこと。また、市有財産の有効活用や広告事業の一層の拡充などあらゆる創意工夫を行い、少額であっても遺漏なく計上すること。

(5)基金の計画的な確保

財政調整基金等の基金については、標準財政規模の10%を確保しているところであるが、将来の計画的な事業の遂行等に支障を来さないよう原則として標準財政規模の10%を下回らない範囲で運用する。
また、持続可能な行政運営を行うため、今後増加する公債費に対し計画的な減債基金への積立を実施するよう努める。

(6)国・県の動向の的確な把握と対応

今後の国及び県の動向については消費税率の引き上げによる社会保障に係る財源見直しおよび経済対策事業に対する予算措置などが予想されるところである。また、第2次安倍内閣の発足後の臨時国会により「地方」の豊かな個性を生かし、日本の中に眠るありとあらゆる可能性を開花させるとする「地方創生」を大きな柱として展開するとされていることから、予算編成過程においては、関係省庁等の枠を超えて幅広く情報収集に努め、国・県の動向について的確に把握するとともに、国の補正予算等により財源措置を行われた場合は平成26年度補正予算対応も視野に入れ適切な対応を図ること。

総合計画6つの目標

「1.みんなで共に進めるしくみをつくろう~ 人権尊重と自立・自助のまちづくり~」

「2.うるおいのあるまちをつくろう~ 自然を活かし、自然と共生するまちづくり~」

「3.活気あるまちをつくろう~ 産業が集まり、ひとが集うまちづくり~」

「4.ほっとする暮らしをつくろう~ 生涯を通じた安心と健康のまちづくり~」

「5.いきいきとした暮らしをつくろう~ 誇りとなる市民文化を創造するまちづくり~」

「6.明日を拓くしくみをつくろう~ 効率的・効果的な行財政システムづくり~」

この記事に関するお問い合わせ先

総務部 財政課 財政係

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