平成18年8月4日定例記者会見

更新日:2019年07月01日

このページは、市長定例記者会見の内容を政策秘書課でまとめたものです。

市長会見事項 要旨

1.平成18年8月湖南市議会臨時会

会期

8月9日

3議案

  • 専決処分の承認 2件
  • 報告 1件

資料

発表内容

総務部長

 皆さん、おはようございます。来る8月9日の議会臨時会の案件についてですが、お手元の資料にもありますが、専決処分の承認案件が2件と報告が1件でございます。専決処分の承認の2件につきましては、一つは湖南市の今年度公共下水道特別会計補正予算、もう一つが今年度上水道事業会計補正予算です。ともに負債の借入れをしています金利の借り換えに伴う補正です。次に、報告の1件ですが、市道での車両事故に伴う破損が市の管理瑕疵によるものであり、修理費用を賠償するというものです。以上が議会臨時会の案件です。

市長

 皆さん、おはようございます。昨日から体調を崩しておりまして、今朝ほども38.2度ありましたので、今日の定例記者会見も十分に事前の勉強ができていないのですが、よろしくお願いします。今日はわたしのほうからは特に報告することはないわけですが、おそらく前回の会見と同じく、新しい県政についてお聞きになりたいと思っていらっしゃるでしょうから、一定の考え方をお話しさせていただきます。

 まずは、前回の定例記者会見以降、いたずらに新知事対新幹線新駅関係市長という構図が作られてしまっていることが返すがえすも残念です。もう少し全体として事態を冷静に観察しながら、最も良い状態にソフトランディングさせるべきだと思います。この1か月、特に新知事が就任されてからの半月余りを観察させていただきまして、論理的にその感想を述べてみたいと思います。

 まず、前回も申しましたとおり、新知事の政策には新しい方向性が見られるため、特に県自体の徹底的な改革を進めていかれるのであれば、市としても全面的に協力をさせていただきたいという気持ちに変わりはありません。しかし、それに反しまして、新知事の公約に関する発言の軽さでありますとか、空回り、そして迷走ぶりにつきましては、いたずらに県政を混乱させているのではないかと心配をしております。

 新幹線新駅につきましては、「対話」と言われておりますけれども、凍結の具体的な手順も十分出ておりませんし、また凍結の影響についても算定できていないということですので、政策の実現性という観点から問題が多いのではないかと思います。また、新駅設置促進協議会を8月中旬に開きたいと話されたようですが、「対話」の相手方である関係市に伝える前に他の場所で話されるというのは大変失礼なことではないかと思います。テレビ出演でありますとか、県議会での発言で自らの選択肢を狭めておられると思いますし、交渉の余地が全くないところから、どのように「対話」を始めるのか、それが可能なのか、というところに疑問を持っています。「対話」とはお互いを認め合うことが第一歩であると思っておりますけれども、新知事さんにおかれましては、緑の少年団でありますとか、盆踊りでありますとか、テレビ出演でありますとか、そういったことに割く時間はあっても、自らの最大の争点だとして「政治生命をかける」とまでおっしゃった問題の「対話」の相手に割く時間がまだ持てないと思うと、とても残念な思いがします。

 県議会での議論を見せていただいておりますが、当選直後に「2020年度までにすべての1級河川で、50年に1度の大水に耐えうる河川改修を完了」とされておりましたマニフェストでありますが、時間雨量50ミリの間違いだと言って、10年に1度の水害対策にしてしまわれましたが、わたしもこの地域に30年以上住んでおりますが、いまだ水害というものに遭っておりません。それに対して、県民がおしなべて気にしておられる、不安を持っておられるのは、過去100年間でも起きなかったであろう局地的な集中豪雨への対策ではないかと思います。ですから、「50年に1度の水害対策」という公約に期待をかけていたわけでありますが、「時間雨量50ミリの間違いでした」というのは大変苦しい言い訳ではないかと思います。

 また、「すべての小中学校を35人学級にし、5年後に30人学級に」するということは、わたしどものような子どもを持つ世代にとりましては、新幹線新駅の是非以上に投票の判断基準となったのではと思っております。また、造林公社の統合につきましても、すでに職員が相互兼務しているので必要ないとされていますが、そんなことは県の職員名簿を見ればすぐに分かることで、おそらくことさらに隠された情報ではないと思います。県職員の削減につきましても、警察官や教職員は削減できないということは法律に書いてあるわけですので、ことさら隠された情報ではないと思っております。こういった点につきましては、選挙の最中にもその実現性が大きな争点になっていたと記憶しております。マニフェストの主要な項目がなし崩し的に反古にされていくことが、今後の地方選挙のあり方に大きな影響を与えるのではないかと心配をしております。

 わたし自身も思いますけれども、やはり政治家の中でも首長は組織の長でもあり、広範な職務権限と予算編成権を背景にしておりますので、その発言は「千鈞(せんきん)の重み」を持っていると思っております。そういったことを新知事には早急にご理解いただきたいと思います。当面の県議会さえ乗り切れれば良いというのではなくて、難しい言葉では「綸言(りんげん)汗のごとし」と言いますが、特に1000億円を超える負債を抱えております造林公社に対しまして、「ない袖は振れない」とおっしゃったことは、県民・市民の納税意欲を大きく減退させ、モラルハザードにつながりかねませんので撤回を求めたいと思っております。

 わたしも首長の端くれですので、選挙は選挙、選挙結果が51対49であったとしても首長は100の責任を持たなければならないということは十分頭に置いて行動しているつもりであります。ましてや嘉田さんは20の代表ではなく100の代表として振る舞っていただかなければならないのであり、それこそが「対話行政」の底流だと思っております。最近のインターネットの掲示板は非常に辛辣でありまして、現状が「公約詐欺ではないか」とまで言われております。ですから、新知事さんにおかれましても、できる限り早期に路線変更していただきまして、もともと崩れかかっている政治家の発言に対する市民の信頼が、これ以上大きく損なわれることにならないように祈っているわけでございます。

 県の行政改革につきましては、大いに期待をしております。大胆に大なたを振るっていただきたいと思いますが、往々にして市や町への負担押しつけにならないようにぜひとも気をつけていただきたいと思っております。

記者より質問

「市長の新しい県政に対する発言」について

Q

 県議会では一般質問が始まっている状況ですが、一連をご覧になっての感想が今のお話だと思うのですが、やはり物足りない点が多々おありなのでしょうか。

A

 マニフェストのあり方について十分に考えさせられたなあと思っております。マニフェスト自体は具体的な政策実現までの手順まで書き込んで、その実現可能性を有権者に訴えるものであると理解しております。昨年、前三重県知事の北川 正恭さんとお話しさせていただいた際に、「うちのまちは財源が非常にひっ迫していますので、あれもする、これもするという公約はできませんと選挙の時に言いました。だからあれもする、これもするというマニフェストには疑問を持っている」と申し上げたのですが、「できないということもマニフェストだ」とおっしゃったので、「それなら理解します」と固く握手したのを覚えています。先ほどのインターネットの掲示板のお話をさせていただきましたが、「俺も国の借金全部肩代わりするという公約で選挙に出るよ」でありますとか「単なる大風呂敷が公約と言えるならもう選挙自体が全く意味のないものになる。勘や外見で投票するしかなくなる」という発言も多々掲載されておりまして、やはり民主主義のモラルハザードにつながりつつあることをわたし自身は心配をしております。恐らく嘉田さんご自身はそんなにマニフェストの作成に深く関わっておられなかったのではないかと思っておりますが、やはり実現可能性のないものがいくつか書かれていたことは、作成されたかたに十分反省していただきたい点だと思います。

Q

 造林公社の問題について「撤回を求める」とおっしゃったのですが、具体的に。

A

 1000億の負債について、嘉田さんが「そんなことを言われても、ない袖は振れない」とおっしゃったんです。ない袖の中でどうやっていくかというのを見つけるのが仕事ではないかと思っておりますので、「ない袖は振れない」ということで物事がすべて通るのであれば、税金を「ない袖は振れない」と言って納めていただけない可能性も出てくるので、そういったモラルハザードにつながる発言は撤回していただけないかと思っております。

Q

 書面か何かで具体的に撤回を求められたのですか。

A

 そういうわけではないのですが、やはり納税意識が減退する動きもあるのではないか、モラルハザードにつながるのではないかと危惧をしております。

Q

 先日、知事が来られたときは市長は別の会議があってお会いできなかったのですが、その後、市側から日程調整などを申し出たりはしていないのですか。

A

 こちらからも「十分に時間を取っていただきたい」と申し出ておりますし、知事さんの側も「できる限り時間を取ってほしい」ということを担当に伝えられておりますけれども、まだ実現には至っておりません。

Q

 新幹線問題についてはあまり述べられておりませんが、知事の発言などについてどのようにお考えですか。

A

 「促進協議会を早期に開催するように調整する」とおっしゃっておられますので、まずは「促進協議会の会長にならない」とおっしゃっている部分を訂正していただいて、規約どおり会長に就任されから、自ら招集をされればいいと思います。「会長には就任しないけれども、会長もいないのに促進協議会は開いてくれ」というのはちょっと難しいと思います。促進協議会にしても、総会を開くのか、関係市長が集まるのか、負担割合を決める関係首長がいる「調整会議」は事実上なくなっていますので、また新たな「対話」のステージを設けられるのか、そういった行政的な手順を踏んでいるだけでも時間は過ぎていきます。そうした中で、本当に現実的な解決策を新知事がお持ちなのかどうか、県議会で具体的にお話しをされていないということもありますけれども、わたしどもに対しては隠したカードを持っておられるのではないかと期待をしております。
 ただ1つ指摘しておきたいのは、地方財政法という法律がありまして、その第2条第1項には、「地方公共団体は、(中略)いやしくも(中略)他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行ってはならない」と規定されております。ですから、県の方針転換で栗東市の財政に損害が及ぶことはあってはならないのではないかと考えます。また、民法上の瑕疵担保責任については、万一JR東海から「履行利益の補償」が主張された場合には、これは無過失責任になりますので、県においては瑕疵ある契約を行ったということで過失が論ぜらると思いますが、湖南市としては徹頭徹尾契約事項を守るべきであると主張させていただいておりますので、湖南市は無過失であると考えております。

Q

 促進協議会は県が早期に開催するとしましたが、栗東市以外の関係市の皆さんで何がしかの方向性を作っていかなければならないと思いますが、関係市長で事前に協議をするということはありますか。

A

 今のところは県から具体的なアクションがありませんので、そういった動きはしておりません。実際に先ほど申しましたように、県が方向を変えてこられたということですので、県が代替オプションをどのように提示をいただけるのかきちんと見定めていきたいと思います。相手の意思が変わったのに、いろいろと推測しながら対応するというのは非常におかしな話でありますので、きちんと見定めていきたいと思います。

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