令和3年度の平松のウツクシマツ自生地を守る取り組み
平松のウツクシマツ自生地を守るために、様々な保全事業をしています。
令和3年度は下記の事業を実施しています。
地上散布

<散布状況>
新たなマツ材線虫病の感染を防止するために、マツノマダラカミキリがマツに寄り付けないようにするために、ウツクシマツ自生地全体を対象に薬剤散布を実施します。
散布は、マツノマダラカミキリの成虫が羽化脱出するまでの時期に実施しています。
今年度は5月下旬と6月中旬に実施しました。
下草刈り
ウツクシマツ自生地内では夏にかけて雑草が繁茂します。雑草が伸びるとウツクシマツの若木に十分な日光が当たらないことから、ウツクシマツの若木の生育に悪影響を及ぼします。そのため、ウツクシマツ自生地内で雑草が伸びる時期に下草刈りを実施しています。
今年度は7月下旬に1回目の下草刈りを実施しています。草刈りにあたっては、雑草の中にウツクシマツの若木が埋もれていることから、若木を誤って刈り取ることがないように注意しながら実施しています。
落ち葉搔き
松は他の樹木と違い、やせ地でよく成長します。
そのため、出来る限り落ち葉や堆肥を取り除き、松の生育に適した環境を保つ必要があります。
このことから、秋~冬に落ち葉を掻き、堆肥を取り除いています。
枯損木伐倒
ウツクシマツ、普通のマツはさまざまな要因により枯れてしまうことがあります。枯れてしまった原因がマツ材線虫病である場合、その枯れたマツには、マツノマダラカミキリの卵があり、春には羽化して、そのマツからマツノマダラカミキリが飛び立ち、他のマツに移ります。
そのため、枯れた松は切り倒し、搬出して適切な処理をする必要があります。
枯れたマツは葉が赤くなり、やがて葉がなくなってしまいます。そのような症状が確認されたマツは冬~春にかけて伐倒し、ウツクシマツの自生地から搬出します。
獣害対策
ウツクシマツ自生地周辺にはシカ等の野生動物が生息していますが、若木に対して皮はぎ等の被害を及ぼすことがあります。
昨年度自生地周辺に移植した苗木にも皮はぎの被害が見られたため、柵を設置し、獣害対策を実施しています。
遺伝子研究
ウツクシマツは現在まで劣性遺伝であることは研究により判明しています。しかしながら、ウツクシマツ自生地内のウツクシマツは多様で、ウツクシマツと普通マツの境界はあいまいな部分があります。また、ウツクシマツ自生地内のウツクシマツと普通松の遺伝子による違いは調査されていないことから、遺伝子調査を実施しています。
この調査により、ウツクシマツ自生地内にあるウツクシマツ、普通マツ、移植してきたマツの遺伝的違いが判明し、今後保護するべきマツと自生地内から減らしたほうがよいマツの判別の目安となることが期待されています。
更新日:2021年08月21日