令和6年3月施政方針

更新日:2023年02月24日

                                                                                           令和6年2月21日

 

それでは、議長のお許しをいただきましたので、令和6年度の施政方針の一端と主要施策の概要につきまして述べさせていただきます。

先ず冒頭に、令和6年元日に発生した「令和6年能登半島地震」は、新たな年を家族や大切な方々と穏やかに迎えられていた時間を、打ち砕きました。

最大震度7、地震の規模を示すマグニチュード7.6というこの巨大地震は、一瞬にして“まち“を大きく破壊し、多くの尊い生命(いのち)を奪い去りました。

ここにお亡くなりになられた方々に対し、哀悼の意を表するとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。

現地では、未だ多くの方々が避難所での生活を余儀なくされ、また今もなお、ライフラインの復旧支援なども要する状況であります事から、本市におきましても職員の派遣等に対する支援体制を構築させていただいている中で、引き続き滋賀県や県内市町とも連携を図りながら最大限の支援をしてまいります。

地震の脅威は本市も例外ではなく、「南海トラフ巨大地震」の本市における想定最大震度は6強である事、発生すれば市内の多くの家屋が全壊または半壊する事から、私が常日頃からさまざまな場で申し上げております「72時間」と「生きた情報」というキーワードの重要性を市民の皆さまお一人おひとりにしっかりとご認識をいただきながら、一緒に災害に備えていただく必要があります。

もう一つ大切な事、それは他の市町でも同様ですが、発災直後は、行政として出来る事は限定され、行政としての果たすべき役割の全てを遂行する事は到底できません。

発災直後の初動は、やはり地域の皆さまによる助け合いが重要であり、大きな力になるという事であります。

今回の能登半島地震におきましては、発災から1ヶ月が経過した2月1日現在で死者238人の内、約4割の人が倒壊家屋等の下敷きなどによる「圧死」とされています。

この事から、生存率が著しく低下する「72時間の壁」までに如何に倒壊した家屋等から救出するかが重要であります。また、国土交通省近畿地方整備局の阪神・淡路大震災の死因や生存率をまとめた「死者を減らすために」のデータによると、震災当日の1月17日の救出者の生存率は74.9パーセント、2日目は24.2パーセント、3日目は15.1パーセント、72時間経過後の4日目では5.4パーセントまで生存率が大きく低下する事から、発災当日の生存率が極めて高い事が事実としてあります。このデータからも「72時間以内」の救出、また、発災当日の生存率が極端に高い事から、「地域の皆さまの助け合い」により、多くの尊い生命(いのち)を守る事が極めて重要であると認識しております。そのためには、日頃から「お隣、ご近所」の繋がりを作り、また繋がりを深める事で、お互い日々の状況を「生きた情報」として蓄積いただく事が必要かつ重要となってまいります。しかしながら個人情報保護の観点や地域コミュニティの希薄化など、情報を得るためのハードルもまだまだ高い状況ではありますが、「南海トラフ巨大地震」が現実味を帯びている今日、多くの生命(いのち)を守り、救うため、市民の皆さまのご理解とご協力を得られるよう今後も取り組んでまいります。

「新型コロナウイルス感染症」につきましては、令和2年1月16日に国内初の感染者の確認から、3年余りが経過し、令和5年5月8日、それまでの2類感染症相当の位置づけから、これまでの「5類感染症」へ移行されました。

私が市長に就任させていただいた令和2年11月7日時点では、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、翌年1月7日には、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の首都圏4都県に2度目の緊急事態宣言が発令されるなど、世界中が新型コロナウイルスに恐怖を抱き、混乱していた事を思い起こすところであります。

就任後を振り返ると、さまざまな制限が強いられる中での市政運営のかじ取り、従来の施策よりも新型コロナウイルス感染症対策を優先した市政運営の時代であったと改めて思うところであります。

そのような中、令和5年度は今しがた申し上げました「5類感染症」への移行により、「湖南市夏まつり」を始め、地域の夏祭りやさまざまなイベントが開催されるなど、それまでの長きに亘る閉塞感を打ち破る明るい兆しがようやく差し込み、コロナ禍前の日常を取り戻しつつあると実感したところであり、今後、早期の社会・経済活動の完全な回復を期待するところであります。

本市は、平成16年10月1日に平成の大合併により誕生し、本年で20周年を迎えます。また私も市政を担わせていただく最後の年となります。

令和6年度の予算編成等の考え方や具体的な各部局別の主要な事業等につきましては後ほど申し上げますが、20周年を迎える令和6年度は「次の時代に繋ぐための取組」を重点に進めてまいります。

 

次に、「令和6年度の予算編成」につきまして申し上げます。

現在の日本経済は、コロナ禍の3年間を乗り越え、改善しつつあります。また、30年ぶりとなる高水準の賃上げや企業の高い投資意欲など、経済には前向きな動きが見られ、デフレから脱却し、経済の新たなステージに移行するチャンスを迎えています。他方で賃金上昇は輸入価格の上昇を起点とする物価上昇に追いついておらず、個人消費や設備投資は依然として力強さを欠いている状況で、これを放置すれば再びデフレに戻るリスクがあるとされています。

このような中、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を策定し、一時的な措置として国民の可処分所得を下支えするとともに、構造的な賃上げに向けた供給力の強化を図るとしています。

国の令和6年度予算におきましては、足元の物価高に対応しつつ、持続的で構造的な賃上げや、デフレからの完全脱却と民需主導の持続的な成長の実現に向け、人への投資、科学技術の振興、イノベーション、GX、DX、半導体・AI等の分野での国内投資の促進、少子化対策・こども政策の抜本強化を含む包摂社会の実現など、新しい資本主義の実現に向けた取組の加速や、防災・減災、国土強靭化など、国民の安全・安心の確保等をはじめとする重要な政策課題について、必要な予算措置を講ずるなど、メリハリの効いた予算編成を行うとされています。

地方財政におきましては、こども・子育て政策の強化や物価高への対応などさまざまな行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう普通交付税交付団体をはじめ、地方が安定的な財政運営を行うために必要となる一般財源総額について、令和5年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保する事を基本としています。

地方財政計画では、社会保障関係経費や人件費の増加が見込まれる中、地方公共団体が住民ニーズに的確に応えつつ、さまざまな行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう地方交付税等の一般財源総額について、前年を上回る額を確保するとされています。

このような中、本市の令和6年度当初予算における予算編成方針は、「みんなで支える子育て政策の推進 ~安心してこどもを生み育てられる、こどもまんなか社会の実現をめざして~」を基本テーマとし、人口減少に歯止めをかけ、若々しいまちの実現をめざし、地域で支えあう子育て環境、暮らしやすい住居環境の実現、地域の活性化といった地域の活力を創生するため、「総合戦略」によるプラン、パッケージに基づく事業、特に地域再生計画に含まれる事業に要する経費につきまして、「きらめき・ときめき・元気創生 総合戦略推進枠」に盛り込み、積極的に推進してまいります。

また、政策提案枠としてSDGs未来都市の実現に向けた「SDGs未来都市の推進」、市民の暮らしと安全を守り、協働の防災対策を推進するため「セーフティコナンの推進」、心豊かな社会、地域を形成するため「官民パートナーシップの推進」に取り組み、着実なまちづくりに取り組んでまいります。

以上の事から、令和6年度の一般会計当初予算案の総額は、前年度予算額222億2000万円に対し、30億8,000万円、13.9パーセント増の253億円となっております。

次に「令和6年度の主な施策、事業」につきまして、令和3年4月に策定いたしました「第二次湖南市総合計画後期基本計画」に基づき、まちの将来像であります「ずっとここに暮らしたい! みんなで創ろう きらめき湖南」をめざすための令和6年度の主な施策、事業につきまして重点的に取り組む概要を部門別に申し上げます

 

まず「総合政策部門の主な施策、事業」として、

平成16年10月1日に平成の大合併により、旧石部町と旧甲西町が合併し「湖南市」が誕生してから、本年10月には市制施行20周年という節目の年となります。湖南市を「新たな時代に繋げていく」ための「市制20周年記念事業」を実施してまいります。

戦略的な情報発信と積極的な市民参画におきましては、市民が求める情報と伝えたい情報をさまざまな情報媒体を活用する事で、より多くの情報を市民が得られ、市政に興味を持ち、参加する意識の醸成を図ってまいります。また、市民の皆さまのご意見やご提案等を市政に反映する広聴事業につきましても、広聴機会の拡大や内容等の充実を図る事で、市民の市政への参画意識の醸成を図ってまいります。

先ほども申し上げました、現在の「第二次湖南市総合計画 後期基本計画」に定める“まちの将来像“の実現に向け、地域の魅力を磨き豊かさを実現できる“まちづくり“に引き続き取り組むとともに、令和8年度から令和17年度までの10年間を計画期間とする「第三次湖南市総合計画」の策定に取り組んでまいります。

「湖南市版小規模多機能自治」の推進に向けた取組におきましては、今年度、各中学校区でのタウンミーティングを開催させていただき、その必要性や重要性につきましてご説明を申し上げてきたところであり、ご参加いただきました皆さまにも、各中学校区を一つの生活圏域として、福祉や防災など身近なところでの自助・互助(共助)・公助に対してはご理解いただけたものと認識しております。

しかしながら、小規模多機能自治センターの建設に係る既存施設の整理や庁舎を含む公共施設の再編等につきましては、説明不足の点もあり、施設のあり方のみがクローズアップされ、賛否も含め多様なご意見をいただいたところであります事から、令和5年度と令和6年度の2ヶ年で策定する「湖南市庁舎整備基本計画」の中で西庁舎および周辺施設の方向性を示すとともに、「湖南市公共施設等総合管理計画個別施設計画」との整合を図ってまいります。

本市は、令和2年7月に「SDGs未来都市」に選定され、多様性、普遍性、包摂性、参画性、統合性、発信性を持った多角的な視点に立ち、「誰もが参加・参画する事ができる持続可能なまちづくり」を市民、事業者と連携しながら取組を進める事とし、「地方創生SDGs未来都市推進事業」におきましては、若者のまちづくりへの参加、参画を促す「こなんSDGsカレッジ」の取組を継続してまいります。

「ふるさと納税制度」におきましては、本市の返礼品の戦略的広告やPR活動の実施により、リピーターの増加等による関係人口の創出と寄附額の増収に取り組んでまいります。また、「企業版ふるさと納税」におきましても、令和6年度中で制度が終了する事から、さらなる企業へのPR活動など私自らもトップセールスを積極的に行わせていただき、寄附額の増収に取り組んでまいります。

「地域活性化起業人事業」におきましては、総務省の「地域活性化起業人制度」を活用し、本市の多様なキーマンとの連携により、地域商社等の構築に向けた取組を進めてまいります。

「防災対策」におきましては、風水害、地震等のあらゆる自然災害から市民の生命(いのち)と暮らしを守るため、また火災時に迅速かつ安全な消火活動を行うため、耐用年数が到来する消防車両の更新に取り組んでまいります。また、甲賀広域行政組合消防本部の管内において唯一、施設の整備ができていない「湖南中央消防署の建替え」につきましても、早期建設ができるよう継続して進めてまいります。

「文化・芸術の振興」におきましては、令和5年度から両文化ホールの管理運営を直営とした事により、新たな取組として「滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール」との連携による「びわ湖ホール声楽アンサンブル」のコンサート等の取組を実施させていただきました。来場した方々からは「コロナ禍で毎日塞ぎがちであったが、とても心が温まる、久しぶりに楽しめる」機会であったとの声も多く、令和6年度におきましてもホール事業をはじめ、各まちづくりセンターを活用した「まちかどコンサート」等を積極的に展開する事で、より多くの方々に文化・芸術に身近に触れ、親しんでいただけるよう、文化・芸術の振興に取り組んでまいります。

また、文化施設を快適にご利用いただくために、甲西文化ホールのトイレ改修工事や老朽化する空調改修に係る設計業務に取り組んでまいります。

「スポーツ振興」におきましてもスポーツ施設を快適にご利用いただくために、トイレの改修工事等を進めてまいります。また、令和7年度に滋賀県で開催予定の「第79回国民スポーツ大会・第24回全国障害者スポーツ大会」に向け、前年度となる令和6年度に開催されますリハーサル大会への準備やPR活動等の取組を通じて、スポーツが市民のライフスタイルの一部に定着するよう、機運を高めてまいります。

 

次に「総務部門の主な施策、事業」として、

「庁舎整備」におきましては、令和4年度に実施いたしました東庁舎の耐震診断調査の結果が、IS値0.22と極めて低い数値であり、震度6強程度の地震が発生した場合、崩落・倒壊の危険性が高いという結果でありました。

この事から、市民の安全・安心を支える防災拠点として、早急に東庁舎の増改築等を進める必要があり、令和5年度から令和6年度にかけて、庁舎に必要な機能等の検討を行い、東・西庁舎およびその周辺の整備方針を定めた「庁舎整備基本計画」の策定に取り組んでまいります。

行財政改革の推進につきましては、その推進に向け、外部評価および事務事業評価を活用し、行政運営の効率化に取り組んでまいります。また、情報通信技術の効果的な活用により、持続可能な行政運営を確立するために「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」に基づき、基幹業務の情報システム標準化への移行に対応していくとともに、ICT技術を活用して効率的な行政サービスの提供を進める事で、市民サービスの向上に努めてまいります。

高松公園跡地につきましては、今年度に公募型プロポーザル方式により、売却先の選定を進めてきたところであり、結果、土地の売払い先が決定し、売り払い価格は20億円となりました。令和6年度では、この土地売却収入の内、買戻し特約に対応するため8割となる16億円を「財政調整基金」へ積み立て、残りの4億円を「公共公益施設等整備基金」に積み立てる事で、社会体育施設および公園等の整備事業費として有効活用してまいります。

「住居表示に関する法律」に基づき、合理的でわかりやすい住居表示によって、住みよいまちづくりを進め、市民生活の向上を図るため、既に住居表示が実施されている菩提寺地域におきまして、住居表示実施当時は開発途中であった地域と今後、開発が予定されている地域に対する住居表示を実施してまいります。

 

次に「健康福祉部門の主な施策、事業」として、

本市でも少子高齢化が進む中、誰もが住み慣れた地域で自分らしい暮らしを送れるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される、いわゆる「地域包括ケアシステム」のさらなる推進・深化や共生社会の実現に向け、今年度、新たに策定する「高齢者福祉計画・介護保険事業計画」に基づき、地域包括ケア推進局を中核として取組を前進してまいります。

その一つとして、令和4年度から各中学校区に設置しました「地域包括支援センター支所」の体制をさらに整え、令和6年度からは、地域包括支援センターが持つ全ての役割を住民の皆さまにお届けできるセンターとして活動させてまいります。また、複数の生活課題を抱える世帯に対し、関係者一丸で支援に取り組む、いわゆる「重層的支援」の相談窓口や地域づくりなどの役割を地域包括支援体制が担い、市が全ての関係者のコーディネートを担う事として整理した包括的な支援の仕組みを稼働させてまいります。

また、今年度策定する「障がい者の支援に関する基本計画」がスタートする事に合わせ、令和6年度から新たに、ひきこもり状態にある人とその家族に対し、相談支援などを行う「ひきこもり支援ステーション事業」による本市の発達支援システムの一層の充実のほか、障がいのある人とない人との繋がりづくりに向けた取組、地域住民の障がいへの理解促進に向けた施策などを通じて、障がいのある人が地域で暮らし続けられる環境整備に取り組んでまいります。

加えて、令和6年度から、高校生世代および障がい者に対する医療費助成を拡大してまいります。

 

次に「こども未来応援部門の主な施策、事業」として、

今年度に引き続き、妊娠前の支援、妊娠、出産の支援、母子保健、子育て支援、こどもの居場所づくり、困難な状況にあるこどもの支援のほか、本市独自の給付事業などを展開してまいります。また、こども園の整備や学童保育所等の施設の整備事業を進め、すべての子どもが健やかに成長する事ができる社会の実現に向けて展開してまいります。

子ども・若者育成支援施策の一層の推進を図るため、令和5年度の基礎調査等を踏まえた「(仮称)湖南市こども計画」の策定に取り組んでまいります。学童保育へのニーズの高まりを受け、児童の放課後健全育成に必要な施設整備として「水戸学童保育所の老朽化した空調設備の更新」および「石部南学童保育所の移転に伴う施設改修」を行うとともに、子どもたちが身近な地域で安心して過ごせる¨こどもの居場所づくり“をさらに進めてまいります。

妊娠・出産・育児期における母子保健対策の充実に取り組み、子育て世帯の安心感を醸成するとともに、関係機関との有機的な連携体制の強化や、子どもの健やかな成長を支援する「こども家庭センター」の機能強化、母子保健コンシェルジュによる母子健康手帳の交付時からの全ての妊婦を対象とした個別の状況に応じた支援プランの作成など、妊娠期から子育て期まで切れ目のない相談・助言など、子育て支援環境の充実に取り組んでまいります。

多様な保育需要に対応するため、私立園の保育人材の確保等に向けて支援を拡充し、引き続き待機ゼロ継続に務めつつ、子どもを安心して育てる事ができる環境整備に取り組んでまいります。また、「下田こども園」の建替えに係る設計業務委託の実施、「菩提寺くじらこども園」への改修事業に取り組んでまいります

 

次に「都市建設部門の主な施策、事業」として、

平成31年に重要物流道路として国に指定されました「国道1号栗東水口道路」は、以降も暫定2車線のままであり、緊急時における道路交通網の機能不足や慢性的な渋滞の発生に伴い、生活道路への通過車両の流入により、生活環境の悪化を危惧する状況が今も続いております。

近年、2024年問題がクローズアップされる中におきましても、本市では立地の優位性から、大型物流倉庫が次々と建設され、そのアクセス道路として「国道1号栗東水口道路」の重要性はますます増してきております。

市民の安心安全を脅かす現状や交通渋滞における経済損失、企業誘致やまちづくりなどの観点から、国や県への要望活動をさらに強め、4車線化の早期実現に向けて取り組んでまいります。また、道路ネットワークのさらなる強化のため、主要地方道竜王石部線における新中郡橋の早期着工に向け、継続して県に要望をしてまいります。

防災・減災、国土強靭化の基本的な考え方から、天井河川であります一級河川「落合川」につきましては、令和6年度から事業化される見込みであり、一級河川宮川の改修と合わせ事業の促進を県に対し強く要望するとともに、本市といたしましても普通河川の浚渫などに取り組んでまいります。

道路側溝や舗装等の緊急修繕工事につきましては、地元要望等に適切に対応し、良好な道路等の維持に努めてまいります。また、交通安全プログラムに基づく通学路整備を行うため、「市道桐山1号線」および「市道狐谷線」の第2期歩道整備工事に着手するとともに、「市道三雲畑線」の歩道用地の取得や主要道路の舗装修繕工事を計画的に進めてまいります。

コミュニティバスの運行につきましては、近年のJR草津線の乗降者数の減少や2024年問題に伴う全国的な運転手不足、また2年間の「予約制小型乗合自動車実証運行事業」の検証結果などから、現行のバス路線を維持していく事は困難な状況である為、バス利用者の多い駅を中心とした路線に変更し、令和7年度以降の持続可能な交通手段の確保に取り組んでまいります。

「石部駅周辺整備事業」につきましては、「北口駅前広場」および「南口の歴史公園」の整備に取り組んでまいります。

「市営住宅整備事業」につきましては、令和6年3月に見直し予定の「湖南市市営住宅整備計画」および「公営住宅等長寿命化計画」に基づき、令和6年度は「茶釜団地B棟の長寿命化修繕改修」を行うこととし、民間の動向も注視しながら市における今後の公営住宅の施策を展開してまいります。

 

次に「環境経済部門の主な施策、事業」として、

これまでに引き続き「湖南市SDGs未来都市計画」で示した4つの“まち“、「産業力が強化された活力あるまち」、「地域が主体となった持続可能なまち」、「安心して暮らせる基盤の整ったまち」、「観光と交流による活性化されたまち」を基軸に、将来の“まち“のあるべき姿に向けた各種施策・事業を環境と経済の融合を図りながら展開し、活力とうるおいのあるまちづくりを推進してまいります。具体的には本市の1次、2次、3次産業全般に亘る産業振興策、各種支援事業に取り組んでまいります。

観光施策として観光振興および、交流人口増加による地域活性化を目的として行う観光諸施策を支援してまいります。具体的には、湖南三山や東海道石部宿などの観光資源、各種イベントや伝統工芸について、積極的な情報発信に努めてまいります。また、市民や地域、関係団体との協働による観光資源の発掘、体験型観光の推進、特産品および伝統工芸品の振興など、観光客のニーズに合わせたサービスの充実に取り組んでまいります。

就労の推進におきましては、就職困難者をはじめとする不安定就労者や若年層の未就職者、そして、障がい者の就労全般を支援してまいります。

農業環境の整備におきましては、生産基盤の整備および維持管理を図り、魅力ある農業の推進、地域農業の担い手や集落営農を育成し、土地利用調整や優良農地の集積を行う事で、農業経営基盤の安定化を図ってまいります。また、林業の振興につきましても、林道の適正な維持管理を行いながら、放置林対策として森林境界の明確化などの事業に取り組んでまいります。

国の天然記念物である「平松のウツクシマツ自生地」の保全強化や早期再生を図り、観光資源としての活用を推進し、保全、保護と観光面での活用に対して、地域の代表や学識経験者で組織した「平松のウツクシマツ自生地保全活用協議会」を主体に、文化庁とのさらなる連携により、効果的に保護事業を展開してまいります。また、市内の文化財を幅広く把握し、総合的に保存・活用していくため、「文化財保存活用地域計画」の策定に取り組んでまいります。

環境施策におきましては、令和4年11月に湖南市が「さりげない支え合いのまちづくり、オール湖南で取り組む脱炭素化プロジェクト」を推進する事で、環境省から「脱炭素先行地域」に選定されました事から、自然エネルギーを活用したエネルギーと経済の循環による地域の活性化と二酸化炭素排出削減に取り組んでまいります。具体的には、官民連携による市内の福祉施設や、公共施設などへ太陽光発電設備や省エネルギー設備の導入を進めてまいります。

 

次に、「上下水道部門の主な施策、事業」として、

水道事業におきましては、自己水源となる既存施設を効率的に維持するための施設管理に努めてまいります。また、水道水を継続的かつ安定的に供給するため、老朽施設および老朽管の計画的な更新を行ってまいります。

水道事業会計におきましては、今年度末に「朝国・菩提寺受水場」を移管し、今後は「正福寺受水場」につきましても企業庁へ移管する予定で進めてまいります。移管の際には、これに伴う特別損失も発生する事から、これまで以上に経営の効率化に努めてまいります。

下水道事業におきましては、生活環境の改善および公共用水域の水質保全を図る為、未整備対策として「汚水面的整備」を促進してまいります。また、雨水による浸水対策を促進してまいります。

この他にも、水道および下水道の「施設維持管理業務」、水道事業および下水道事業の「公金徴収事務等業務」の包括委託を継続し、経営の効率化に努めてまいります。

 

次に、「教育部門の主な施策、事業」として、

教育長から教育方針により申し上げますが、私からいくつか申し上げます。

本市の教育の基本理念や基本的な方向を示した「教育大綱」と、具体的に実施する施策を示した「教育振興基本計画」で構成し、令和2年4月に策定した「第2次湖南市教育振興プラン」が計画期間満了となります事から、「第3次湖南市教育振興プラン」の策定に取り組んでまいります。

災害時の避難所となる小学校9校、中学校4校の体育館に空調設備を設置する為、その設計業務を進めてまいります。また、省エネ対策として小学校7校、中学校4校の校舎等へのLED化に取り組んでまいります。

甲西中学校における夜間中学の令和7年4月の開設に向け、有識者会議、学校説明会等の広報活動や施設の整備等に取り組んでまいります。

 

以上が各部局別に令和6年度に取り組む主要事業であり、私の任期中、最後となります令和6年度の施政方針を申し上げましたが、私自身がこの湖南市(旧甲西町)で半生以上暮らさせていただく中で、この湖南市に少しでも恩返しをさせていただき、生涯をこの湖南市で全うすると決めた時から、「もっとこのまちを魅力あるまちにしたい」という想いを持ち、市長就任時におきまして「湖南市を変える!12の政策」を掲げさせていただきました。

主に「子育て・福祉政策」、「安心安全のまちづくり」、「インフラ整備」、この3つを大項目とした12の政策に対し、今日までの経緯や限られた財源の中で公約も含めた事業に対する「選択と集中」の中で、また、任期4年間という限られた時間の中で、少しでも多くの公約の実現に取り組んでまいりました。

 

「子育て・福祉政策」におきましては、4項目ございます。

1項目目、「中学生以下の医療費を無料化」する事につきましては、令和3年9月1日から、市の単独事業として開始させていただき、子育て施策の一端を担う、重要な事業であると考えており、令和3年度の実績といたしましては、医療費助成額が2,986万8,595円、受診件数が14,033件、年度末の令和4年3月1日時点での対象者数は4,028人でありました。また、令和4年度の医療費助成額は8264万6,004円、受診件数は38,102件、年度末の令和5年3月1日時点での対象者数は4,058人でありました。

2項目目、「妊婦検診、産後検診の金額と回数を拡充させる」事につきましては、母子保健対策の充実した取組による子育て世帯の安心と切れ目のない支援体制として、妊婦健診では令和4年度から基本受診に係る助成額を11パーセント上乗せし、拡充させていただきました。また、産婦健診の助成をこれまで1回としておりましたが、令和5年度から産後2週間の健診と産後1か月の健診につきまして助成回数を2回に拡充させていただいたところです。

3項目目、「こども園、学童保育など、幼児保育の充実。小学校・中学校の給食の無償化」でございます。小学生の数は、この4年間で約2パーセント減少しております。一方、学童保育所の利用児童数は、共働き家庭や母子・父子家庭の増加など、就学後の放課後の居場所としてもニーズの高まりにより、令和2年度から令和5年度までの4年間で約17パーセント増加しており、待機ゼロを維持するため、学童保育所のハード面・ソフト面双方に対して重点的かつ効果的な推進に取り組んでまいりました。令和5年度には民間学童保育所の誘致を行い、令和6年度からは公設学童保育所9ヵ所、民設学童保育所2ヵ所の体制で、引き続き待機ゼロの継続に努めてまいります。

こども園・保育園振興対策といたしましては、令和2年度に民営化した6園の内、4園に助成を行い順次建替えを進め、令和6年度は旧菩提寺こども園の大規模修繕に係る補助金を計上させていただいております。公立園におきましては、下田こども園の建替え事業を令和6年度から令和8年度にかけて実施する計画としており、引き続き、幼児教育・保育施設の環境整備に努めてまいります。また、令和5年4月から子育て世代への負担を軽減し、子育てしやすい環境をつくる為、「中学校給食費負担金の無償化」の実施に取り組ませていただきましたが、小学校につきましては財源等の課題もあり、未だ実施させていただく目途は立ってはおりません。

4項目目、「高齢者の健康づくりや居場所づくりなど、地域で支える地域福祉の充実」につきましては、高齢者の健康づくりと介護予防、住み慣れた地域での居場所づくりとして「いきいき百歳体操」や「出前健康講座」の開催の促進に取り組んでおります。

全てのまちづくり協議会に設置委託しております「地域支えあい推進員」による地域課題と資源の把握や、認知症の方が地域で生活し続けられるための新たな取組など、高齢者を地域で支える仕組みと居場所づくりに取り組んでおります。

また、地域包括支援センターにおきましては、相談件数が全ての支所の平均で、令和3年度(支所開設前)の約2.6倍となるなど、多くの方々への支援に繋がっていると考えており、今後も地域包括ケアシステムの中核として、相談支援の強化と地域とのネットワークづくりに努めてまいります。

 

「安心安全のまちづくり」におきましては、4項目ございます。

1項目目、「77億円かかる新しい市役所の建替え見直し。そして西庁舎周辺整備を進める」事につきましては、既存庁舎の耐震性能などを再調査し、残せるものを最大限活かした庁舎整備を行うべく、令和4年度に再度、東庁舎の耐震診断を実施し、老朽度合いの再調査を行いました。その結果、Is値の最低値が0.22と診断され、建築物に求められる0.6、公共施設に求められる0.75を大きく下回る結果となりました。この診断結果を踏まえ、令和5年度から2ヶ年をかけて基本計画の見直し業務に着手し、現在、鋭意作業を行っているところであります。見直しの視点としましては、先の能登半島地震などの震災の教訓を踏まえ高い防災性を有する庁舎、小規模多機能自治など本市が目指す地域自治の振興に資する庁舎、DX化など時代の変化に柔軟に対応できる庁舎、地球環境に配慮した庁舎などの視点から検討を進めて参りたいと考えております。最終成果といたしましては、既存庁舎を活かす為の耐震改修方法や増築、新築などの整備プランの検討をはじめ、東庁舎周辺および西庁舎周辺の公共施設の統廃合による、再整備案の策定を行うものといたします。

2項目目、「災害時に避難所となる小学校、中学校の体育館にエアコン整備」につきましては、近年、増加する大規模地震等におきましても避難所となる小中学校の体育館への空調機器の設置は、大変重要であります事から、国の「緊急防災・減災事業債」を活用し、小学校9校、中学校4校の体育館に空調機器を設置する設計業務を令和6年度に実施し、令和7年度には設置工事に着手してまいります。

3項目目、「コミュニティバス等の市内の交通システムの整備を」につきましては、今後も地域と駅を結ぶバス路線を基本軸として整備を行ってまいりますが、きめ細やかな輸送体系を整えるために、車輛の小型化と増車に取り組み、地域の特性に応じた路線再編など利便性の向上に取り組んでまいります。

4項目目、「平松の天然記念物ウツクシ松自生地の再生」につきましては、令和3年度に文化庁から「平松のウツクシマツ自生地保存活用計画」の認定を受け、地元や専門の関係者等のメンバーで構成しております「平松のウツクシマツ自生地保全活用協議会」におきまして、ご意見やご指導を賜りながら、先ずはマツ枯れ被害を防止するための薬剤散布や下草刈り、落ち葉掻きのほか、自生地内の雑木やヒノキを伐採して陽樹であるマツの日照環境の改善を図るなどの保全事業に取り組んでおります。また、自生地の持続が厳しくなった場合の管理のあり方を検討するため、生育実験として播種試験や補植試験をウツクシマツ自生地で行っており、伐採して明るくなった箇所や重点的に地掻きを行った場所には、天然の実生苗(みしょうなえ)の発生が確認されており、苗にしるしをつけて誤伐を防止しております。今後の取組といたしましては、これまで実施してした「保全」事業の品質を高めつつ、引き続きその効果を検証しながら、美しい景観をできるだけ早期に取り戻す事をめざしてまいります。

 

「インフラ整備」におきましては、4項目ございます。

1項目目、「国道1号線の四車線化を早期に実現させる。」事につきましては、今年度に関係市で構成する道路要望団体(甲賀湖南道路整備促進期成同盟会と大津湖南地域幹線道路整備促進協議会)を通じまして、近畿地方整備局や滋賀県警察本部、滋賀県に対し要望活動を実施し、8月10日に国土交通省の道路局長および財務省主計局の公共事業企画調整室長と面談し、国道1号栗東水口道路の早期4車線化につきまして強く要望してまいりました。一方で、令和3年4月に公表されました、近畿ブロック版「防災・減災、国土強靱化に向けた道路の5か年対策プログラム」におきまして示された、令和7年秋の開通見通しの5路線の一部路線では、工事進捗に遅れが生じている状況であります。国道1号栗東水口道路の4車線化は、単に円滑な交通を実現するだけでなく、効率的な人流・物流による地域の活性化に大きく寄与するものである事から、引き続き、要望活動に取り組んでまいります。

2項目目、「新中郡橋を早期着工し菩提寺、石部間の人の流れを良くする。」事につきましては、「滋賀県道路整備アクションプログラム2023」に位置付けられている新中郡橋は、湖南市内の野洲川に架かる8番目(横田橋、新生橋、甲西中央橋、甲西橋、甲西大橋、中郡橋、石部大橋)の橋梁となり、現在取り組んでいる石部駅周辺整備事業との相乗効果も期待できる大型事業であります。令和5年8月29日には、滋賀県甲賀土木事務所長に対し、新中郡橋を含む道路事業や河川砂防事業に係る要望活動を行っており、令和5年度には、滋賀県におきまして交通量調査が実施され、将来交通の解析と事業効果を取りまとめていただき、令和6年度には橋梁の予備設計と土質調査業務の発注に向け、現在、調整をいただいているところであり、今後も事業の促進が図られるよう、滋賀県に対して強く要望してまいります。

3項目目、「菩提寺の大山池浸水害の防止対策および河川管理をきっちり行う。」事につきましては、大山池に流入する普通河川竜王川の河床が、大山池の余水吐より約1m程度低く、灌漑期には竜王川が常時湛水する事から、流下能力が大きく低下している状況にあります。現在も水利権者である野洲市の受益者の同意が得られておらず、特に梅雨期や台風シーズンでの浸水被害が懸念される状況が続いており、令和5年8月には、滋賀県甲賀土木事務所長に対し、大山池の余水吐の切下げや河川の適正管理に関し要望を行ったところであります。また、本市におきましては、浸水被害防止に向けた取組として、雨水バイパス管の増設や排水スクリーンの更新を実施し、降雨時の重点パトロール箇所として位置づけている事から、今後も大山池浸水害の防止対策が図られるよう、滋賀県に強く要望してまいります。

4項目目、「天井川の落合川の河川改修を早期に行う。」事につきまして、一級河川落合川の平地河川化は、令和6年度からの事業化に向け、滋賀県におきまして令和5年度中に河川整備計画の変更手続きを完了するよう進めていただいているところであり、整備区間は、整備実施区間に位置づけられた旧東海道から野洲川までの延長1.2kmで、将来計画の50年確率を見据えながら、10年確率での河道改修(河道切下げによる護岸新設)を行う計画となっております。令和6年度は、流末となる野洲川改修と併せるため、県道4号(主要地方道草津伊賀線)から野洲川までの区間を優先して調査が行われる予定であり、今後も事業促進が図られるよう、滋賀県に要望してまいります。

 

以上、申し上げましたとおり、実現させていただいた事、現段階では実現に至っていない事がありますが、特に本市だけでは解決に向えない事業につきましては、令和6年度も引き続き国や県に対してしっかりと要望を行い、後世に対して前向きな“くさび“を打ち残す事ができるよう身命を賭して取り組んでまいります。

令和5年度は、市長として一番大きな取組であります「湖南市版小規模多機能自治」につきまして、タウンミーティングという形ではありましたが、広くまた多くの市民の皆さまに考えをお示しさせていただいた事は大きな成果であると思っております。 今後、少子高齢化が加速していく中で、それぞれ地域のコミュニティはさらに減衰化していく事も考えられ、だからこそ地域住民の皆さまが互いに支え合い、助け合う「互助」の仕組みを構築する事が重要となってまいります。今日までの行政と地域が共に取り組む「共助」より、さらにその前提での「互助」が特に福祉や防災におきまして重要であると多くの市民の皆さまにもご理解いただいたと思っております。

平成16年10月1日に湖南市が新たに誕生し、その時点から旧町レベルでの考え方は無くなったと私は思っております。湖南市という“一つのまち“として空から見下ろした時、中心から4つの方向に中学校区ごとを生活圏域とする「小規模多機能の拠点」が在り、合併後20年間、旧態を重んじ手を付けてこられなかった事がようやく整理し始められてこそ、湖南市で現生に生きる我々が後世に誇りと責任を持って繋げていける“まち“になれると確信しております。令和6年度に入りましたら、私が担わせていただける市政の期間も半年足らずではありますが、最後の最後まで湖南市の将来を見据え、スピードを緩める事なく、さらに加速する勢いで邁進してまいりますので、市民の皆さま、議会の皆さまの一層のご理解とご協力をお願い申し上げます