平成20年度湖南市施政方針

更新日:2019年07月01日

平成20年2月29日

はじめに

本日ここに、平成20年度の湖南市の予算および諸議案をご審議いただくにあたり、議長のお許しを得まして、私の市政に対する運営方針の一端を申し述べ、議員各位ならびに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

さて、2008年度を前に、世界では大きな変動が起こりつつあります。米国内の政治的関心は今年11月の大統領選挙へと移っており、昨年11月に訪米した福田総理とブッシュ大統領が日米同盟を一層盤石なものとすることで合意しておりますが、大統領選挙の行方如何では、イラク戦争やアジア政策の変更も予測されるところであります。また、中国では昨年10 月の第17 回共産党大会において、胡錦濤指導部が人本位で全面的なバランスのとれた持続可能な発展を目指す「科学的発展観」を中国の経済・社会発展の「重要な指導方針」として党規約に盛り込み、わが国とは、アジア及び世界に共に貢献しながら双方の共通利益を拡大する「戦略的互恵関係」の構築に向けた数多くの具体的協力を確認しております。ロシアでは今年5月でプーチン大統領が任期を終えますが、韓国では昨年12月の大統領選挙で李明博(イ・ミョンバク)前ソウル市長が選出され2月25日には大統領就任式が行われました。それに先立つ昨年5月にはフランスでサルコジ大統領が就任するとともに、2か月後にイギリスではブラウン内閣が発足するなど、それぞれ新たな政治外交を展開しつつあります。昨年7月に東京で戦略的経済パートナーシップ賢人会議を開催したわが国とブラジルは、ブラジル移住100周年を迎えた今年が「日本ブラジル交流年」とされております。世界経済の動向に眼を転じましても、こちらも大きく変動しておりまして、アメリカのサブプライム住宅ローン問題に端を発する全世界を巻き込んだ経済の混乱は、先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の一致協調した対応にもかかわらずその傷跡を広げ続けており、アメリカ経済の減速がわが国や欧州だけでなく中国やアジア諸国の景気後退につながる可能性も見せております。

一方、わが国経済は、景気回復が6年目に入ったところでありますが、新潟県中越沖地震やアメリカのサブプライム住宅ローン問題とそれに端を発する金融資本市場の混乱などさまざまな経済リスクが生じました。また、国際マネーゲームの影響で原油価格の高騰が再燃し、国民の生活や中小企業等の活動に深刻な影響をもたらしており、身の回りでの景況感はむしろ悪化しているといえます。

昨年、中央政界においては、7月に参議院選挙で与野党逆転を見たかと思えば、8月には安倍総理が突然辞任し、9月には福田内閣が発足しました。11月には民主党でも小沢代表の辞任騒ぎがあり、今年1月には道路特定財源の暫定税率の延長に関し、いわゆる「つなぎ法案」を巡る与野党の攻防とその後の方針のうやむやさなど、不安定な状況が続いております。

さらに農林水産省トップのポストを巡っては自殺や辞任で交代が相次いで起こるという不安定さを見せるとともに、2月19日のイージス艦「あたご」による衝突事故に端を発した責任論や防衛利権についても暗さが際限なく続いているように感じられます。時代が大きく変わり、政治と金の問題に国民がシビアになっているにもかかわらず、その変化に政治活動が追いついていない現状が伺われます。

ところで、平成19年は団塊の世代の退職者が多く発生することにより、業務が滞って経済に重大な悪影響が出るのではないかという懸念がされた年でもありました。実際には全員が必ず60歳で退職するわけではありませんし、当初心配されたほどの混乱はなかったように見えます。しかし、いずれにせよ日本はこの数年内に、間もなく急速に訪れることとなる“超高齢社会”に対応すべく、諸制度や社会の仕組みを一気に変えていかざるをえない状況におかれております。

社会の高齢化に関連して、いわゆる「消えた年金記録」問題もいまだ解決の目処がたっておりません。年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について社会保険庁が躍起になっておりますが、この信頼を完全に回復するには、非常に多くの時間を要するでしょう。あわせて薬害肝炎の解決が長引いたことは、わが国の薬事行政が薬害エイズ問題で全く反省を怠ったまま、国民の信頼を失ったことを示しています。

また、ミートホープの偽牛ミンチ事件が発覚した昨年6月以降、農林水産省の食品表示110番への内部告発を含む情報提供は前年同期比で4倍に達し、白い恋人、赤福餅、船場吉兆と食に関する偽装が相次いで発覚いたしました。年を改めましても、大手製紙メーカーによる“環境偽装”や、中国産冷凍食品による健康被害など、生活の根底を揺るがす事件が後を絶ちません。政治と行政の信頼喪失は依然としてわが国に突きつけられた大きな課題であるといえます。

そうした中、国は、地方の自立と再生を掲げ、「地方再生戦略」などによる支援を打ち出してきております。いわゆる「三位一体の改革」の美名のもと、地方への財政出動を大幅に削減した結果、地方行政が麻痺しつつある現状に、ほんの少しばかりの財源確保をしておりますが、地方分権や規制改革と称して自治体に移譲されようとする権限についても、実際には自治体に裁量の余地がないものが含まれるなど、国と地方の信頼関係も傷つきつつあります。

さらに、平成20年度からはいわゆる地方公共団体の財政の健全化に関する法律の適用が始まり、将来負担比率をも見通した財政運営を厳しく義務づけられることとなります。この法律が平成19年6月に成立したことから、それ以降初めての予算編成であります平成20年度当初予算は、その対応を本格的に求められる予算でもあるといえます。国が法律の範囲内で一方的に自治体の仕事を増やす場面が多くなる一方、歳出については手足を縛られるかたちとなりますことから、大きく状況が変化し続ける中で、変化に即座に反応し、環境適応することが必要とされる時代となってまいります。

こうした国際的、国内的な大きな変動の中で、平成20年度は湖南市としても間違いのない舵取りが求められております。

滋賀県では、昨年末に財政構造改革プログラムを一方的に公表しましたが、各市町の財政状況が逼迫しているなかで県が補助金や負担金を切り捨てることは、市民生活へ多大な影響を与えるものと思われます。市としては、これまでの依存財源を漫然と一般財源で振替えるようなことのないよう、事務事業については、所期の目的を達成した事業等の廃止・縮小や類似する事業を統合するなど、効果や効率性の観点からスクラップ・アンド・ビルドを徹底して行政の果たす役割を明確にするとともに、受益と負担の公平性の確保に努めるなど、その整理・合理化を図ってまいらなければならないと考えております。

そこで、市といたしましては、昨年末に事業仕分けを行い、現在行っている事業を外部からの冷静な視線に基づいて分析されましたので、これから厳しくなる財政を背景に、本当に必要な事業は何か、その中でも優先度はどうであるのか、市民が負担をしてでも望んでいるものは何なのかを引き続き見極めて、市民負担をできるだけ低く抑えるなかで施策展開を図るように努めてまいる所存であります。

特に、平成20年度予算は、合併から4回目の本格予算編成であり、新市建設事業を中心に幅広い事業を計画的に進めてまいらなければならないと考えております。国や県からの財源移転を一方的に縮減されるなか、投資的事業を計画に基づき進めながら財政健全化を図るという難しい局面を迎えておりますが、市総合計画の掲げる「ずっとここに暮らしたい みんなで創ろう きらめき湖南」の実現に寄与すべく予算編成をしてまいりました。

それでは、平成20年度の重点的な施策について、ご説明申し上げます。

1 みんなで共に進めるしくみをつくろう

まずは「人権尊重と自立・自助のまちづくり」であります。地方自治は民主主義の学校であるとも言われますが、これからのまちづくりには、自分たちの地域のことは自分たちで決定し、実施するという自立・自助を基本にした新しい公共意識により市民が協働する地域社会を築いていくことが求められてまいります。そのためには、積極的な行政情報の提供が必要でありますことから、市民と行政が情報を共有いたしますとともに、まちづくりの憲法ともなります「(仮称)自治基本条例」を議会にお諮りし、行政施策に市民の意見が反映できる機会を確保することにより、みんなで共にまちづくりを進めるしくみの確立に努めてまいりたいと思います。

また、市では現在、地域での身近なまちづくりを進めており、おおむね小学校区単位の地域まちづくり協議会を設立中です。昨年6月に岩根まちづくり協議会が設立されましたのに続き、ほかの6つの地域においても順次設立を進めていく予定としております。あわせて、市民活動補助金やまちづくり交付金などにより、地域の公的役割が自主的に果たされるような環境づくりを行ってまいります。さらには、地域のまちづくり活動の拠点としてかねてから懸案となっておりました「(仮称)菩提寺コミュニティセンター」の建設に向けた検討を引き続き地元の皆様と進めてまいりたいと考えております。

人権尊重につきましては、「だれもが生涯を通じて人権が尊重されるまち」の実現をめざして、市民の皆様とともに様々な取り組みを進め、すべての人が安心して暮らせる豊かな社会づくりに努めてまいります。まずは、昨年策定いたしました男女共同参画計画に基づき、男女共同参画社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。また、引き続き(仮称)人権擁護総合計画の策定を進めてまいります。さらに多文化の共生に関しましては、昨年発足いたしました「湖南市国際協会」と連携を図りながら、日本語初期指導教室の運営や生活オリエンテーションなどを続けてまいります。

情報ネットワークの構築につきましては、県内では本市と草津市のみが紙媒体による戸籍の保管を行っておりますが、戸籍を電算化することで、戸籍の作成から証明書の発行までスピードアップし、市民サービスの向上と大幅な事務の改善を行いますとともに、税や使用料等の徴収につきましては、コンビニ収納の実施により収納事務の効率化と徴収率の向上を図ります。

2 うるおいのあるまちをつくろう

2点目は、「自然を生かし、自然と共生するまちづくり」であります。本市が有する豊かな自然を守り、次代につなげていくための市民を挙げての取り組みが必要となってまいります。地球温暖化が急速に進んでいるという指摘もあり、これからは環境問題に力を入れていかなければならないと考えております。

昨年、環境基本条例を制定いただき、条例に基づいて今年1月には環境審議会を設置いたしましたことから、環境基本計画の策定に向けた調査審議を行ってまいりたいと考えております。今後はリデュース、リユース、リサイクルの理念に基づいた、ごみの減量化、再利用、リサイクル化について、市民や事業者に理解を求め、身近な地域をごみのない美しいまちにするため取り組むとともに,家庭や事業所での省エネ対策の推進を図ります。

自然環境の利用に関しましては、市民と協働して進めていく必要がありますことから、市民の意見を反映しながら行う広野川改修に伴う公園整備や、十二坊・善水寺間の森林において遊歩道を整備する里山エリア再生事業などに取り組んでまいります。

上下水道の整備につきましては、引き続き公共下水道の整備を進めますとともに、硫化水素対策や雨水排水対策にも別途取り組みます。上水道については、安定、安心、安価な水道水の確保に引き続き努めてまいります。

身近な公園・緑地の整備につきましては、恵まれた自然を生かし市民が自然にふれることのできるレクレーションの場づくりとして、清掃や除草作業などは市民と協働で取り組み、災害時の避難場所となるオープンスペースとしての機能も視野に入れながらその活用を図ってまいります。特に、野洲川親水公園において利用の多いグラウンドゴルフ場を市民との協働により手づくりで拡張することも行ってまいります。

3 活気あるまちをつくろう

3点目は、「産業が集まり、人が集うまちづくり」であります。本市の立地条件が通過交通の多さと合併による地域の均衡ある発展を加味しなければならないという側面から、都市整備のガイドラインを設ける一方、どうしても遅れがちとなってきた交通基盤整備を進めていかなければなりません。

昨年の9月市議会で国土利用計画をお認めいただきましたので、市民の日常利便性や安全・安心できる生活環境レベルを高めるとともに、まちの活力やにぎわいを担う都市機能を適切に誘導し、恵まれた自然環境と調和した魅力ある新市街地整備に向けた取り組みを進めてまいります。また現在、地域ごとに都市計画マスタープランを策定するための地域懇話会を開催しておりますので、これを仕上げてまいりますとともに、年度内に広域都市計画の整合を図ってまいりたいと考えております。

住居表示につきましては、高齢社会を迎え、緊急時の対応などに困難を生じる場面も想定されますことから、現在、近江台地区とサイドタウン地区から着手しておりますが、さらに必要性が高く地域住民の理解を得られた地域に順次広げてまいりたいと考えております

道路網、河川の整備については、国道1号をはじめ市内道路において慢性的な渋滞が発生している状況から、幹線道路の整備・改善を図るため、平成20年度においても市道甲西線(甲西橋)架替事業や(仮称)三雲石部連絡道路など南北、東西の地域内幹線道路の早期整備に努めますとともに、市道美松線、列結若狭島線、(仮称)大山川道路、内田線、菩提寺3号道路、野神8号線、朝日線、石部地区市道舗装など身近な道路の整備を進めてまいります。さらに2月23日より亀山・草津田上間において開通いたしました新名神高速道路が、名神高速道路とあわせますとダブルネットワークとなり高速交通網が充実することから、地域産業の発展や物流の効率化・観光振興に寄与するものと考えられます。これを生かし、“湖南三山”をはじめとする数多くの歴史的遺産やうつくし松などの自然遺産、四季を通じた各種イベント伝統工芸などの文化的遺産を市内外に積極的にPRし、地域文化の振興のみならず、文化観光交流の促進を図ってまいります。

鉄道関連では、市民の利便性の向上のため、草津線複線化を睨んだJR甲西駅行き違い設備設置の促進と併せ、三雲駅、甲西駅におきまして駅前整備に着手しておりますし、これから石部駅周辺整備の議論を始めてまいります。また“湖南三山”を核とした新たな観光施策を展開するとともに、あわせて鉄道やコミュニティバスなどの公共交通機関の充実を含めた条件整備が必要となってまいりますので、市コミュニティバス運行を考える市民会議などでの意見を踏まえて公共交通のあり方についての検討を進めてまいります。

農林業の推進においては農業環境の整備を図るため、甲西南部地区ほ場整備事業をはじめ、岩根地区用水路調査設計などハード面の整備とともに、平成19年度から実施されております品目横断的経営安定化対策、米政策改革推進対策ならびに農地・水・環境保全向上対策といったソフト面の取り組みを進めてまいります。

4 ほっとする暮らしをつくろう

4点目は「生涯を通じた安心と健康のまちづくり」であります。制度保障の側面から、誰もが健やかで安心できる暮らしが送れるよう、さまざまな行政サービスを展開してまいります。反面、地域や市民ができることはそれぞれが自立して、または協働して安心安全なまちづくりを進めていく必要があります。

まず、市民の健康維持増進につきましては、現在、食の安全に配慮して学校給食などでの地産地消を進めておりますが、平成19年度末に策定を予定しております「健康こなん21計画・食育推進計画」に従いまして、健康についての正しい知識の普及と、市民一人ひとりによる健康づくりや疾病予防を進め、生きがいのある充実した生活環境づくりを推進してまいります。とりわけ妊婦健康診査費助成について充実に取り組みますとともに、市内全小学校にAEDを配置してまいりたいと考えております。

次に、医療の充実につきましては、全国的に慢性的な医師不足と救急医療体制の不備が指摘されております。石部医療センターの医師確保について常勤医師3人派遣体制の維持に努力してまいりましたが、結果的には残念ながら確保ができないということで、平成20年度から入院業務を休止せざるをえない状況となりました。引き続き、地域医療体制の確立に意を用いてまいります。

子育て支援に関しては、次世代育成支援行動計画を策定してまいるとともに、老朽化しております平松保育園の改築準備に取りかかります。また、子育て支援センターやファミリーサポートセンターやつどいの広場増設など、これまでの支援施策を引き続き進めてまいります。

現行の福祉医療制度では、障がい者施設が多く立地する自治体の財政に少なからず影響を与えていますが、県に対して、住所地特例として元の市町村から財源を移転してもらうスキームを組んでほしいと要望を続けてまいります。障がい者の就労支援については企業が中心になって検討が進み、地域生活支援では障がい者福祉の枠にとどまらずに高齢者福祉や児童福祉との連携を探る事業者もあり、最近では芸術交流も盛んになってきておりますので、こうした市民からの動きを止めることのないよう紡いでいくことで、持続可能なさりげない支えあいができる地域となるよう努めてまいります。

高齢者施策に関しましては、平成20年度から後期高齢者医療保険制度が導入されることから、本市といたしましても法に基づき滋賀県後期高齢者医療広域連合に加入しておりますが、円滑な制度実施につなげてまいります。また、第4期の介護保険事業計画策定に取り組んでまいります。

地域福祉につきましては、引き続き人権福祉計画の策定に取り組みますとともに、新たに中国残留邦人の生活支援を始めてまいることとしております。また、市道針・平松線のバリアフリー化を進めるとともに、公的施設のユニバーサル化にも引き続き取り組んでまいります。

防災対策につきましては、今年の消防出初式におきまして消防団協力事業所として県内で初めて日本精工石部工場を認定させていただきました。琵琶湖西岸断層帯地震や東海・東南海地震が予想されますなか、平成19年には実際に能登半島地震や三重県中部地震もあり、震災への現実味を増しております。まずは自助、共助、公助の仕組みをしっかりと確立すべく、すでに作成済みの「防災マップ」や「洪水ハザードマップ」に加え「地震防災マップ」を作成して配布するとともに、ふるさと防災チームや消防団など地域防災への支援を行うことで、地域や事業所、そして市民の皆さまとともに防災・減災に向けての継続的な取り組みを進めてまいります。さらに、平成19年度から整備を進めてきた防災行政無線が全市域をカバーすることができるようになりますので、県内で初めて全国瞬時警報システム(J-ALERT)(ジェイアラート)を導入してまいりたいと考えております。

5 いきいきとした暮らしをつくろう

5点目は「誇りとなる市民文化を創造するまちづくり」であります。教育の内容につきましては後ほど教育長より教育方針演説がありますので、割愛いたします。

先ほども申しましたが、本市の特徴的な課題としては、外国籍市民との共生の問題があります。湖南市国際協会とともに、児童に対する日本語初期指導教室の開設をしておりますが、引き続き多文化共生の社会を地域で築いていく必要があります。外国籍市民のなかで最も割合が多いブラジル国籍の市民を対象とし、ポルトガル語のホームページを今年から開設いたしました。行政情報を提供するとともに、外国人市民会議を設置するなどして、外国籍市民も地域社会の構成員として一層安心して暮らせ、まちづくりに参加していける環境整備を図ってまいります。

就学前教育・学校教育の充実については、各幼稚園・学校の教育活動や学校運営について広く意見を求め、地域住民参加の学校づくりをめざすとともに、わかりやすい学校評価なども取り入れ目標と結果を評価し、地域住民・保護者に信頼される学校づくりを進めなければならないと考えます。昨年は、県内でただ1校、岩根小学校がコミュニティスクールに指定されましたが、今後、市内の小中学校の特色ある教育活動が活発に展開され、心豊かな児童生徒の育成ができる体制づくりに努めてまいります。

また、学校校舎の耐震化に引き続き取り組みますとともに、石部小学校の耐震化工事を行うにあたり不可欠となります校地への大型車輌の進入用道路整備のための検討を行ってまいります。

6 明日を拓くしくみをつくろう

最後に「効率的・効果的な行財政システムづくり」であります。

国のいわゆる三位一体の改革や滋賀県の財政構造改革プログラムによる移転財源の削減に加え、地方公共団体財政健全化法による厳しい財政指標の義務付けなど自治体を取り巻く行財政環境は効率のよい効果的なシステムの確立を要請しております。

そのためには、自己決定、自己責任の原則の下に、自立的な行政が展開できる必要があり、市民との協働によるまちづくりと市役所組織の変革が求められております。特に、歳入の確保と歳出の選択と集中につきましては、地域間競争が顕著となってきたことからも、市民全体の利益をしっかりと見据えた上での取り組みをしていかなければならなくなってまいりました。

そうしたことから、昨年策定いたしました市行政改革大綱に基づき、引き続き事務事業の合理化や職員のスキルアップを進めますとともに、各部局単位での機動的かつ有機的な意思決定と執行管理を定着させてまいります。また、透明性が高く成果重視型の行政運営を実践するため、行政評価システムの導入を検討していくとともに、今後も市民に信頼される市役所として、公正な市政運営を図ってまいります。

庁内情報化については、先に述べましたとおり戸籍情報システムの電算化と市税等のコンビニ納入を実施いたしますとともに、個人情報保護条例に基づき、なお一層個人情報の保護対策を講じてまいります。

さらには、財政健全化に向けた取り組みといたしまして、過去に借り入れた高金利地方債の低利債への借換えや目的を終えた事業の抜本的な見直し、収納対策の充実強化など、財源確保努力をさらに重ねるとともに、一部公募による公共施設の指定管理者指定や、市実施事業について、より客観性を求めた外部委員による事業の是非を仰ぐ「事業仕分け」を行うなど市民と協働した都市経営の実現をめざしてまいります。

広域行政につきましては、甲賀市と甲賀広域行政組合および公立甲賀病院組合の運営を協力して行いますとともに、近隣市町との広域連携による課題解決に引き続き取り組んでまいります。

おわりに

地方分権のさらなる進展と地方行革の要求が高まることが予想される今、市民が主体となってまちづくりに邁進することと、自ら律しながら自ら立てるような自治体となっていくことが大切となっていると認識しておりますが、この認識は、執行部・職員はもとより、市民の皆さまが共有していただけるものと強く確信をしているところであります。

昨年策定しました「行政改革大綱」では具体的な改革の視点として、「市民の視点」「経営の視点」「人材の視点」の3つを掲げ、これらの視点に照らして市の役割と行政運営のあり方を再検証する中で、歳出全般について徹底した見直しを行うほか、最大限の歳入確保策を講じることとしており、改革の内容によっては、事務事業の廃止や縮小、進度調整、受益者負担の増加などが避けられない状況にあります。

しかし、今この改革を着実に実行することにより、厳しい財政状況を乗り切り、真に自立した財政基盤を構築するとともに、「市総合計画」に掲げるまちづくりの6つの目標に重点的、戦略的に取り組み、地域の力を高めていかなければなりませんし、そうしたことにより安定的な税収確保を図ることが持続可能な活力に満ちた湖南市を築く道筋と考えておりますので、改めまして議員各位ならびに市民の皆さまのご支援とご協力を心からお願い申し上げまして、平成20年度の施政方針といたします。

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