湖南市情報公開・個人情報保護・公文書管理審議会答申

更新日:2025年06月20日

湖南市情報公開・個人情報保護・公文書管理審議会による答申

湖南市情報公開・個人情報保護・公文書管理審議会による答申の内容を公表します。

令和7年度答申第1号

「湖南市職員懲戒等審査委員会会議録および会議資料」に係る公文書部分公開決定に対する審査請求についての諮問

  • 審査請求日:令和6年6月14日・令和6年7月12日
  • 諮問日:令和6年9月13日
  • 答申日:令和7年6月13日
審議会の結論

  実施機関が令和6年6月13日付け湖人事第75号で行った公文書部分公開決定(以下「本件決定」という。)については、別表に掲げる部分を公開すべきであり、その余の部分は、妥当である。

審議会の判断
1 基本的な考え方

  条例の基本的な理念は、第1条で定めるように、公文書の公開を請求する市民の権利を明らかにし、市民の知る権利の保障に資するとともに、市の活動を市民に説明する責務が全うされるようにすることにある。したがって、条例の解釈および運用についても、第3条が明記するように、公文書の公開を請求するものの権利が十分に尊重されるよう、慎重に取り扱われるべきものという見地から行わなければならない。

  しかしながら、条例は実施機関に全ての公文書の公開を義務付けているわけではなく、第7条各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書に対しては、当該機関に非公開を義務付けている。また、条例第8条第1項各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書に対しては、実施機関の公開義務を免除している。もちろん、これらの非公開情報のいずれかに該当するか否かの具体的判断に当たっては、当該各号の定めの趣旨を十分に考慮するとともに、当該公文書の取扱いの経過や収集目的などをも勘案しつつ、条例の理念に照らして市民の権利を十分に尊重する見地から、厳正になされなければならないことはいうまでもない。

 

2 本件公文書について

  本件公文書は、令和6年5月27日と同月28日に開催された湖南市懲戒等審査委員会の会議録および会議資料であり、その文書としての内訳は「懲戒等審査委員会次第」、「懲戒等審査委員会会議録」、「懲戒等審査委員会の会議資料(資料番号1~5)」に分けられている。

 

3 本件公文書について実施機関が非公開とした部分について

  本件決定においては、本件公文書のうち「被処分者の氏名および所属部署」「処分対象となった行為(写真撮影)が行われた場所」「処分対象となった行為が行われた場所を特定し得る情報」「処分対象となった行為が行われた場所で実施されていた業務内容」「懲戒等審査委員会会議録の処分審査に関する部分のうち、処分内容の審議にかかる委員の発言」が非公開とされており、その他の情報については公開されていることが認められる。

 

4 争点

(1)  審査請求人は、次に掲げる内容を主張し、本件非公開部分の公開を求めるとして争っている。

  ア  実施機関が個人情報を拡大解釈しており、個人情報に当たらない部分まで非公開としていること。

  イ  実施機関には懲戒処分に関する議論の内容は適正に行われているかを示す必要があり、これを非公開とすることは情報公開制度の趣旨に反していること。

(2)  実施機関は、その弁明書において次に掲げる部分(以下「認容非公開部分」という。)に関しては認容の意思を表示しており、その余の部分は条例第7条第1号および第8条第4号エに該当するとして、争っている。

  ア  被処分者の所属部署

  イ  処分対象となった行為(写真撮影)が行われた場所

  ウ  処分対象となった行為が行われた場所を特定し得る情報((○○設備)の番号を除く。)

  エ  処分対象となった行為が行われた場所で実施されていた業務内容

(3)  これらのことから、本件審査請求において審議の対象となる争点は、次に掲げるものであると認められる。

  ア  認容非公開部分に対する判断

  イ  実施機関および審査請求人の双方が争うとしている次に掲げる非公開部分(以下「争点非公開部分」という。)に関する条例第7条第1号および第8条第4号エへの該当性

1)「被処分者の氏名」および「(○○設備)の番号」(以下これらを「争点非公開部分(1)」という。)

2)「懲戒等審査委員会会議録の処分審査に関する部分のうち、処分内容の審議にかかる委員の発言」(以下「争点非公開部分(2)」という。)

(4)  なお、審査請求人は、実施機関内部における事務手続の誤りに関しても言及をしているが、本件決定の審査に影響を及ぼすものではなく、実施機関内部において議論されるべきものであることから、本審議会においては審議の対象としない。

 

5 認容非公開部分に対する判断

  前述のとおり、実施機関は、認容非公開部分については認容の意思を表示しており、審査請求人の主張に対して争っていない。

  実施機関から審議会に提出された経過説明書によると、報道機関による新聞報道を受け、実施機関は令和6年8月23日に開催した定例の記者会見において認容非公開部分を公表しているとのことである。この記者会見の内容については、現在も市のホームページ上で何人も閲覧ができる状態にあり、審議会でその内容を確認したところ、その公表の態様に鑑みても、認容非公開部分は実施機関の過失等により公表したものではなく、一定の意思を持って自ら公表したものと認識できる。加えて、本件請求の端緒となった懲戒処分に係る被処分者については、後日新たな事実が発覚したことから、令和6年12月25日付けで実施機関による追加の処分がなされており、この追加処分の公表内容の中には、認容非公開部分の一部が含まれていることも確認できる。

  なお、本件懲戒処分事案に係る地域社会における関心の高さ等に鑑み、認容非公開部分を公開することの公益性が非公開により保護すべき利益を上回るとした実施機関の判断にも不条理な点は見受けられない。

  以上の理由により、認容非公開部分については一定の公知の状態にあり、当該部分を公開することの公益性が非公開により保護すべき利益を優越していると考えられることから、当該部分に関し公開を認容するという実施機関の判断には理由がある。

  したがって、実施機関は、別表に掲げる部分(認容非公開部分)を公開すべきである。

 

6 条例第7条第1号および第8条第4号エについて

  (1)  条例第7条第1号について

  条例第7条は、「公開をしてはならない公文書」として「実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の公開をしてはならない」と規定しており、第1号において「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別され得るもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」と規定している。さらに、この第1号の適用除外として、同号ただし書において次に掲げる情報を除くと規定している。

    ア  法令又は条例(以下「法令等」という。)の規定により、何人でも閲覧することができるとされている情報

    イ  実施機関が作成し、又は取得した情報であって、公表を目的としているもの、慣行として公表されているもの、又は公表することが予定されているもの

    ウ  当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第4項に規定する行政執行法人の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)第2条第1項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)の役員及び職員、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分

    エ  法令等の規定に基づく許可、免許、届出等に際して実施機関が作成し、又は取得した情報であって、公開することが公益上必要であると認められるもの」

 

  (2)  条例第8条第4号エについて

  条例第8条は、「公開をしないことができる公文書」として、「実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の公開をしないことができる」と規定しており、その第4号において「市、国、独立行政法人等、他の地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」を公開しないことができる公文書として規定している。そして、同号に該当する情報として同号エにおいて「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」がある情報を規定している。

 

7 争点非公開部分の条例第7条第1号および第8条第4号エの該当性について

(1)争点非公開部分(1)について

1)「被処分者の氏名」

  審議会において当該非公開部分が記載された文書を確認したところ、被処分者のフルネームまたは名字が当該文書に記載されており、これらの情報は被処分者個人の特定に繋がるものであることが認められ、条例第7条第1号に該当する。なお、当該情報は職務遂行の内容に係る情報であるとは認められないことから、同号の適用除外である同号ただし書ウにも該当しない。

  以上の理由により、「被処分者の氏名」は条例第7条第1号に該当するため、当該部分を非公開とした実施機関の判断は妥当である。

2)「(○○設備)の番号」

  審議会において当該非公開部分が記載された文書を確認したところ、当該情報は被処分行為となった写真撮影が行われた場所における設備の識別番号を示すものであり、懲戒等審査委員会での被処分者への聞き取り調査の中で言及されているものである。本件請求の端緒となった懲戒処分において、処分対象となった写真撮影の行為が行われた場所は、日常的に幅広い住民が使用しているものではなく、限定的な人物のみが訪れる施設である。そして、その施設内の設備の番号を公開することは、実施機関が別に公開している写真撮影行為の日時等と照らし合わせることにより、当該設備を利用していた人物の個人の特定に繋がることは否定できない。

  このことから、「(○○設備)の番号」は条例第7条第1号に該当するため、当該部分を非公開とした実施機関の判断は妥当である。

 

(2) 争点非公開部分(2)について

  争点非公開部分(2)は、処分内容の審議にかかる委員の発言であり、懲戒等審査委員会の会議録に記載されているものである。審議会において当該非公開部分を確認したところ、審査委員会において、被処分者の処分内容の決定に関する根拠の整理やその量定等に関し、他の処分例との均衡や被処分者の態様等を総合的に勘案し、各委員が率直かつ忌憚のない意見を述べており、この前提には、自身の意見が公開されることがないという心理的な担保があるものと推察される。

  実施機関が主張するとおり、委員の発言内容を公開するとこの前提条件が失われ、今後の懲戒等審査委員会において、委員は保守的かつ画一的な意見交換しかできなくなり、率直かつ公正な議論に支障が出ることは否定できない。また、同様に、委員会外部から委員個人への不当な働きかけや、被処分者から委員個人への個人的な責任追及、職務外での攻撃等が誘発されるおそれがあることも否定できず、当該情報を公開することは、今後の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものと認められる。

  これらのことから、争点非公開部分(2)は、条例第8条第4号エ(人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報)に該当するため、当該部分を非公開とした実施機関の判断は妥当である。

8 結論

以上により、第1記載のとおり判断する。

別表
別表

番号

記載文書

公開すべき部分

  1.  

懲戒等審査委員会次第

懲戒等審査委員会会議録

懲戒等審査委員会の会議資料

被処分者の所属部(部局名)

  1.  

懲戒等審査委員会次第

懲戒等審査委員会会議録

懲戒等審査委員会の会議資料

被処分者の所属部署(課名)

  1.  

懲戒等審査委員会会議録

懲戒等審査委員会の会議資料

処分対象となった行為が行われた場所およびその設備

  1.  

懲戒等審査委員会会議録

懲戒等審査委員会の会議資料

処分対象となった行為が行われた場所で被処分者が実施していた業務内容

  1.  

懲戒等審査委員会会議録

懲戒等審査委員会の会議資料

処分対象となった行為が行われた場所を特定し得る次に掲げる情報

(1) 行為場所で日常的に実施されている業務内容に係る現象その他の情報

(2) 撮影行為の被写体となったものを推定し得る情報

この記事に関するお問い合わせ先

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