国の天然記念物「平松のウツクシマツ自生地」の概要

更新日:2021年08月21日

国の天然記念物「平松のウツクシマツ自生地」とは

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<国の天然記念物「平松のウツクシマツ自生地」の様子>

湖南市の平松地域にある「平松のウツクシマツ自生地」は国の天然記念物に指定されています。

天然記念物「平松のウツクシマツ自生地」は、滋賀県湖南市平松541番地に所在し、その自生がいつ始まり、いつから知られていたのかについては不明な点が多いですが、江戸時代には、多くの人が訪れる街道沿いの観光の名所として知られていました。近代に至っては、地域のシンボル、郷土の歴史を語る文化財として大切に守られてきました。

大正8年(1919年)に史蹟名勝天然紀念物法が公布されたのち、史蹟名勝天然紀念物調査会が編成されると、大正9年(1920年)にかけて調査会委員である三好學のもと調査が実施され、その結果を『史蹟名勝天然紀念物調査報告第十四号』(1920)にまとめています。

これによると、ウツクシマツ自生地について「美松山における一区域の松樹が皆傘形となっているのは他に類はなく奇観というべき」とし、また「ウツクシマツは学問上の参考資料として価値が大きい」ことから、ウツクシマツが生育する美松山は天然記念物として保存が望ましいとしています。

これらの理由が、天然記念物の指定を受ける根拠となり、大正10年(1921年)3月3日に天然紀念物「三雲村美松自生地」として指定を受けました。現在、ウツクシマツ自生地は湖南市が管理団体となっています。

 

ウツクシマツとは

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(上)自生地内のウツクシマツ

(下)ウツクシマツの樹形分類

ウツクシマツ(Pinus densiflora Sieb.Et Zucc.from.umbraculifera Miyoshi)は、マツ科(分子系統に基づく分類:マツ科)の常緑針葉高木であるアカマツの天然変種です。

幹は主幹がなく、1本の根元近く、または地表近くから枝が箒状、放射状に分かれて立ち、樹冠は傘を逆さにした特異な形態をしています。特に、樹形は同じ傘型でも変異があり、4型式に分類されるのが通常です。

ウツクシマツの樹形分類(PDFファイル:113.9KB)

かつて、ウツクシマツの特異な形態は、特殊な土質(砂礫を交えた粘質な赤土で土層は浅く、一部に岩盤が露出している)の影響によるものと考えられてきましたが、平成14年(2002年)に当時滋賀県森林センター専門員であった太田明氏の研究によって劣性遺伝子により支配される遺伝形質であることが判明しています。

ウツクシマツ自生地がある平松区においては、ウツクシマツは地域の歴史を物語る記念物として知られ、また御神木として大切に扱われ、継承されてきました。

なお、全国にはウツクシマツと同じアカマツの品種で、タギョウショウ(Pinus densiflora var.umbraculifera Mayr)があります。

タギョウショウは、ウツクシマツと異なり古くからつぎ木で増殖したものといわれています。それが広く流通して園芸品種として普及しており、庭園や庭木として用いられています。タギョウショウはウツクシマツと同じように根元から多数の幹に分かれますが、樹高はウツクシマツよりもはるかに低く概ね5m以下で、球果は数が少なく形も小さい特徴があり、ウツクシマツとは異なる特徴を有しています。

よくある誤解

国の天然記念物に指定されているのは、「平松のウツクシマツ自生地」で、「ウツクシマツの天然更新(世代替わり)が行われている場所が日本ではこの平松のウツクシマツ自生地内だけである」ことから、場所が指定を受けています。

したがって、「ウツクシマツ」自体が国の天然記念物に指定されているわけではありません。

また、「ウツクシマツ自生地の景色、景観」に対する名勝指定でもありません。

 

ウツクシマツ自生地の範囲

ウツクシマツ自生地の範囲は、国の天然記念物として指定を受けている平松541番地の筆界となっており、その面積は指定面積となっている18,789平方メートルとなっています。

周囲には駐車場、トイレが整備されています。

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<「平松のウツクシマツ自生地」の範囲>

「平松のウツクシマツ自生地」パンフレット

「平松のウツクシマツ自生地についてのパンフレットを作成しています。

ご利用ください。

平松のウツクシマツ自生地の状況

近年、社会環境の変化や、松枯れ被害の拡大により自生地内のウツクシマツが枯死してウツクシマツが大幅に減少し、平松のウツクシマツ自生地に深刻な影響があることから、その価値の保全と継承は大きな課題となっています。このままではウツクシマツ自生地の保全管理、維持ができず、最終的にはウツクシマツが滅失しかねない危機的な状況になっています。

この危機的状況を改善するために、湖南市としてさまざまな保全事業を実施しています。自然環境の回復は一朝一夕にできるものではなく、長い年月がかかることから、長期的な計画で事業を進めています。

また、行政だけではウツクシマツ自生地を守るのは難しいことから、地元の方々、専門家の方々などの協力をいただきながら、皆でウツクシマツ自生地を守る体制を作っています。

 

この記事に関するお問い合わせ先

環境経済部 農林振興課 ウツクシマツ再生室

電話番号:0748-69-5603

ファックス:0748-72-7964

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