令和元年6月湖南市議会定例会閉会あいさつ

更新日:2019年07月01日

令和元年6月27日

 

令和元年6月定例会の閉会に当たり、一言ごあいさつを申し上げます。

議員のみなさまにおかれましては、7日から本日まで、長期間にわたり慎重審議され、専決承認や条例制定改正、補正予算、人事案件など、提出いたしました議案をお認めいただき、ありがとうございました。

ただし、すべてお認めいただいたわけではなく、議案第44号「湖南市東庁舎建て替え・湖南市複合庁舎整備基本設計の是非を問う住民投票条例の制定について」は否決をいただきました。提案説明でも「社会経済情勢の変化を適切な時期に的確に捉える必要があり、また、将来世代との負担のあり方や現在の総合行政における財政配分など精緻な議論が必要であるため、一概に即決する判断が難しい」こと、執行部としては「長期的な視点から市民のみなさんのご意見や社会経済情勢の変化をしっかりと捉え、悩みながら検討を続け」ることととし、「議会における代議制の熟議にも大きく期待するもの」としたところです。

まさに、今議会でのご議論とご決定は、将来世代への責任をも視野に入れ、悩みながら議論を重ねてより良い意思決定に至るという議会としての矜持を毅然とお示しいただいたことに心から敬意を表するものでございます。

今回のような市民全体の安全を確保する問題や財源を将来世代とシェアする問題を、そのほかの様々な課題とどのように整合性を計り解決していくのか、それは、総合行政として多種多様な事業に責任を持つ地方自治体といたしましては、まさに悩みながら熟議を凝らし、多様な利害関係者の思いを、バランス感覚を幅広くかつ繊細に確保しながら最大公約数的に集約し、最大多数の納得を得ていかなければならないものでございます。

市民のみなさまは、議員のみなさまにそれぞれの思いを託して投票をし、税の中から報酬をお支払いすることで、個別の利害を全体と調整するために熟議を重ね、全体として湖南市のより良い意思決定にまとめあげていただくことを求めておられます。過去から重ねてきた議論を突然覆すような責任を伴わない対応は、本来の議会制民主主義とはいえず、市民、納税者に対する責任を果たしていないと指摘されるところでした。本日は、論理的に説得性をもった討論が議員間討議として理知的に展開され、より良い決定に至ったことは、湖南市議会の審議レベルの高さを示したものと重ねて敬意を表します。まさに、議会の華を目の当たりにさせていただいた思いです。

議会は良識の府であり、一時的な感情に左右されることなく、熟議によってより良い結論を導くための制度です。そこでは、市民のみなさんの生活を全体としてより良くしていくための建設的な議論が交わされ、意思決定が行われることが期待されております。

それは、議会対市長というような古典的な構図ではなく、議会と市長がまさに車の両輪となって市民のみなさんに奉仕する、そして自治体法人としての大きな意思決定は、議会における議員間討議により熟議の議会がお決めをいただき、執行部はその決定をいただいて実現に努力するという姿こそが、人口の減少と少子高齢社会が同時進行し、次の世代に課題を先送りできない成熟社会における古くて新しい民主主義のかたちではないかと思います。

それが、議会で重ねられてきた議論が信じられないことになるとすれば、その先で不利益を被るのは将来世代も含めた市民のみなさんということとなります。それぞれが異なる利害を持つ市民のみなさまから1票1票の付託を受けた議員のみなさまが、一つひとつの議論を課題解決にむけて、その都度都度に論点を明確にし、決定を重ねていくことこそが、独任制の市長に対する熟議を求められる議会制民主主義の要諦であると申せます。

そうした課題解決型の建設的議論については、執行部としては今後も喜んで応じてまいりたいと思います。しかし、今議会においても、職員人事という市長の専管事項について個別案件が取り上げられたり、他の主体との間での交渉状況の暴露を求められたりなど、課題解決から遠ざかるようなご質問もございました。

とりわけ、ご質問の中では、部長から理事への異動は横滑りであるにもかかわらず降格であるなどという事実と異なる発言があったり、部長から理事への異動は過去なかったという指摘がありましたが、過去にも総務部長から行政改革担当理事へ異動したり、議会事務局長から教育部理事へ異動したりなど、部長、局長から理事への横滑り異動は事実としてあるわけでありまして、事実と異なる質問が、しかも個人を特定できる状況で、公開の本会議場で行われたことを極めて残念に思います。

また、石部駅バリアフリー化のご質問も、定例会のたびに、すなわち3か月ごとにお伺いをいたしますが、大きな事業が3か月で劇的に動くことはあり得ません。来月号の「広報こなん」にも書きますが、甲西駅周辺整備事業は、合併前の旧甲西町で平成14年度から計画化を進め、平成27年3月にバリアフリー化が終了しております。三雲駅周辺整備事業についてはさらに長く、合併前の旧甲西町で昭和62年から構想の検討に入り、駅舎のバリアフリー化までたどり着いたのは平成29年4月のことでした。

それに対して、石部駅周辺整備事業に取り掛かりましたのは、湖南市となった後の平成22年に石部駅周辺まちづくり会議を設置したところからでございました。平成26年に基本構想、平成30年に基本設計をとりまとめ、今年度は知事の都市計画決定と事業認可を目指しておりますので、先日のご答弁でもありましたように今月19日と22日に都市計画決定に必要な地元説明会を開催しました。

19日は42人がお越しになりましたが、22日の説明会の参加者はわずかに6人でありまして、先の住民投票条例提案の趣旨に基づけば市民参加が極めて少なく、事業執行に向けては背筋が寒くなる思いでありますが、執行部といたしましては、今後、さまざまな関係者と協議を重ねて合意を取り付ける努力を重ね、事業採択を得られれば鉄道事業者と協定を締結し、令和2年に実施設計、並行して令和3年までに用地取得、その後2か年で駅舎や自由通路の整備を計画しております。要所要所においては議会にご相談をさせていただくこととなります。未確定部分がありますのでスケジュールは前後する場合がありますが、石部駅の整備スピードは甲西駅や三雲駅に遅れているというよりは比較的早いものであるとご理解をいただければと思います。

なお、今議会でもご指摘をいただきました職員逮捕事案にかかる関係者の処分につきましては、民主主義国家の刑事裁判ですので、推定無罪が適用されることから判決の確定を待つ必要がありますが、有罪となった場合には、市長、副市長の責任についても免れないと考えております。その際には給与の減額条例案を議会にお諮りすることとなろうかと存じます。また、再発の防止に市役所を挙げて取り組んでまいりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

明日、明後日の2日間、大阪でわが国初めてのG20が開催されます。激化する米中貿易戦争の行方を全世界がかたずを呑んで見守っておりますが、全体会合や個別会合の結果はわが国の経済にも大きな影響があるものと考えられます。また、7月4日からは参議院議員通常選挙が公示され、わが国の政策の大きな方向性が選択されようとしております。そうした大きな社会経済環境の変化を受けても、将来に向けて湖南市が安定的に発展することが市民の厳粛な付託を受けた議会および市長の重い責任であると存じます。

今議会において熟議が行われました複合庁舎整備事業につきましても、社会経済環境の変化をにらみ合わせながら、今回の署名活動に参加されました市民のみなさまの思いにも敬意を表しつつ、一直線にではなく悩みながら、将来の市民も含めた市民のみなさまにとってより良い選択と決定を行ってまいりたいと存じます。

議員のみなさまにおかれましても、引き続き、未来の湖南市民に対する建設的なご提案や責任を持った熟議による適切なご判断、執行部に対するご指導を賜りますようお願いを申し上げ、閉会に当たりましてのごあいさつといたします。