平成28年度当初予算編成方針

更新日:2019年11月26日

1 日本経済と国の動向

世界経済は、ASEANやNIESなど新興国が減速しているが、米国をはじめ先進国を中心とした緩やかな成長が続いている。
米国経済は米ドル高や新興国の減速などから鉱工業部門は力強さを欠いているが、家計支出に支えられて回復している。欧州経済は、ギリシャ問題による懸念の後退をはじめ緩やかな回復を続けており、個人消費が労働市場の改善に伴う消費者心理の回復基調などに支えられ引き続き増加している。
また、中国経済は世界経済をけん引する新興国として総じて安定した成長を維持しているが、先行き不透明感の高まりにより世界経済全体の減速が懸念される。今後米国の政策金利の引き上げが実施されれば、経済実態が脆弱な新興国からの資本流出により国際金融市場の不安定化を招くため、その動向に注視していく必要がある。
日本経済を見てみると内閣府が公表した9月の月例経済報告によれば、景気は、このところ一部に鈍い動きもみられるが、緩やかな回復基調が続いており、先行きについては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。国は、デフレから脱却し、中長期的に持続する経済成長を実現することとし、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(いわゆる「骨太の方針2015」)等に基づき、地域や中小企業・小規模事業者も含めた経済の好循環のさらなる拡大を実現する、としている。
このような状況下において国は、平成28年度予算概算要求において現政権の歳出改革の取組を強化するとともに、施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化することを基本的な方針としている。

2 本市の財政状況と今後の財政見通し

 本市は、平成16年10月の合併を経て、分権型社会や都市間競争の時代に対応できる行財政基盤を確立し、市民ニーズに即した各種施策や都市基盤整備に努めてきたところである。平成28年度は消費税率の段階的な引上げの狭間になる年度であり、消費者心理の手控え感と駆け込み需要による一時的な個人消費の伸びが企業業績等に不安定な影響を及ぼすことが見込まれる。
また、大企業を中心に景気は回復傾向にあるものの、本市をとりまく経済状況は依然として厳しい状況にあり、本市をはじめ地方の津々浦々まで景気の回復を実感できるには程遠い状況であり、成長を持続可能とするための都市機能の充実・強化を図ることが極めて厳しい状況にある。
本市の財政状況は、合併関連事業等の推進による投資的経費の増大に伴う公債費の増加および高齢化率の上昇などにより、公債費、扶助費をはじめとする義務的経費が伸びている一方、税収においては消費税率引き上げに伴う反動減および税制改正により、増収は期待できず大変厳しい状況である。
このような状況のもと市民ニーズは年々多種多様化し、行政に対するきめ細やかなサービスの提供が求められるなど、歳出を押し上げる行政需要は一層の拡大が予想されることから、将来を見据えた強固な財政基盤の構築が急務となっている。
今後の財政見通しにおける歳入については、根幹である市税収入のうち法人市民税が普通交付税の原資化とするための税率改正の本格適用により大幅な減収になることに合わせ、消費税率の更なる引き上げが平成29年4月に実施されることによる先行きの不透明感が、引き続き税収を低調に推移させるとみられる。また、普通交付税については、旧合併特例法の適用期間の満了により平成27年度より合併算定替方式から一本算定方式に段階的に移行されており、平成26年度の普通交付税額と比較すると本年度は約1億5千万円の減収が見込まれることから、一般財源の減収に耐えられる財政基盤を早急に構築する必要がある。
一方、歳出においては、合併関連事業および地方創生事業などに関する多額の経費が必要となることや、少子高齢化の進行等による社会保障費をはじめ、扶助費等の義務的な経費がさらに増大する見通しであり、社会保障費の増加を抑制するために、社会的弱者の自立をどのように確立していくかが大きな課題となっている。
また、平成27年度から平成36年度までの長期財政収支見通しにおいて、新年度も多額の財源不足となる見込であり、昨年に引き続き厳しい予算編成になると予測される。

3 予算編成の基本方針

新年度は、国が定めるまち・ひと・しごと創生法に基づき策定された「湖南市 きらめき・ときめき・元気創生 総合戦略」(以下総合戦略)が描く3つのプランを今後の施策の柱として位置づけ、目標指標を達成するための7つの政策パッケージの実現に向けた施策の展開を重点的に図るものとする。
具体的には、人口減少への歯止め、若々しいまちの実現には、地域で支えあう子育て環境、暮らしやすい居住環境の実現、地域経済の活性化といった地域の活力を創生していくための経費について、総合戦略が掲げる具体的事業をもとに本年度は原則ソフト事業について予算化するものとする。
特に、保育を取り巻く環境整備などの子育て世代の支援や社会的弱者の自立について、全庁的に検討を行い、着手可能なものから速やかに実施していくものとする。また、災害より市民の生命、財産および暮らしを守るため「安心・安全」なまちづくりに対する事業を積極的に推進することはもとより、地域のきずなを深める施策について、あらゆる分野で展開するものとする。
ハード事業に関しては、東庁舎周辺整備事業、甲西中学校改築事業および中学校空調整備事業など過去からの課題の解決に向けた検討を行うとともに継続事業である三雲駅周辺整備事業などに取り組むものとする。なお、市民産業交流促進施設については、関係課において本施設の目的等をふまえ、地方創生に関するソフト事業を有機的に結び付けることで魅力のある施設になるよう積極的に取り組むこととする。
予算要求にあっては、当初に詳細な計画の確立および事業進捗管理の徹底を行い、必要な財源を確保したうえで執行可能な年間予算編成を行うものとする。前例踏襲という固定観念から脱却し、類似事業の統合、廃止を積極的に行い、安易に追加事業を行うことのないよう徹底した事務事業の見直し等を進めるとともに、「行政主導から市民目線のまちづくり」へ、職員自身が原点に立ち返り各種計画の見直しを行い、市民の満足度を一層向上させるための施策へ展開または転換を図るものとする。さらに、市税をはじめとする各種債権については確実な保全を図り、その積極的な回収に努めることとする。
以上に加え、第二次湖南市総合計画および第三次湖南市行政改革大綱の着実な遂行とともに、各部局において策定している各種計画との整合性についても再度確認し、着実に計画に基づく事業を遂行することとする。
最後に税の使い道に対する市民の見方も厳しさが増していることから、特に決算との整合性に対する説明責任がはたせる予算要求となるよう努めるものとする。

基本方針

(1)きらめき・ときめき・元気創生 総合戦略の推進

人口減少への歯止め、若々しいまちの実現を目指し、地域で支えあう子育て環境、暮らしやすい住居環境の実現、地域の活性化といった地域の活力を創生するため「湖南市 きらめき・ときめき・元気創生 総合戦略」に掲載されているプラン、パッケージに基づくソフト事業に要する経費。

[1]第1の柱 働く場の創出

  • パッケージ<1>:産業力の強化
  • パッケージ<2>:多様な雇用・働き方の実現

[2]第2の柱 ひとへの投資

  • パッケージ<3>:ふるさとづくりの促進
  • パッケージ<4>:観光と交流による活性化
  • パッケージ<5>:若者への支援、希望の実現

[3]第3の柱 まちづくり

  • パッケージ<6>:持続可能なまちづくり
  • パッケージ<7>:安心して暮らせる基盤づくり

(2)きらめき湖南枠の継続

[1]地域力創造推進経費

人口減少社会、少子高齢化社会の到来、コミュニティの脆弱化や地方分権改革の進展など、地域を取り巻く環境は大きく変化をしている中で、市民と地方自治体との協働により地域力を高めていくことが必要不可欠となっていることから、昨年度に引き続きまちづくり協議会からの提案による「新しい公共」のきっかけとなるような地域の声を反映した事業に引き続き別途予算を措置していく。
また、過去の事業に対する評価を行い、既存事業のレベルアップおよび新規事業に対して重点的に予算措置を行う。

[2]セーフティコナン推進

地震、風水害等のあらゆる災害から市民の暮らしを守るため、災害の予防、応急対策及び復旧等の防災活動に即応する体制の確立、および災害発生時の応急対策活動を緊密な連携・協力のもと迅速かつ的確に行えるように『自助』『共助』『公助』による協働の防災対策を推進するために必要となる経費について別途予算措置を行う。

[3]心のインフラづくり

心豊かな社会や地域を形成するために吉本興業株式会社と湖南市が協働により実施する事業などに必要な経費について別途予算措置を行う。

(3)行政改革の着実な実施

策定中の「第三次行政改革大綱」のうち第二次行政改革大綱から必ず継承する次の項目について着実に実施するため、全職員の知恵と工夫による既存事業の再構築が必要である。
各部局においては現状に甘んずることなく改革の当事者として、さらなる取り組みを行うこととする。

[1]経常収支比率改善のための対策

平成27年度においては、旧合併特例法の適用期間の満了に伴い普通交付税において約5千万円の減、法人市民税率改正による税収の減など過去に例を見ない経常一般財源の減収となることから、人件費、公債費、投資的経費、繰出金および物件費の内賃金を除く経費においては平成26年度決算において充当されている一般財源額からさらに5%を削減した額を上限として予算要求を行うものとする。

[2]行政改革実行予算枠の継続

行政改革実施計画に基づき実施するために必要とする経費

  1.  費用対効果を検証したうえで効果があると認められる民間委託の導入経費
  2.  定員適正化計画、東庁舎周辺整備計画など市の根幹となる計画策定に係る経費
  3.  各所管施設の売却及び譲渡に係る経費
  4.  その他収入の確保に効果がある事業に対する経費

[3]補助費等の抜本的見直し

負担金、補助及び交付金等については、第二次行政改革大綱に基づき交付の条件である「公益性」について改めて見直しを行い、不明確であるものについては予算措置を行わないものとする。
また、投資的事業等要求調査での結果を予算に反映するものとする。

(4)投資的事業の計画的な計上

本市は、ここ数年合併特例債を活用した投資的事業に積極的に取り組んできたが、交付税措置はあるものの過度の地方債の発行は、将来の公債費の増加を招き財政運営の硬直化をより一層進めることになることから、投資的事業等要求調査により承認された事業に限り計上するものとし、揺るぎなき当初計画を確立後に事業実施すること。なお、新規事業においては事業の必要性を厳しく見極め真に必要なものを計上するものとする。
また、ライフライン以外の施設整備においては、後年に人件費、物件費等の経常的な支出が必要となることから、基本計画の段階から、運営体制、機能面、維持管理面に十分配慮し、後年度の維持管理経費に留意し、経済性について十分検討を行い抑制に努めること。

(5)歳入の的確な確保

歳入については、財源確保の面はもちろん、負担の公平性の観点から歳入客体の的確な補足に努めるとともに、収納率の向上に向け、より一層の取り組みを強化するものとする。
特に各種使用料等については、負担の公平性並びに設定基準や減免基準の均衡、統一化を図る観点から適正な取り組みを行うこと。
また、市有財産の有効活用や広告事業の一層の拡充などあらゆる創意工夫を行い、少額であっても遺漏なく計上すること。

(6)基金の計画的な確保

財政調整基金等の基金については、標準財政規模の10%を確保しているところであるが、将来の計画的な事業の遂行等に支障を来さないよう原則として標準財政規模の10%を下回らない範囲で運用する。
また、持続可能な行政運営を行うため、今後増加する公債費に対し計画的な減債基金への積立を実施するよう努める。

(7)国・県の動向の的確な把握と対応

今後の国及び県の動向については「まち・ひと・しごと創生法」に基づく施策展開および第三次安倍内閣による新三本の矢による各施策については特に注視していく必要がある。
また、予算編成過程においては、関係省庁等の枠を超えて幅広く情報収集に努め、国・県の動向について的確に把握するとともに、国の補正予算等により財源措置を行われた場合は平成27年度補正予算対応も視野に入れ適切な対応を図ること。

この記事に関するお問い合わせ先

総務部 財政課 財政係

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