令和8年度答申第1号
湖南市情報公開・個人情報保護・公文書管理審議会による答申
湖南市情報公開・個人情報保護・公文書管理審議会による答申の内容を公表します。
令和8年度答申第1号
「令和7年3月31日に発表された市の職員の懲戒処分において作成された調査報告書」に係る公文書部分公開決定に対する審査請求についての諮問
- 審査請求日:令和7年11月26日
- 諮問日:令和8年1月20日
- 答申日:令和8年7月31日
審議会の結論
実施機関が令和7年10月31日付け湖人事第225号で行った公文書部分公開の決定(以下「本件処分」という。)については、別表に掲げる部分を公開すべきであり、その余の部分は、妥当である。
審議会の判断
1 基本的な考え方
湖南市情報公開条例(平成16年湖南市条例第10号。以下「条例」という。)の基本的な理念は、第1条で定めるように、公文書の公開を請求する市民の権利を明らかにし、市民の知る権利の保障に資するとともに、市の活動を市民に説明する責務が全うされるようにすることにある。したがって、条例の解釈および運用についても、第3条が明記するように、公文書の公開を請求するものの権利が十分に尊重されるよう、慎重に取り扱われるべきものという見地から行わなければならない。
しかしながら、条例は実施機関に全ての公文書の公開を義務付けているものではなく、第7条各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、実施機関に非公開を義務付けている。また、条例第8条第1項各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、実施機関の公開義務を免除している。
したがって、これらの非公開情報のいずれかに該当するか否かの判断に当たっては、各規定の趣旨を十分に踏まえるとともに、当該公文書の作成経過、記載内容および利用目的等を勘案しつつ、条例の理念に照らして、市民の知る権利を最大限尊重する観点から、個別具体的かつ厳正に判断する必要がある。
2 本件公文書について
本件公文書は、「職員による情報漏洩および当該事案に関する情報公開請求に対する不適切な事務処理に関する経過報告書」であり、令和6年5月に発生した情報漏洩事案およびこれに関連する情報公開請求に対する事務処理の経過、関係職員への聞き取り内容、委員会における関係職員への懲戒処分の検討内容、処分量定に係る判断等を取りまとめた文書である。
本件公文書には、事案発生から懲戒処分等に至るまでの経過、関係職員への意見聴取の結果、委員会における量定判断、関係機関との協議内容、弁護士相談の内容等が記載されていることが認められる。
3 本件公文書について実施機関が非公開とした部分について
本件処分において、実施機関は、本件公文書のうち、個人の氏名、被処分者の氏名および所属部署名、個人の主義主張を表す発言その他の応対内容、委員会において意見聴取された職員および職名、委員会における量定判断、処分内容および処分理由の審議内容、弁護士相談における回答内容、捜査機関との連絡内容、個人の住所および個人が経営する事務所名、委員会の意見具申の案について、条例第7条第1号または条例第8条第1項第2号ならびに同項第4号イまたはエに該当するとして非公開としている。
一方、本件公文書のうち、事案の概要、経過、再発防止に係る内容その他上記非公開情報に該当しない部分については公開されていることが認められる。
4 争点
本件審査請求における争点は、本件公文書中「3.期間の多少の検討」との見出し以下の非公開部分について、条例第8条第1項第4号エ(公にすることにより、人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ)に該当するとして非公開とした実施機関の判断が妥当であるか否かである。
5 本件非公開部分について
条例第8条第1項第4号エは、市の機関等が行う人事管理に係る事務に関し、公にすることにより、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報について、非公開情報として定めたものである。
人事管理に係る事務においては、職員の行為に対する評価や処分の要否および内容の決定に関する判断が行われるものであり、その適正な遂行のためには、公正性および中立性が確保される必要がある。このような事務に関する情報を公にすることにより、当該判断に対する外部からの働きかけや影響を招くおそれが認められる場合には、同号に該当し得るものと解される。また、関係者による率直な意見交換や自由な審議が確保されることが重要であり、その内容が公開されることにより、今後の審議に萎縮効果を生じさせる具体的なおそれが認められる場合も、同様に同号に該当し得るものと解される。
審議会において本件非公開部分をインカメラ審理により確認したところ、当該部分には、委員会における量定判断および処分内容等に関し、被処分者の態様等を勘案した各委員からの意見が記載されていることが認められた。すなわち、本件非公開部分は、委員会における処分量定の判断に至るまでの考慮要素および評価の観点を整理したものであり、人事管理に係る判断基準の具体的な運用状況を示す情報であると認められる。
懲戒処分の量定は、一般的な処分指針に基づきつつも、個別事情を踏まえた総合判断によって決定されるものである。そのため、その判断過程や評価の重点が具体的に明らかとなると、将来の同種事案において、当該基準の運用を前提とした対応や働きかけが誘発される蓋然性が高く、その結果、審査の公正性が損なわれ、人事管理に係る事務の公正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある。
また、このような人事管理に係る処分量定の判断過程が公にされることとなれば、審査に関与する者が外部からの評価や反応を意識した判断を行う可能性も否定できず、人事管理事務の遂行に影響を及ぼすおそれがある。
なお、情報公開制度においては、非公開情報に該当する部分が記録されている場合であっても、容易に区分して公開することができる部分については、部分公開を行うべきものとされている。
しかしながら、本件非公開部分については、処分量定に係る具体的な検討内容、評価および判断過程が相互に密接に関連して記載されており、一部のみを切り分けて公開した場合であっても、なお内部的な検討内容や判断過程が推知されるおそれがある。
また、形式的に区分可能な箇所が存在するとしても、その部分のみを公開することによって得られる情報は限定的であり、一方で、人事管理事務に対する影響のおそれはなお残ることから、部分公開を行う必要性は乏しいと認められる。
したがって、「3.期間の多少の検討」との見出し以下の非公開部分のうち、委員会における検討内容等を記載した部分については、条例第8条第1項第4号エに該当すると認められるため、非公開とすることが相当である。
6 一部公開すべき部分について
本件公文書76頁、83頁、94頁、105頁及び116頁の「3.期間の多少の検討」の項目の直後に記載された、期間の多少に関する記載部分について、懲戒処分に係る一般的な指針または項目名を示すものであり、個別具体的な処分量定の判断内容そのものではない。既に「期間の多少の検討」という項目自体は公開されており、当該記載はこれに対応する一般的基準を示すにとどまるものであることから、公開しても、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるとは認められない。
また、委員会においては、懲戒処分の量定について、一般的な基準である懲戒処分の指針に基づいて審査されており、当該記載については、審査の過程において検討される一般的な審査項目を示しているにすぎず、個別具体的な処分量定の判断内容そのものではないため、公開して差し支えない。
本件公文書76頁、83頁、94頁、105頁及び116頁の「3.期間の多少の検討」の項目における、別表の1の直後に記載された部分についても、懲戒処分に係る項目名を示すものであり、個別具体的な処分量定の判断内容そのものではないため、公開しても人事管理事務に支障を及ぼすものではない。
したがって、別表に掲げる部分は個別具体的な量定判断や内部的評価を直接明らかにするものではなく、公開したとしても直ちに公正かつ円滑な人事管理事務に支障を及ぼすものとは認められないと判断する。
7 結論
以上により、本件処分については、別表に掲げる部分を公開すべきであり、その余の部分は、妥当であると判断する。
別表
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番号 |
非公開とした記述 |
公開すべき理由 |
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1 |
本件公文書76頁、83頁、94頁、105頁及び116頁の「3.期間の多少の検討」の項目の直後に記載された、期間の多少に関する記載部分 |
懲戒処分に係る一般的な指針または項目名を示すものであり、個別具体的な処分量定の判断内容そのものではない。 また、既に「期間の多少の検討」という項目自体は公開されており、当該記載はこれに対応する一般的基準を示すにとどまるものであることから、公開しても、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるとは認められないため。 |
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2 |
本件公文書76頁、83頁、94頁、105頁及び116頁の「3.期間の多少の検討」の項目における、上記の1の直後に記載された部分 |
懲戒処分に係る項目名を示すものであり、個別具体的な処分量定の判断内容そのものではないため。 |












更新日:2026年08月03日