令和4年3月施政方針

更新日:2022年03月03日

                                                                                                                        令和4年2月22日

 

まず、「新型コロナウイルス感染症」につきまして申し上げます。

令和2年1月16日に国内で初の感染者が確認され、令和3年10月に収束傾向となった「第5波」までの間、国では4回の緊急事態宣言の発出や、まん延防止等重点措置の適用を行ってまいりました。

しかしながら、昨年秋の「第5波」の後、かなり抑制されていた新型コロナウイルスの感染者数は、デルタ株からオミクロン株への置き換わりが進んだことによって、昨年末から徐々に増加に転じ、令和4年の年明けにはその驚異的な感染力で感染者数が一気に増加しており、2月に入りましてもその増加傾向は衰えることはなく、2月5日には全国での感染者数が10万人を超え、滋賀県でも2月8日には過去最多となる1,389人の感染者となりました。

依然として、オミクロン株の感染力の強さと実効再生産数の高さは衰えていませんが、無症状や軽症の患者も多いことから、市民の皆様には連日報道されている感染者数のみを捉えるのではなく、感染の状況を冷静に判断し感染対策を今までどおり続けていただくことをお願い申し上げます。

市といたしましても、新型コロナウイルスワクチンの追加接種を令和4年1月24日の週から、民間医療機関の協力も得て市内12箇所で個別接種を随時開始しております。また、集団接種につきましても、市民学習交流センターサンヒルズ甲西において、2月から開始させていただいておりますので、モデルナワクチンによる交互接種に躊躇されている市民の皆様もおられると思いますが、「感染しない」「感染させない」ためには接種可能時期がまいりましたら1日も早く接種していただきたいということを、切にお願い申し上げます。

 

次に、「令和4年度の予算編成」につきまして申し上げます。

国の動向につきましては、現在の日本経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が徐々に緩和されており、このところ持ち直しの動きが見られる中、先行きにつきましても、各種政策の効果や海外経済の動向もあって、景気の回復が期待されています。

しかしながらオミクロン株を含めた感染症による国内外経済への影響、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れのリスクに十分注意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。このような中で国は、「経済あっての財政」との考えの下、経済をしっかり立て直し、財政健全化に取り組むとともに、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとする「新しい資本主義」の実現に向けて取り組んでいます。

国の令和4年度予算につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すとともに、コロナ後の新しい社会を見据え、成長と分配の好循環を実現するため、成長戦略と分配戦略に基づき予算を重点配分することとしています。併せて、「経済財政運営と改革の基本方針2021」に基づき、「グリーン」「デジタル」「活力ある地方創り」「少子化対策」に重点的な投資を行い、長年の課題に答えを出し、力強い成長を実現していくため、メリハリの効いた予算編成をめざすこととされています。

地方財政におきましては、地域社会のデジタル化や公共施設の脱炭素化の取組等の推進、消防力と防災力の一層の強化等に取り組みつつ、普通交付税交付団体をはじめ地方が安定的な財政運営を行うために必要となる一般財源総額について、令和3年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保することを基本とされています。

地方財政計画では、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入の増加が見込まれるものの、社会保障関係経費の増加などにより財源不足が生じますが、これまでと同様に地方財政の運営に支障が生じることのないように、財政措置を講じることとされているところです。

そのような中、本市の令和4年度当初予算における予算編成方針につきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症対策を最優先課題と位置付けた上で、人口減少への歯止めをかけ、若々しいまちの実現をめざし、地域で支えあう子育て環境、暮らしやすい住環境の実現、地域の活性化といった地域の活力を創生する事業を積極的に推進してまいります。また、政策提案枠としてSDGs未来都市の実現に向けた取組や、市民の暮らしと安全を守り、協働の防災対策の推進に取り組むとともに、心豊かな社会・地域を形成するための取組を進め、着実に持続可能なまちづくりを進めてまいります。

以上のことから、令和4年度の一般会計当初予算案の総額は、前年度予算額211億9,000万円に対し、対前年度比で4億1,000万円、1.9パーセント増の216億円となっております。

 

次に「令和4年度の主な施策、事業」につきまして、令和3年4月に策定いたしました「第二次湖南市総合計画後期基本計画」に基づき、まちの将来像であります「ずっとここに暮らしたい! みんなで創ろう きらめき湖南」をめざすための令和4年度の主な施策、事業につきまして重点的に取り組む概要を申し上げます。

 

まず「総合政策部門の主な施策、事業」として、本議会にも提案させていただいております事務分掌条例の一部改正により、今日まで教育部で所管していた「スポーツおよび文化振興」に関する事務を総合政策部に組織配置をいたします。

「スポーツ」に関する業務では特に、令和7年に滋賀県で開催される「第79回国民スポーツ大会と第24回全国障害者スポーツ大会」に向け、剣道とバレーボールの競技種目を担う本市として、スポーツ施設の改修等の大会準備や本市にお越しいただく全国の皆様へできる限りの「おもてなし」をするため、市長部局において各部局間の連携を強化し取り組んでまいります。また、「文化振興」に関する業務では、令和4年度から文化庁との連携強化を図り、芸術文化の振興に取り組んでまいります。

小規模多機能自治につきましては、4つの中学校区を生活圏域として医療、介護、福祉など地域に密着したサービスを展開してまいります。また、行政が担うサービスには限界があることから、行政だけでなく地域まちづくり協議会、民間事業者もサービスの提供共同事業者として機能する仕組み、さらに行政サービスの集約と分散化による公共施設の再編などを目的とした小規模多機能自治の構築に取り組んでまいります。

地方創生SDGs未来都市推進事業につきましては、若者のまちづくりへの参加、参画を促す「こなんSDGsカレッジ」の取組を通じて、若者のふるさと意識の醸成とUIJターンの促進に取り組くんでまいります。また、コロナ禍により巣ごもり需要が増えたことなどから全国的にも寄附額が増加しているふるさと納税につきましても、特設サイトの強化や市内産近江牛のPRなどによる寄附額の増加に取り組むことと併せて、リピーターの増加などによる関係人口の創出に取り組んでまいります。

風水害、地震等のあらゆる災害から市民の生命と暮らしを守るため、発災時等に緊急情報を発信するための防災行政無線の更新や、防災訓練等の実施、防災意識を高める想定浸水深「見える化」事業に取り組みます。

新たに建設が予定されている「滋賀県立の高等専門学校」の誘致につきましては、令和4年8月頃に最終決定される候補地に対し、甲賀・湖南圏域での候補地について甲賀市・湖南市広域行政協議会で提案するとともに、誘致に向けた活動も議会や民間で設立された「草津線沿線地域に高専を誘致する会」と連携して取り組んでまいります。

 

「総務部門の主な施策、事業」として、東庁舎の耐震性能を把握するため、平成29年(2017年)に改訂されたRC耐震診断基準での診断に取り組みます。西庁舎の周辺整備につきましては、公共施設等総合管理計画の個別施設計画で示した施設のあり方と併せ、小規模多機能自治を進める中で、中学校区を一つの生活圏域としての必要な機能等の検討に取り組んでまいります。

新しい生活様式に対応したデジタル化の推進とICTを活用した効率的な行政サービスの提供を進めるとともに、マイナンバーカードの普及と啓発をさらに図りマイナンバーカードを活用したオンラインによる申請など窓口へ出向くことなく手続きが完了できるサービスの検討にも取り組んでまいります。

市税等につきましては、行政サービスの向上につなげるため、効率的かつ効果的なシステムの活用と公平・公正な課税および税収の確保に取り組みます。現年度の未納者への早期対応としては、納税相談等による計画的な納付を指導し、納税意思が見受けられない滞納者へは、捜索や財産の差押え等の行政処分を実施してまいります。また、コロナ禍の影響により、失業や休業により納税が困難な生活困窮者においては、納税相談等により納税猶予制度の活用等を行い、福祉部局と連携して自立支援にも繋げてまいります。

外国人住民の増加と多国籍化を見据え、生活者としての外国人市民を取り巻く、外国人特有の課題に広く対応してまいります。

「湖南市人権総合計画」に基づき、人権教育等を推進するほか、人権まちづくり会議による啓発活動の充実と、市民の皆様一人ひとりが人権意識を高め、お互いを認め合う人権尊重のまちづくりをめざしてまいります。

 

「健康福祉部門の主な施策、事業」として、第四次地域福祉計画の具現化を図るため、「地域共生社会の実現」をめざし、行政、市民、地域団体、事業所、社会福祉協議会などが協働し、支援を必要とする人が漏れることのない支えあいのまちづくりを実現するため、市民協働による地域福祉活動の促進に取り組んでまいります。また、生活に困窮し、さまざまな複合的な問題を抱える人の課題を紐解き、早期に困窮状態から自立できるよう包括的かつ継続的な相談支援に取り組んでまいります。

すべての市民が生涯にわたり健康を維持増進し、豊かな生活を営むために、健康増進や疾病の早期発見、重症化予防など、市民の皆様自らが健康づくりを推進するための取組を進めてまいります。

安心して妊娠、出産、子育てをしていただけるよう、妊・産婦健診、1か月児健診の費用助成に取り組んでまいります。

妊娠および出産期の切れ目のない子育て支援の充実を図り、相談体制や訪問、交流の場の提供を行うなど、安心して子育てできる環境を整備してまいります。また、育児の孤立化を防ぎ、子育て支援を行うことで、虐待防止、予防の推進に取り組んでまいります。

多様な保育需要に対応し、待機児童の対策を図るため、民間園への保育士宿舎借上げや保育士奨学金返還支援の助成を行い、保育人材の確保に努めてまいります。また、民間移管園の内、老朽化した施設の建替え事業に対し助成を行うことで保育環境の整備に取り組んでまいります。

医療機関受診時の負担を軽減することで必要な受診を可能にし、助成対象者の健康状態を保つ観点から、社会的、経済的に支援の必要な立場にある乳幼児や小中学生、障がい者、ひとり親家庭等に対する医療保険の自己負担金の助成に取り組んでまいります。

高齢者の生きがいづくりと社会参加の促進、健康づくりと自立支援・介護予防の推進、在宅医療・介護連携の推進や認知症施策の推進、多様な担い手による生活支援サービスの構築、小規模多機能自治確立に向けた前身として、医療機関等と連携し、4つの中学校区に設置する地域包括支援センターの機能強化や介護サービス事業の充実などに取り組んでまいります。

地域医療として、市内各中学校区にある4つの診療所につきましては、石部診療所での診療科目である小児科を水戸診療所へ移行し、岩根および夏見診療所も経営改善を行うことで、市内医療の充実に取り組みます。また、甲賀保健医療圏域での中核病院である地方独立行政法人公立甲賀病院のあり方や市内および圏域外の医療機関との連携も含め検討を進めてまいります。

地域総合センター事業として、相談事業や高齢者対象事業など福祉施策と併せて実施することにより、人権尊重のまちづくりおよび人権が大切にされる福祉・教育のまちづくりを一体的に取り組んでまいります。

 

「都市建設部門の主な施策、事業」として、現在、令和7年度以降と見込まれている国道1号の4車線化事業に対し、用地も一定確保されている中で、本市の区間だけがなぜ遅れるのか、納得できないことから、朝夕の慢性的な渋滞において、市内生活道路の進入による安全を脅かすことや交通渋滞における経済損失などの観点から、国や県への要望活動をより強化して、4車線化の早期実現に向けて取り組んでまいります。また、主要地方道竜王石部線における新中郡橋の早期着工をめざし、継続して県に要望をしてまいります。

道路側溝や舗装等の緊急修繕工事につきましては、地元要望等に対応するため、予算を増額し、良好な道路の維持に努めてまいります。また、交通安全プログラムに基づく通学路整備を行うため、引き続き市道桐山1号線および市道狐谷線の歩道整備に取り組んでまいります。

コミュニティバスの現行路線において、持続可能な交通手段の確保に取り組むとともに、令和4年4月から予約制小型乗合自動車運行事業による実証運行に取り組んでまいります。

三雲駅、甲西駅の周辺整備事業として、市の東部の玄関口である「三雲駅」および、中心市街地への玄関口である「甲西駅」施設の美観を保持し、駅を利用される方々が快適にご利用できるよう維持管理等に努めてまいります。また、三雲駅南側の周辺整備工事を実施し、市有地の活用について取り組んでまいります。

石部駅の周辺整備事業として、石部駅のバリアフリー化、自由通路・アクセス道路の整備および駅前広場等の整備工事また、自由通路を整備するにあたり支障となる駅舎の移転にも取り組んでまいります。

 

「上下水道部門の主な施策、事業」として、水道事業では、自己水源の既存施設を効率的に維持し、施設管理に努めてまいります。また、老朽施設や老朽管の計画的な更新を行い、施設の耐震化によって災害時の危機対策の強化を図るなど、長期的な視点で水道財政の健全運営に努めながら安全な水の安定供給に取り組んでまいります。

下水道事業では、生活環境の改善および公共用水域の水質保全を図るため、汚水面的整備を促進してまいります。また雨水による浸水対策整備を促進してまいります。

水道および下水道の施設維持管理業務、水道事業および下水道事業の公金徴収事務等業務の包括委託を継続し、経営の効率化に努めてまいります。

 

「環境経済部門の主な施策、事業」として、観光および交流の創出を図るため、湖南三山や東海道石部宿等の観光資源、天然記念物「平松のウツクシマツ自生地」のほか、各種イベントや伝統工芸等について積極的な情報の発信に努めてまいります。また、市民や地域、関係団体との協働による観光資源の発掘、体験型観光の推進、特産品および伝統工芸品の振興、観光客のニーズに合わせたサービスの充実に取り組んでまいります。

就労の推進として、市内企業の情報発信や企業説明会の開催、企業と教育機関のマッチング、キャリア教育や資格取得のための支援を講じてまいります。また、障がい者の就労支援として、福祉的就労の場の確保、関係機関の連携強化による就労への継続的な支援、障がい者就労情報センターの充実による一般就労の促進などに取り組んでまいります。

農業環境の整備として、生産基盤の整備および維持管理、自然と共生する魅力ある農業の推進、地域農業の担い手や集落営農を育成し、土地利用調整や優良農地の集積を行うことで、農業経営基盤の安定化を図ってまいります。また、林業の振興として、カーボンニュートラルをめざした多角的な林業振興施策の展開や放置林対策として森林境界の明確化等の事業に取り組んでまいります。また、里山保全活動の推進や無秩序な伐採や開発の抑制、環境に配慮した森林整備等を進めてまいります。

令和3年に100周年を迎えました国の天然記念物である「平松のウツクシマツ自生地」の再生に向けて、自生地内における生育環境の整備のための保全保護事業に取り組んでまいります。また、文化財に関する業務を教育部から移管することにより、保全・保護と観光面での活用に対して、地域の代表や森林保全学識経験者らで組織した「平松のウツクシマツ自生地保全活用協議会」を主体に、文化庁とも連携して効率的かつ効果的に事業を展開してまいります。

自治体地域新電力会社である「こなんウルトラパワー株式会社」を核としたエネルギーと経済の循環事業を通して、地域循環共生圏をめざすSDGs未来都市の実現に向けた事業として展開してまいります。シュタットベルケ構想の検討として、地域活性化に資する公共サービス事業の可能性や事業化に向けた検討を行い、エネルギー費用流出の最小化を図ることで、脱炭素化に繋げてまいります。

 

「教育部門の主な施策、事業」として、教育長から教育方針により申し上げますが、私からいくつか申し上げます。令和2年度から着手しています「小中学校のトイレ洋式化への改修」につきまして、臭いの改善や菌の繁殖防止、感染症の予防、健康障害といった衛生面での環境確保と併せて、児童および生徒の集中力の向上といった教育環境を確保する観点から、令和4年度は石部南および三雲小学校、甲西北中学校のトイレ洋式化工事に取り組むとともに、菩提寺北および下田小学校、石部中学校のトイレ洋式化工事に向けた設計業務に取り組んでまいります。

GIGAスクール構想の実現に向けて指導力の育成および強化に取り組んでまいります。また、ICT支援員を各校に配置し、授業の支援に取り組んでまいります。

生涯学習および社会教育、青少年育成に関する事業は教育部において継続して進めてまいりますが、文化振興および文化財、スポーツに関する業務は市長部局に移管することから、今日までの取組の検証と今後の展開について教育委員会と連携し、市の文化とスポーツ施策のさらなる充実に取り組んでまいります。

 

長々と令和4年度の施設方針を申し上げましたが、市長に就任させていただき、就任前からの数多くの施策、事業を自分なりに分析や検証があまりできないまま、令和3年度の予算を編成させていただき、さまざまな施策、事業に取り組んでまいりました。その中で、令和3年度の6月議会定例会では、私が市民の皆様とお約束した小学生と中学生への医療費の無償化につきまして議会でお認めいただき、9月から実施させていただくことができました。そして令和3年度に実施してまいりました、さまざまな施策、事業に対し、その都度、担当者へ今日までの実施内容や考え方等のヒアリングを行うとともに、私なりに理解すべく検証や分析を行ってまいりました。

令和4年度の施策、事業の実現に向けた予算編成においても、今日まで市民の皆様や議会の皆様、各種団体などさまざまな皆様方と私自身が現場に赴き、お出会いし会話を交わすことで出されたご意見なども取り入れながら予算編成に取り組んでまいりました。

令和3年度の施政方針でも申し上げましたが、私は至って現実主義、現場主義であります。机上の空論ではなく、現場に赴き自分自身が理解と納得ができるまで検証と分析をし、納得した上で施策や事業を進めてまいりたいと考えております。

私はこの湖南市を愛しており、湖南市がより一層市民の皆様はもとより、市外の方々からも愛される魅力に溢れたまちにしていきたいと思っております。

先ほどから申し上げました多くの施策、事業の実現に向けて、迷うことなく、逃げることなく先頭に立って取り組んでまいりますので、市民の皆様、議会の皆様の一層のご理解とご協力の下、共に湖南市の明るい未来の実現に向けて進んでいただきますことをお願い申し上げます。