令和7年度答申第2号

更新日:2026年03月16日

湖南市情報公開・個人情報保護・公文書管理審議会による答申

湖南市情報公開・個人情報保護・公文書管理審議会による答申の内容を公表します。

令和7年度答申第2号

「湖南市交通空白地にしないと決めた根拠となる資料」に係る公文書公開請求却下決定に対する審査請求についての諮問

  • 審査請求日:令和7年7月3日
  • 諮問日:令和7年8月14日
  • 答申日:令和8年3月16日
審議会の結論

実施機関が令和7年6月18日付け湖都第184号で行った公文書公開請求却下の決定(以下「本件処分」という。)については、妥当であり、審査請求人(以下「請求人」という。)が行った審査請求は棄却すべきである。

審議会の判断
1 基本的な考え方

湖南市情報公開条例(平成16年湖南市条例第10号。以下「情報公開条例」という。)の基本的な理念は、第1条で定めるように、公文書の公開を請求する市民の権利を明らかにし、市民の知る権利の保障に資するとともに、市の活動を市民に説明する責務が全うされるようにすることにある。したがって、情報公開条例の解釈および運用についても、第3条が明記するように、公文書の公開を請求するものの権利が十分に尊重されるよう、慎重に取り扱われるべきものという見地から行わなければならない。

さらに、第5条は、「何人も、この条例に定めるところにより、実施機関に対して、公文書の公開を請求することができる」と規定し、請求人の公開請求権を保障している。この請求権は、実施機関が保有する公文書について請求人が公開を請求することを法的に保障している権利である。ゆえに、実施機関が当該公文書の存否を十分に確認しないまま不存在と判断することは、間接的に公開請求権の保障を損なうおそれがある。

したがって、実施機関は、請求に係る公文書の存否について合理的な範囲で探索および確認を尽くし、その結果に基づいて公開または不存在の決定を行わなければならない。

もっとも、情報公開制度は、実施機関が現に保有する公文書の公開を求める制度であって、新たな文書の作成を義務付けるものではない。したがって合理的な探索および確認の結果、当該公文書が作成されていないまたは取得されていないと認められる場合には、不存在の決定は制度上当然に許容されるものである。

 

2 本件の争点

本件の審議に係る前提として、前項で述べたとおり、実施機関には本件請求に係る公文書の存否について合理的な探索および確認を尽くす義務がある一方で、現に保有していない文書の作成までを義務付けられるものではないという、情報公開制度の基本的な枠組みが存在する。

したがって、本件の争点は、実施機関が「湖南市内に交通空白地が存在しないと判断した根拠資料および判断過程が分かる文書」の存否を適切に確認したかどうか、そしてその確認の結果として、不存在とした判断が情報公開、公文書管理制度の枠組みに照らし合わせて妥当であるか否かにある。

これらを踏まえ、本件においては、次の点について検討する。

(1)当該公文書が作成されていないことまたは取得されていないことについて、実施機関の説明に不合理な点が存在しないか。

(2)交通空白地が存在しないとの認識に至る過程において、意思決定または検討経過を記録した文書が作成されるべきであったか否か。

なお、当審議会は、湖南市情報公開・個人情報保護・公文書管理審議会設置条例(令和4年湖南市条例第28号)により、情報公開制度、個人情報保護制度および公文書管理制度の枠内に限り職務権限を与えられた機関である。したがって、交通空白地に係る政策を行うことの是非や交通不便地対策の充実の必要性そのものは、その職務の権限の範囲外であり、当審議会では審議の対象としない。

 

3 本件に係る事実の整理

まず、交通空白地が存在しないとの認識に至る経緯およびその取扱いについて、前提となる事実を確認する。
本件においては、公共交通会議等の審議に付するという手順を取らず、交通空白地としないとの判断がどのように行われたのか、審議案件として議題に上げるか否かの行政的な判断がどの段階でなされ、その判断がどのように具申され、いかなる形で了承されたのかを明らかにする必要がある。そのために、湖南市情報公開・個人情報保護・公文書管理審議会設置条例第3条第2項の規定により、実施機関の職員に対し審議会への出席を求め、説明を求める方法を採用し、当該公文書の存否およびその経緯を確認することとした。

実施機関の職員からは、交通空白地については交付要綱に基づく基準により形式的に判断しており、市内には当該基準に該当する区域は存在しないため、該当区域がそもそも存在しないとの認識であり、そのため、交通空白地を指定する場合に必要となる公共交通会議での審議は行っておらず、「交通空白地に該当しない」とする個別の意思決定そのものが行われていないため、これに伴って公文書も作成していないとの説明があった。

 

4 不存在決定の妥当性

次に、当該公文書が作成されていないことについての実施機関の説明に不合理な点が存在しないか、すなわち、公文書不存在決定が妥当といえるかについて検討する。

(1)公文書不存在について

不存在決定の当否は、請求に係る公文書が客観的に存在しないと合理的に認められるか否かによって判断される。

実施機関の職員からの説明において、交通空白地の指定に関する公共交通会議への付議が行われていないこと、交通空白地の有無について改めて決定した会議録や決裁文書が存在しないこと、判断過程を整理した内部検討資料が作成されていないことが確認された。これらのことから、実施機関においては「交通空白地を指定しない」という積極的な行政決定を行ったのではなく、交付要綱の形式的基準に照らして該当区域がないとの認識のもと、指定の手続に進まなかったにとどまるものであるということが分かった。

以上を踏まえると、実施機関は、交通空白地の指定の是非について判断を行う段階に至っておらず、当該地の指定に関する意思決定は存在しないものと評価できる。したがって、交通空白地の指定に関する意思決定がそもそも存在せず、よって当該意思決定に係る公文書が存在しないとした実施機関の判断には、客観的に見て不合理な点は認められない。

(2)文書作成義務について

次に、交通空白地が存在しないとの認識に至る過程において、実施機関において意思決定または検討経過を記録した文書を作成すべき義務があったか否かについて検討する。

湖南市公文書の管理に関する条例(令和6年湖南市条例第21号)第4条では、実施機関の職員に対し、経緯も含めた意思決定に至る過程について文書を作成することを求めている。しかし、前号で述べたとおり、本件においては、そもそも新たな意思決定が行われた事実が認められない。

そして、実施機関が弁明書で主張するとおり、法令上、交通空白地の有無について必ず個別の意思決定に係る公文書や会議録を作成すべき要請があるとは認められず、また、当該地の指定に関する施策については市に広い裁量があり、必ずしも積極的な姿勢で臨まないにしても、これをして当該裁量を逸脱するものとは言えない。

したがって、本件に関し、実施機関に独立した意思決定文書や検討経過文書を作成すべき法的義務が当然に発生していたとまでは認められない。

 

5 結論

以上により、審議会の結論のとおり判断する。

付帯意見

当審議会は公文書不存在決定の妥当性を審査するものであり、交通空白地に係る政策の必要性そのものを判断するものではないことは、既に述べたとおりである。

しかしながら、請求人の主張の趣旨に思いを致し、当審議会として、次のとおり付帯意見を付すこととしたい。

審査請求書や反論書の記載内容に照らすと、請求人は、市の交通政策、とりわけ、交通空白地の問題に関し強い興味関心を抱き、本件審査請求に出たものと解される。

この答申の結論を左右するものではないものの、このような請求人の市政に対する強い関心および積極的な参加姿勢は、市民の知る権利の保障をその基礎とし、市民の市政への参加を促進し、もって公正で開かれた市政の実現を目指すという情報公開条例の精神に照らしても、十分尊重に値する。

以上を踏まえ、今後、実施機関においては、これまでのような形式的かつ画一的な認識により交通空白地の是非を観念するのではなく、交通空白地の実態把握や政策効果について、実質的かつ多角的な観点から政策検討がなされることを、当審議会としても期待したい。

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