平成29年6月湖南市議会定例会閉会あいさつ

更新日:2019年07月01日

平成29年6月27日

 平成29年6月定例会の閉会に当たり、一言ごあいさつを申し上げます。
 議員の皆様におかれましては、9日から本日まで、長期間にわたり慎重審議され、条例の制定や補正予算など、提出いたしました議案をすべてお認めいただきました。ありがとうございました。
 実は今日で断食4日目であります。少し身体が重かったので始めたわけですが、内臓も楽になり、全身の細胞も賦活してきましたので、そろそろ復旧しようと思います。食べるより食べない方が楽になるということで、人間の身体の仕組みはとても不思議でもあります。
 断食2日目であった、一昨日、NHKスペシャルでAI政治家というものを取り上げていました。韓国で政治家の不正が相次いだため、人工知能を国家運営に導入しようという試みだそうで、5年後の実用化を目指しているようであります。3年前、人工知能の発達によりあと10年で消える職業、なくなる仕事ということをオックスフォード大学が認定して騒然といたしましたが、そのときには消える職業に政治家は入っていませんでした。今回は、そのなくなる仕事に政治家が入ってきたということで、危機感を共有したいと思います。
 このAI政治家に対するネットの反応を見てみますと、「なんか生身の政治家よりまっとうに仕事しそう」とか、「合理的でいいのではないか」とか、「なんか説得力ありすぎる」とか、「人間の政治家が使えなさ過ぎる」とか、「そこら辺のポンコツ政治家よりも優れた政治家になるよ」など、政治家の説明に納得できないということで内閣支持率が急落したように、政治不信を背景にしてAI政治家に対する期待が大きいことがわかりました。
 また、「保育問題とかを統計的に瞬時に調査して、提案したりしそう」とか、「現在の問題解析と未来予測機能をセットでやる必要がある」とか、「AI政治家ってよりAI官僚って方が正しいんじゃないのかな」などのつぶやきもありましたが、実はすでに働き方改革で経済産業省が昨年からAIに国会答弁の下書きをさせようと実証実験を始めています。過去の質問答弁データさえあれば、他のあらゆる情報と合わせて、人間でなくても答弁案は書ける時代が目前に来ております。
 しかし、人工知能を装備したAI政治家は、確かに利害や既得権にとらわれず合理的に判断するかもしれませんが、どこに正義感を置いているのかがブラックボックスだという指摘があり、AI政治家の最大の欠点は意思決定の過程を説明できないことだといわれています。たとえAI政治家がその時点時点で人類にとって最適の結論を選択するとしても、その過程を説明できない決定が重なると、結果として人類を滅ぼすことにならないとも限りません。
 「現実の政治でも説明が上手く国民に伝わっているとは言い難いのに結論だけで説明をくれないなんて、感情的に受け入れ難い」とか、「政治家に説明責任がない民主主義があり得るだろうか」というつぶやきがそのすべてを表しておりまして、人類に求められる民主主義の知恵は、お互いの立脚点の違いを前提にした建設的な議論であり、市民に対して透明性のある議論を通じた説明責任による納得性の供与であります。
 テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正の審議過程では、言論の自由の抑圧に対する不安がわが国の社会を大きく包みました。そうしたなかで、AI政治家が登場してくるとすれば、人間政治家が説明責任を果たせなくなったときなのではないかと感じ、自戒の念を強めたところでございます。
 今議会においては、歳入歳出両面をにらんだ事業計画についてのご議論を、市民のみなさんに見えるところで議員のみなさんと交わさせていただきました。公共施設等総合管理計画に基づく施設の再編整理などとあわせ、新しい税や事務事業の見直しなど、これから本市として他の市町にない急速に高齢者が増加する時代を目の前にして、思い切った財政構造の改革を行う必要も出てまいります。そして、そこでは、公の場でお互いの議論を積み重ねていくことこそが、未来に向けた責任であると申せます。
 説明責任を果たさない政治を進めることで、その隙を狙って生身の思いを持たないAI政治家がしゃしゃり出てくるようなことのないように、これからも議員の皆様と大いに議論を交わしてまいりたいと存じます。議員の皆様方におかれましても、それぞれが背景とされる市民の皆様と対話を重ねられまして、議会での議員間討議を経て最大公約数で議会の意思をとりまとめ、引き続き、未来の湖南市民に対するご提案や執行部に対するご指導を賜りますようよろしくお願いを申し上げ、閉会に当たりましてのごあいさつといたします。

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